稼プロ!17期松原伝二です。
今回が6回目の投稿になります。
よろしくお願いいたします。
2017年も11月に入り残り2ヶ月となりました。早い企業では、2018度予算編成がそろそろ始まるのではないでしょうか。私が勤務する医療法人も12月から来年度の予算編成が始まります。医療・介護分野において2018年度は、医療報酬と介護報酬の同時改定が行われる年度です。各所で医療・介護報酬同時改定の傾向と対策を解説するセミナーも活況を呈し始めました。当法人も来年度の予算編成において、医療・介護報酬同時改定の内容を反映させた予算編成が必要になるため情報収集を始めています。
2018年度は、医療・介護分野において、医療報酬と介護報酬の同時改定だけでなく第7次医療計画・第7期介護保険事業(支援)計画などがスタートする極めて大きな節目となる年です。施策の方向性自体は、従来のものから大きな変更はなく、地域包括ケアシステムの構築により、「施設」から「在宅」へ、「地域」へというものです。
施策の中で目標年度とされている2025年は、団塊の世代が、要介護になる確率が高まる後期高齢者(75歳以上)に移行してくる年です。2016年度の社会保障関係費(社会保障給付の国庫負担)は32兆円を超え、国家予算(約97兆円)の約3分の1に達しています。しかし、2025年には後期高齢者数が2016年(約1691万人)の約1.3倍に増加し、介護費用は現状の約10兆円から21兆円に増加することが推定されます。さらに深刻なのは介護職員も38万人が不足することです。何とかして、限られた医療・介護資源の中で、効率を高め、質も維持・向上させながら、乗り切る必要があります。このような状況の中で、2018年度の医療報酬と介護報酬の同時改定は、2025年さらにはその先を見据えた改定となり、医療機関や介護事業者にとって厳しい改定となることが予想されています。プラス改定となるかマイナス改定か大変気になるところです。
もう一つ医療法人において節目となることがあります。2017年4月2日以降に開始する会計年度から公認会計士又は監査法人による監査が義務化されたことです。3月決算の医療法人は、2018年4月1日開始の事業年度から適用されます。対象となる法人の範囲は、医療法人が収益高 70億円以上、負債50億円以上で、社会医療法人が収益高 10億円以上、負債20億円以上です。対象法人数は、合計で約2,500法人にもなります。今後、対象とする法人の範囲をどこまで広げるかどうかはまだ決まっていませんが、公認会計士や監査法人にとっては大きなビジネスチャンスになっているようです。
現在、当法人においても来年度の本格監査に向けた予備調査が、既に開始されています。2018年4月1日開始事業年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書などの財務諸表の作成に向けて、事前準備を必要とする事項を洗い出し、必要事項は予め準備を進めています。法律で義務化されると避けようがありません。これによる法人側の作業負担や監査費用の負担も大きくなります。また、先に述べた医療・介護報酬改定においても、収入は公定価格であるため、政府の目指す方向性に沿った医療・介護を提供できるかが業績を左右します。今後も、これらの動向に目が離せません。