皆さん、お疲れ様です。塚本洋美です。
約10日前には総選挙が行われました。私には直接選挙にかかわった経験があります。タイミングが合えば書こうと考えていた、その時の感動したエピソードを中心に述べてみたいと思います。
それは関東近郊のある町の町長選挙でした。私の元上司が、早期退職して、町議に1期だけ従事した後、町長選挙に挑戦しました。
相手は3選目を目指す現職の町長でした。この時の状況をSWOT分析すれば、このようになります。強みは前町長が選挙参謀についたこと、弱みは知名度のなさ、機会は現町長の不正疑惑問題発覚などとなります。
私の役割は、主に選挙カーに搭乗し、運転手や街頭演説のアシスタント、その他会社関係の来客対応などでした。元上司との関係が深かったため、選挙期間5日間のうち、4日間ほどお手伝いに行きました。
ここからが本題となります。
最終日の夕方になって、どこからともなく、ある提案がありました。それは、票が確実に見込める地元の町内会を自転車で回って、最後のお願いをしようというものでした。当時選挙事務所には自転車が30台くらいあったと思います。私も1台お借りし出発しようとしていた時、その出来事が起きました。
それはずっと事務所内でお手伝いしていた初老の寡黙なおばあちゃんが発した言葉でした。
「自分も一緒に連れて行ってほしい」
この方は、初日からずっと事務所内で来客対応をしておりました。自分は何もしていないので、せめて最後は一緒に行動したいとのことでした。
変化が多く時間が過ぎるのが早く感じる私たち外回り組よりも、内部の接客の方が、何十倍も大変だったと思います。選挙のお手伝いは、町議戦で1回体験しておりましたが、その時はご自宅を事務所にしての、こじんまりとした慌てることの少ない戦いでありました。今回は、駅前に選挙事務所を立ち上げての本格的な選挙であり、雰囲気や規模が全く違います。要領を得てないことも多々ありました。恐らく、お茶やお菓子が出ていないとか、いつ帰ったかわからずお礼を言うのを忘れてしまったとか、叱責を受けたこともあったでしょう。
約2時間程度で、一巡したのですが、私は一番最後からついていきました。なぜかというと涙が止まらなかったからです。ハイテンションになっていたということもあるのですが、このような人々に支えられ、選挙戦を戦えたことに心の底から感動していたからです。
選挙前は、実績のある現町長と知名度のない新人の一騎打ちの構図であったため、相手側からは「ゾウにたかるハエ」と揶揄されていたようです。終わってみれば、得票比率で43:57という結果で、残念ながら敗北でした。しかし、当初の予想からすれば、ずいぶんと追い込むことができ、かなり善戦したということになりました。
5日間の短い選挙戦でしたが、私にとっては、人情の機微にふれる貴重な学びの場となりました。