2008年6月17日東京都議会本会議での築地市場関連の審議のみ都議会ホームページ速報版よりピックアップする。
なお、赤文字⇒は、小坂の分析です。
アンダーラインは、私の見る重要箇所。
<小竹ひろ子議員、日本共産党都議団>
知事は、所信表明で、都民の批判が渦巻いている新銀行にも、築地市場の豊洲移転にも一切触れませんでした。みずからのトップダウンによる破綻が明瞭になると、ほおかむりして、都民の怒りをかわそうという態度にはあきれます。豊洲移転についていえば、そもそも東洋一のガス工場が三十年間も石炭や原油を燃やし続け、土壌と地下水が汚れ切った土地に生鮮市場移転を決めること自体無謀きわまりないことです。知事は、みずからの判断の誤りを認めるべきです。どうですか。
移転を決めてからのやり方もひどいものです。まず、知事は、東京ガスの不十分な調査で済ませようとしました。しかし、市場関係者と都民の世論に押されて設置した専門家会議の調査では、調査のたびに高濃度の汚染が見つかったのです。発がん性物質のベンゼンが土壌から四万三千倍、地下水から一万倍、あってはならない猛毒シアンが八百六十倍、水銀、砒素なども深刻な汚染です。
四万三千倍のベンゼンで汚染されている場所について、東京ガスは仮置き中のタールがドラム缶の腐食で漏れ出たものといっていますが、事実は違います。我が党は、現場で働いていた複数の労働者から、地面の上に直接おがくずを敷き、タールを流し込んで、まぜる作業が長年続けられたことによって、相当な面積の地面にタールがさんざんしみ込んでいるとの証言を得ています。都はこの事実をどう把握していますか。知事の責任で事実を調べ、都民に明らかにしてください。どうですか。
さらに重大なことは、知事や知事が委託した専門家が地下の軟弱な粘土層を不透水層と断定し、その下は汚染ゼロと見なしていることです。この地層は、水を通さない不透水層ではありませんし、「ゆりかもめ」の橋脚や水道管布設のためのボーリングなど、三十カ所近くも穴があけられ、汚染が広がっているのです。
環境学会の畑会長は、地下水が汚れている以上、上部の土だけ何度かえても、下から地下水で再汚染されると厳しく指摘し、全部入れかえるには四、五千億円かかるかもしれないと述べています。また、多くの専門家は、震災時の液状化現象が避けられない軟弱地盤の豊洲では、汚染の心配なく市場が運営できるなどとは、到底いえないと指摘しているのです。
知事、こうした畑会長を初め地質や土木の専門家の意見に耳を傾けるべきです。どうですか。少なくとも直ちにこれら専門家を含めた委員会を立ち上げ、粘土層の下も含めて、都民が納得できる調査、分析を行うべきです。お答えください。
築地で働く業者の方々や労働者、買い出しに来る業者、場外市場を含めた地元区民が求めているのは、築地での現地再整備です。知事は、アスベストの存在や種地がないなどの理由をつけて、再整備は不可能と決めつけていますが、ためにする議論でしかありません。
築地市場にあるアスベストは飛散しないものであり、法に基づいて密閉されています。建築家は、市場の建物を幾つかに分けて取り壊しながら再整備を進める場合でも、取り壊す部分を営業しているところから完全に隔離すれば、安全に撤去できるといっています。こんなことは建物が密集した東京では日常的に行われているのです。知事はそんなことも知らずに不安をあおっているのですか。答弁を求めます。
現地再整備のための仮移転用の種地の問題も、中央区の担当者は、区は現在でも再整備をお願いし、築地川東支川など埋立地を種地として都に提案しており、十分対応できると述べています。二〇〇三年には、市場関係者から、都の過大な再整備案より築地市場の現状に見合ったコンパクトな計画案が出されており、関係者の合意のもと、知恵を集めれば、新たな再整備案を練り上げることは十分可能です。今こそ知事は築地市場の現在地再整備に立ち返るべきです。答弁を求めます。
<石原慎太郎都知事>
豊洲の移転についてでありますが、この判断は、現在の築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ているだけではなくて、衛生面での課題やアスベストにも問題がありまして、一刻も早い対応が必要であります。
築地市場の移転は、長い長い年月をかけてさまざまな案を検討し、結果、関係者間で議論を尽くして決定したものであります。ただ、再調査の結果、あそこにああいった汚染というのがかなり深刻に進んでいるということは、後に判明したことでありますが、しかし、その代案も含めて検討してまいりましたけど、当面、つまり、豊洲の移転というものを想定して、そのための対処というものを考えていくつもりでございます。
⇒知事は、当面、豊洲の移転を想定していくらしい。
<比留間英人中央卸売市場長>
築地市場の移転に関する四点の質問にお答えいたします。
まずタールの処理についてでございますが、東京ガス株式会社に照会したところ、同社が当時の従業員に実施した調査では、ガス製造過程で発生したタールスラッジを地面の上で直接木くずとまぜる作業をしたという話は聞いていないとの回答がございました。
次に、新たな委員会の設置と粘土層下の調査についてでございます。
豊洲地区の土壌汚染対策を検討している専門家会議は、有害物質、水質、土質、環境保健の各分野で日本有数の知識と経験を有する学識経験者から構成されてございます。
また、関東地方の地層や土質に詳しい委員から、豊洲地区の不透水層を形成している粘土層は水を通しにくく、汚染の可能性は低いことから、ボーリングにより粘土層を打ち抜き、下部に汚染を拡大させるべきではないとの意見をいただいております。
したがいまして、新たな委員会の設置及び粘土層の下を調査する考えはございません。
⇒問題の不透水層は、水を通していくということの指摘がある。すなわち、汚染されている可能性はある。
次に、築地市場のアスベストについてでございます。
築地市場の解体工事の際、アスベストが確認された施設はすべて飛散防止対策工事を行っていかなければなりません。現在地再整備の場合には、営業しながらの工事になり、また、生鮮食料品を扱う市場という特殊性から、より安全な工事が求められるため、工事区域を通常の工事より広く設定することとなります。また、その結果、工事期間も通常のローリング工事よりもさらに長期になるため、市場業者の営業に一層深刻な影響を与えることとなります。
⇒アスベスト処理は、可能。ただし、どこに残存しているか明らかにしてほしい。
次に、築地市場の現在地再整備についてでございます。
本年五月、築地市場の大多数の団体の連名で、築地での再整備は不可能といわざるを得ず、土壌汚染対策に万全を期し、豊洲移転を早期に進めてほしいという要望書が出されました。
築地市場の再整備につきましては、種地が確保できないことに加え、敷地が狭隘なため、品質管理の高度化や、新たな顧客ニーズに対応する各種施設を整備する余地がないこと、営業しながらの長期間で困難な工事となり、市場業者の経営に深刻な影響を与えることなど多くの課題があることから、現在地再整備は不可能でございます。
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