Kinoの自転車日記

自転車と共に過ごす日々

Campagnolo RECORD Piste Hub グリスアップ

2017-01-17 20:17:13 | 自転車整備 ハブ
オールドカンパと呼ばれている時代の Campagnolo RECORD Hub のグリスアップを
行います この時代のハブは触る度にその素晴らしさに魅了されます





今回整備するハブはスプロケットを取付けたままホイールを分解してしまっていたので
そのギアを取り外す為にもう一度ホイールを組みました ギアも無事に外せたので
ホイールを分解しましょう






もう使う事は無いスポークなので切ってしまえば
良いかも分りませんがそれは可哀想なのでニップルを
外しました




もう使わないと言いながら今回の事の様に役に立つ
事も有るのでまた保管しておきます





このハブは私が決戦用に使っていた物で選手を辞めてから使わずに置いていました
回転具合を見てみると、とても素晴らしい状態を維持しています しかしグリスも古く
なっているので整備をしてやります






ハブナットを外します
※ 今回の整備に出て来るネジは全て正ネジです




回転部分の分解はロックナットを緩める所から
始めます






ここで使う工具はハブスパナとかハブコーンレンチと
呼ばれる厚さ 2mm 位の薄いスパナが必要です 今回は
14mm のスパナを使います






ハブスパナは玉押しに使いモンキーレンチは
ロックナットに掛けます
この状態から両方の工具を引き寄せる様に力を
加えるとロックナットが緩みます





 
ロックナットを外しました






舌付のワッシャーを外し 玉押し(コーン)を外します






グリスは当時のカンパグリスが使われています
玉押しの玉当り部分はとても綺麗な状態です




片方の回転部分が分解出来たので 反対側から
ハブシャフトを抜きます






当時のグリスの汚れが少ないのでグリスアップ後に
あまり使っていなかったのでしょうね シャフトの
状態も良好です






最後にハブ本体に入っているスチールボールを
取り出して分解は完了です




この回転部分の構造をカップ&コーンと呼びますが
自転車のいたる所に使われています

玉受けにボールを入れ玉押しでボールを押し込み
一番軽く回る所に玉押しを調整しロックナットで
固定する これが組み付け調整の基本です




分解した各パーツを洗浄し綺麗にしましょう






強力な洗浄力を誇る SPIN のクリーナーですが
今回のカンパグリスには過去の経験から KURE の
クリーナーの方が相性が良さそうです 今回は
KURE を使います






分解したパーツを容器を使い別けながら綺麗に
洗って行きます メンテナンスで洗うと言う行為は
とても大切だと思います




パーツクリーナーをブロワで飛ばします
この為に空気圧は減圧弁で調整しています






ハブシャフトも洗ってやります 薄く塗っていた
グリスのお陰で錆も発生していません






ハブ本体内部の玉受けもウエスとクリーナーで
丁寧に拭き取ります




これで汚れたパーツの洗浄が完了です 新しいグリスや
オイルの性能を充分活かすには 古い油脂類を出来るだけ
残さないと言うのは大切な事だと思います




ここからは新しいグリスを使い組立調整を行います 
出来るだけ良い状態にしてやりたいですね






このハブには心情的には当時物のカンパグリスを
使いたい処ですが このハブの素性が良いので
戦闘的に Microon Assembly Lubricant
マイクロロンのルブリカントを使いましょう
とても良い、独特の手触りです
2 OZ(56g) 8000円(税別)






この潤滑剤は少量で良いので爪楊枝の先を削り
ハブの玉受けに薄く塗布しておきます




スチールボールを玉受けに入れて行きます
粘度の高いグリスを使う時は決して難しい
行程では無いのですが 粘度の低い油脂を
使う時は少し難しいですね






今回のカンパレコードのリアハブには 1/4サイズ
6.3500mm が 9個、片方に使われています




反対側の玉受けにもボールを入れて行きます








玉押しに薄くマイクロロンを塗ってからシャフトに
ねじ込みます








ここでグリスを少量ハブのネジに塗っておきます
これから取り付けるパーツとネジの錆を防ぐのが
目的です




舌付きワッシャーを入れ






ロックナットを入れます CAM. 67 の刻印が有ります
これは概ね 1967年に製造されたハブですが その年に
作ったロックナットが余れば翌年に使っていたとも聞きます






ロックナットをねじ込み指先で回転状態を確認します
指先でガタが無く一番滑らかに回るギリギリの一点を
探します




一番良い場所でロックナットを締め込んで玉当りの調整は
完了です これは妥協するなら難しい事は有りませんが
完璧に近い物を求めるなら相当に時間が掛る調整です




玉当りの調整も終わったので付着したグリスなどは
綺麗に拭き取ります






シャフトのネジに少量のオイルを使いハブナットを
取付けます




アルマイトがされていないハブ本体は ピカールで
艶を呼び戻してやります これで全ての作業が
終りました





Campagnolo RECORD Hub 28h 今迄に多くのカンパハブを触りましたが
今回のハブはそんな中でも回転状態が最高の部類です このハブで多くの
全国大会を走りました

コメント (4)
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