「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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民訴12 通常共同訴訟における証拠共通の問題

2014-02-21 02:56:08 | シチズンシップ教育
事案:
 Y1と訴外亡Aは、両名の共有にかかる本件建物を、Xに売り渡した。その後、Y1は、自己の単独所有を装ってY2に二重に売り渡しし、Y2はY3に売り渡した。

 Xは、本件建物につき所有権保存登記を経由するとともに、Y1とAを仮処分債務者として処分禁止の仮処分を執行したところ、Y3もまた、両名を仮処分債務者として同様の仮処分を執行した。

 Xは、亡Aの訴訟承継人であるY2及びY4に対する本件建物の所有権移転登記請求訴訟(第1訴訟)を提起。また、Y3に対し本件土地明渡し、及び本件土地建物の不法占有を理由とする損害賠償請求の訴え(第2訴訟)を提起。
 その後、第1訴訟の第1審継続中に第2訴訟との間で弁論が併合された。第1審では、Xの請求が認容。

 原審が、第1訴訟について提出された証拠を、Y3の援用のないままに第2訴訟について主張の当否の認定資料に供したのは弁論主義に違背するかどうかが問題点となり、Y3は不服申立てを考えている。


問題となる条文:
 民訴法39条

(共同訴訟人の地位)
第三十九条  共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。


条文のどの文言の解釈の問題か
 共同訴訟人独立の原則があるが、共同訴訟人の1人が提出した証拠については、援用の有無にかかわらず、他の共同訴訟人についても事実認定の資料とすることができるかどうかが問題となっている。


自分と反対の考え方:
 援用必要説。

上記考え方の問題点:
 証拠は、裁判所が判断すべきものであり、援用がなければ、その共同訴訟人に関する事実認定の資料にできないとなると、自由心証主義に反することとなる。

自分の考え方:
 通常共同訴訟において、共同訴訟人の1人が提出した証拠は、援用の有無に関わらず、他の共同訴訟人についても証拠として事実認定の資料とすることができると考える。なぜならば、 共同訴訟をするのであるから、統一的処理ができることが望ましいから証拠も統一的に扱われるべきである。さらに、証明しようとする事実は一つなのであって、自由心証主義のもと、裁判官が証拠の評価をするべきであるからである。
 従って、Y3の不服申立てには理由がない。

 また、Y3にとっても、その証拠が、自分に関する部分について、事実認定の資料に使って心証形成をしてほしくないのであれば、その旨を第1審係属中に弾劾する機会が与えられているのであり、Y3にとっても許容されるべき結論であると考える。 

                        

  以上

最判昭和45年1月23日民集98号43頁、(主要判例96)
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民訴11 「請求の基礎に変更のないこと」に該当しないのに、訴えの変更が許される場合があるか

2014-02-21 02:52:24 | シチズンシップ教育
事案:
 X所有の土地上に訴外Aが甲家屋を所有しYに賃貸。

 Xは、訴外Aから甲家屋を譲り受けた後、Yに対し、甲家屋の明け渡しと延滞賃料および賃料相当額の支払請求訴訟を提起。

 これに対して、Yは、甲家屋を取り壊して自ら乙家屋を建築したため、X主張の甲家屋は既に滅失しているためX主張の請求には理由がないと積極否認事実を主張。

 そこで、Xは、Yに対して土地所有権に基づく乙家屋の収去土地明け渡し請求を予備的に追加。

 Yが異議を申立てたため、裁判所に訴えの変更の可否の判断が求められた。

問題となる条文:
 民訴法143条1項

(訴えの変更)
第百四十三条  原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない
2  請求の変更は、書面でしなければならない。
3  前項の書面は、相手方に送達しなければならない。
4  裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない。


条分のどの文言解釈が問題か:
 「請求の基礎に変更がない限り」という条文の文言の解釈が問題となっている。


自分と反対の考え方:
 請求の基礎の同一性や被告の同意の有無のみで、「請求の基礎の変更にあたる」かどうかを判断し、請求の基礎に変更にあたれば、変更を認めないと判断する考え方。

 本件の場合は、旧請求は、賃貸借契約に基づく建物明渡請求であり、新請求は所有権に基づく土地明渡請求であり、請求の基礎に変更があるため、変更を認めないと考える。


上記考えの問題点:
 Xは、当初、賃貸借契約に基づき債権的な請求をYにしていたが、Yの積極否認事実をもとに、予備的に、土地所有権に基づく物権的請求を新請求として加えた事案である。請求の基礎の同一性を形式的に判断すると、請求の基礎の同一性がないということで、Xの訴えの変更が認められなくなることとなる。

 被告が積極否認事実を出してきたときにまで、その事実に基づいて訴えが変更できないとなると、本件のように、原告側にとって不利な結論が導かれる結果となる場合があり問題である。


自分の考え方:
 「請求の基礎に変更のないこと」という要件は、本来、訴えの変更を口実に、被告が旧請求と無関係な訴訟への対応を強いられるのを防止するという被告の利益保護のためにある。

 本件では、そもそも、訴えの変更の必要性が生じたのは、被告Yの積極否認事実の主張のためであり、たとえ請求の基礎の同一性がない変更となったとしても、被告の主張に基づいている以上、被告の利益に不利な対応を強いることにはならず、137条1項の趣旨に反しないから、本件では、この要件は考慮する必要はない。
 従って、他の要件を充足する限り変更が許されるべきと考える。

以上

最判39年7月10日民集18巻6号1093頁(主要判例327、百選1ー75)
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民訴10 口頭弁論終結後の承継人として既判力が及ぶ範囲

2014-02-21 02:48:01 | シチズンシップ教育
事案:
 YはAに対して、通謀虚偽表示を理由として、甲土地の所有権移転登記手続請求訴訟を提起(第一訴訟)し、Y勝訴。

 確定判決後、強制執行の申立ての前に、XはAを債務者とする強制執行事件で、上記事情を知らないまま、甲土地を競落し、所有権移転登記した。

 Yは、Xに対して、真正な登記名義回復のための所有権移転登記手続請求訴訟を提起(第二訴訟)。

 Yが、第一訴訟判決の既判力のXに対する拡張を主張し、裁判所の判断が求められた。Xが、第一訴訟の当事者Aの承継人として、第一訴訟の既判力が及ぶかが問題である。


問題となる条文:
 民事訴訟法115条1項3号

(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条  確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一  当事者
二  当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三  前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四  前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2  前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。



条文のどの文言解釈が問題か:
 当事者の口頭弁論終結後の「承継人」の解釈。


自分と反対の考え方:
 権利関係の承継のみを基準として承継人に該当するか否かが決定されるとする見解(形式説)。

上記考え方の問題点:
 本件の場合は、形式説を取った場合は、Xは、Aの口頭弁論終結後の承継人に該当し、第一訴訟確定判決の既判力を及ぼされることとなる。
 
 しかし、Xに対する既判力拡張の作用は、第一訴訟口頭弁論終結時において、YがAに対して所有権に基づく所有権移転登記請求権を有していたことを、XがYとの関係で争えなくなるだけであり、Xが「固有の抗弁」を主張することは既判力によって妨げられない。XはAが無権利者であったことに善意であったと認められ、民法94条2項の善意の第三者に該当するとして、Yの請求は棄却されると考えられる。
 
 形式説の場合には、既判力が及ぶとされること自体を理由に、本来実体法上その正当な権利を有しているXのようなものにまで裁判が強いられることとなり問題である。訴訟経済上もまた問題である。


自分の考え方:
 権利関係の承継を基準として、承継人とされる場合であっても、第三者が実体法上保護されるべき独自の地位を持つ(「固有の抗弁」を有する)ときは、承継人として扱うべきではなく、第一訴訟の既判力の拡張を受けないと考える(実質説)。

 本件では、Yは、土地甲につきA名義でなされた所有権取得登記が、通謀虚偽表示によるもので無効であることを、善意の第三者であるXに対抗することはできないのであるから、Xは土地甲の所有権を取得するに至ったものであるというべきである。このことは、YとAとの間の第一訴訟の確定判決の存在によって左右されず、その既判力はAから甲土地を第一訴訟の確定判決後に承継しているとしてもXには及ばない。
よって、Yの主張は排斥されるべきと考える。


→115条1項3号により既判力を口頭弁論終結後の承継人に拡張することが許されるのは、被承継人により手続保障が充足されていたことによる。

 そのため、承継人に固有の地位があるときは、少なくともその点について手続保障が充足していたとはいえない。

 よって、そのような場合は、承継人とはいえない。

以上






最判昭和48年6月21日民集27巻6号712頁(主要判例236、百選4-87)
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民訴9 基準時前に取消事由発生、基準時後の取消権行使の主張は、既判力によって遮断されるか

2014-02-21 02:42:05 | シチズンシップ教育
事案:
 前訴にて、買主Yは、売主Xを被告として、XY間の土地売買契約に基づき売買目的物である土地所有権確認及び所有権移転登記手続請求訴訟を提起し、Y勝訴。

 XからYへの土地の所有権移転登記が実行された。

 その後、Xは、売買契約がYの詐欺で取消した。取消権行使によって売買契約は効力を失ったとして、XはYに対して、所有権移転登記の抹消登記手続請求訴訟を提起。

 Xの主張する詐欺の事実が存在する場合、裁判所は、Xの取消権行使の主張を認めるかどうかが問題である。

訴訟法上の問題となる理論
 既判力の遮断効(民事執行法35条2項参照)

どのように問題か:
 基準時における判断と矛盾する主張は、既判力の消極的作用によって遮断され、後訴で取り上げられて再審理されることはないとする既判力の遮断効の解釈。
 請求異議の訴えにおいて、異議の事由は、「口頭弁論の終結後に生じたものに限る。」(民執35条2項)ということの解釈。
 

自分と反対の考え方:
 取消権は、既判力により遮断されないとする説(否定説)

上記考え方の問題点:
 既判力は、判決によって確定された権利関係の法的安定性を図って、訴訟制度の機能目的を達成するための不可欠な効力とされている。
 もし、取消権行使が、既判力によって遮断されないとなると、その法的安定性が害され、権利関係が混乱することとなり問題である。

自分の考え方:
 前訴でXY間の権利関係は確定し、既判力に当事者や裁判所は拘束される以上、基準時以降の取消権行使の主張は、既判力により遮断される。

 なぜなら、取消権は、契約上の請求権に付着する権利である以上、独立に遮断効が及ばないものとして扱うべきでなく、両者を一体として考察すべきである。ならば、基準時前に発生し行使可能であった以上、行使がいつであるかを問題とすることなく、基準時前に発生した事由として遮断効を及ぼし、法的安定性を図るべきである。

 また、前訴において、Xは取消権を行使し、その効果を主張することができたのにしなかった。Xには手続関与が保障された結果として、自己責任に基づき判決結果を受容すべきである。

 従って、Xの取消権行使の主張は、認められない。

 なお、民法126条前文が取消権行使につき期間を保障している点(取消権の消滅時効は5年)については、期間制限は、この期間を過ぎれば取消権行使はできないことを意味するのであって、期間内は、権利行使が当然に保障されているとまで強くとらえるべきではなく、少なくとも訴訟を提起して決着を求めて来た時までも権利行使が保障されている期間として見るべきではないと考える。
 なぜならば、訴訟が提起されたときには、特別の事情がない限り、被告もその訴訟の中で取消事由をも含めて決着をつけるべきであり、それを被告に要求しても不当とまでは言えないからである。従って、Xの主張を遮断することは、民法126条に抵触するものでもない。

以上


最判昭和55年10月23日民集34巻5号747頁(主要判例221、百選4-78)
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民訴8 証拠保全での、保全事由の釈明の程度

2014-02-21 02:37:49 | シチズンシップ教育
事案:
てんかんを有するXは、精神不安定の状態からB病院に入院した。

 当時日常的に畑仕事や家事手伝いをこなしていたXは、入院後2週間で、全く歩行ができず、言葉もほとんど分からない状態となった。

 Xの家族は、B病院を経営するY1とB病院の副院長Y2に説明を求めたが、Yらは何ら詳しい説明をせず、逆に説明を求める家族を叱りつけたり、身体障害者手帳が3級になったのだからよいではないかなどの発言をした。

 Xの家族は、B病院の看護士から再三転院を勧められ、外泊を機会に退院。その後訴外C病院に入院したが、CT検査の結果、著名な小脳萎縮がみられ、上記症状の原因と診断された。
 
 Xは、B病院における精神安定剤、抗てんかん剤の多量使用の副作用が症状悪化の原因と考え、Yらを相手取って損害賠償訴訟を準備中であるが、これに先だって診療録などの診療記録の証拠保全を申立てた。

 しかし、疎明が十分でないとして却下された。抗告も棄却。
 
 そこで、Xは、Yらの態度等を疎明資料として追加し、再度証拠保全の申立てをした。

 裁判所には、証拠保全を求める決定を下すことができるかどうか判断が求められており、判断に当たりどの程度疎明をしなければならないかが問題点となっている。


問題となる条文:
 民事訴訟規則153条3項

条文のどの文言の解釈が問題か:
 民事訴訟規則153条3項で、保全事由は「疎明しなければならない」の文言の解釈が問題である。

自分と反対の考え方:
 保全事由は、抽象的な危険の存在を主張すれば足りるとする見解

上記考え方の問題点:
 証拠保全は、相手方の財産の侵害行為となりかねない。

 すなわち、抽象的な危険の存在の主張で、保全事由が足りるとすると、思い込みによる証拠保全の申立が安易に認められることになり、制度の濫用に結びつくことになる。

 結果、相手側の財産権の侵害行為が容易に起こることになってしまう点で、問題があると考える。


自分の考え方
 証拠保全は、具体的な疎明は必要であるが、予想される争点との関係で、証拠としての重要性が認められ、一般的経験則に照らして改ざん等が容易であり、かつ、他の事例などの経験によれば、改ざんなどの可能性が相当程度存在すると認められれば、相手方自身について具体的事情を問題とするまでもなく、保全事由を認めてよいと考える。

 すなわち、診療録等の改ざんのおそれを証拠保全の事由とする事案では、人は自己に不利な記載を含む重要証拠を自ら有する場合に、これを任意にそのまま提出することを欲しないのが通常であるからといった抽象的な改ざんのおそれでは足りず、当該医師に改ざんの前歴があるとか、当該医師が、患者側から診療上の問題点について説明を求められたにもかかわらず相当な理由なくこれを拒絶したとか、あるいは前後矛盾ないし虚偽の説明をしたとか、その他ことさら不誠実又は責任回避的な態度に終始したことなど、具体的な改ざんのおそれを一応推認させるに足る事実を疎明することを要するものというべきである。

 本件では、Xの症状とYらの治療経過が書かれたものとして診療録という極めて重要な証拠の証拠保全を求めている。
 Yらは、Xの家族から診療上の問題点について説明を求められたのに症状悪化の理由を詳しく説明しようとせず、逆に、説明を求める家族を叱りつけたり、身体障害者手帳が3級になったからよいではないかと言明するなど不誠実かつ責任回避的な態度に終始していることから、YらがXに関する診療録を改ざんするおそれがあると一応推認することができる。
 よって、証拠保全の事由について疎明があったものといえる。

以上

広島地決昭和61年11月21日(主要判例447、百選4-73)
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民訴7 自己専利用文書に該当するものとして提出命令の除外を認めることの当否

2014-02-21 02:10:18 | シチズンシップ教育
事案:
 Y銀行がXに6億円にも上る多額の融資をし、Xがその資金で有価証券の一任売買で多額の損失を被った。

 そこで、Xが、Yに対して、過剰な融資の実行は顧客の資金運用計画についての安全配慮義務に違反するとして損害賠償請求訴訟を提起。

 審理において、有価証券取引によって貸付金の利息を上回る利益を上げることができるとの前提でYにおけるXへの貸し出しに関する検討が行われたこと等を証明するため、Yの所持する本件融資に関する貸出稟議書等の文書提出命令を申立てられ、裁判所の判断が求められた。

問題となる条文:
 民事訴訟法220条4号ニ

(文書提出義務)
第二百二十条  次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一  当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
二  挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
三  文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
四  前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書



どの文言解釈が問題か:
 「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」

自分と反対の考え方:
 自己専利用文書となるのは、主として個人のプライバシーにかかわる日記や備忘録に限定され、金融機関の貸出稟議書は自己専利用文書にあたらず提出義務があるとする説。無条件否定説(提出義務肯定説)。

→自己先利用文書の沿革に顧みれば、あまりよい、反対説とはいえない。
 それよりは、
 下記、①又は③の要件を満たさない。
 ①専ら内部の事務処理上の便宜のために作成されたものであり、外部の者に開示することを予定していないこと、→金融庁検査に供されることがあり、外部に開示されてないとは言えない。
 ③開示すべき特段の事情のないことの各要件が該当した場合には、自己専利用文書として、提出義務が課されないといえる。→真実発見の要請が強く開示すべき特段の事情がある。
 だから、提出義務がある。
 というほうが、よい。
 


上記考え方の問題点:
 銀行の貸出稟議書は、銀行内部において、融資案件についての意思形成を円滑、適切に行うために作成されるものであって、法令によって作成を義務付けられているものでもなく、融資の是非の審査にあたって作成される文書の性質上、忌憚のない評価や意見も記載されることが予定されている。

 したがって、貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると、委縮効果を生じさせ、銀行内部における自由な意見の表明に支障を来しことになるため、銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあることが問題点として上げられる。


自分の考え方:
 文書の作成目的、記載内容等の事情から判断して、

 ①専ら内部の事務処理上の便宜のために作成されたものであり、外部の者に開示することを予定していないこと、

 ②開示すると、個人のプライバシー侵害や、個人・団体の自由な意思形成の阻害など、所持者に見過ごすことのできない不利益が生じるおそれのあること、

 ③開示すべき特段の事情のないことの各要件が該当した場合には、自己専利用文書として、提出義務が課されないといえる。

 特段の事情には、文書提出命令申立人が所持者と同一視できる立場にある場合だけではなく、争点判断のための不可欠性や代替証拠の有無を包含して判断すべきである。

 
 本件では、銀行の貸出稟議書であって、

 ①外部に開示が予定された文書ではなく、

 ②開示をされることで、銀行内部の意思形成過程が阻害されるおそれがあるといえるが、

 ③Yの支店長Aは、Xの経済状態からすれば、貸付金の利息を有価証券取引から生じる利益から支払う以外にないことを知りながら、リスクの高い投資をXにすすめ、過剰な融資を実行したという金融機関の貸し手責任の事案であるため、争点判断のために貸出稟議書は重要であり、代替証拠もないといえるため、提出義務があるといえる。

 たとえ、銀行内部の意思形成過程を阻害する理由から全体の提出が無理であったとしても、文書中の発言者名を黒塗りにして一部非開示にするなどの処理を施しできるかぎりの配慮をとった上で、提出させる方向で判断すべきと考える。

(補足)
 本件からは離れるが、多額融資の事案であれば、不正融資と関連して銀行支店長等が特別背任罪で起訴され刑事事件となることもある。
 その場合は、貸出稟議書も証拠提出されることが考えられる。
 そうすれば、刑事訴訟法53条1項より「何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。」のであるから、同時に刑事裁判が争われた事例では、民事訴訟手続きでは提出がかなわなかったが、刑事訴訟手続きを通じ貸出稟議書等の証拠が入手できる可能性があるといえる。(刑事事件までにはいたらないからこそ、本件のような事案になるのだと思われる。)


以上
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民訴6 自白の撤回が、間接事実であることを理由に許されるか

2014-02-21 01:52:25 | シチズンシップ教育
事案:
 Aが有していた債権を相続により受けついだXがその支払いをYらに求めたところ、Yらは、AはBから家屋を買い受けその代金支払いの一部として問題の債権をBに譲渡した(したがって、Xは債権者ではない)、と抗弁し、Xも、AがBから家屋を購入したことは認め、しかし、債権譲渡は否認した。
 後に、家屋購入の事実の自白をXが撤回したために、この自白の撤回が許されるかが問題となった。

問題となる条文:
民事訴訟法179条

(証明することを要しない事実)
第百七十九条  裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。


条文のいかなる文言の解釈適用の問題か:
 当事者が自白した事実」に、該当するかどうかが問題。

自分と反対の考え方:
 本件の場合、主要事実は債権譲渡であり、自白の対象であった家屋の売買は、この主要事実認定の資料となる間接事実に過ぎず、間接事実の自白には拘束力がない。
 従って、本件の自白の撤回は許されるとする考え方。

上記考え方の問題点:
 代物弁済により消滅すべき債権の発生原因である建物売買契約締結を債権譲渡と切り離して考えることは、適当ではない。

 本件の場合は、一旦、消滅すべき債権の発生原因である建物売買締結をXが自白したが、それが安易に撤回できるとなると、その自白が成立しているならば、債権譲渡の立証につながるため、重要な事実として争ってきたYの手続の保障にかけることとなり、不当である。


自分の考え方:
 債権譲渡では、その原因行為(債権の売買、譲渡担保など)も主要事実として考えるべきである。
 本件では、建物の買い受けをXが自白にて認めている。建物の買い受けは、債権譲渡の原因行為であることから、主要事実であるために、撤回を認めるべきではない。

以上

→上記考え方の問題点は、再考の余地有り。

昭和41年9月22日民集20巻7号1392頁(所要判例401、百選4-54)
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民訴5 時期に後れた攻撃防御方法

2014-02-21 01:39:47 | シチズンシップ教育
事案:
 控訴審において、第4回口頭弁論期日と第7回口答弁論期日とにそれぞれ和解の勧試がなされ、口頭弁論と並行的に和解期日が指定され、和解交渉が行われたものの、それぞれ、第5回口頭弁論期日および第8回口頭弁論期日までに交渉が決裂した。
 ところが、第11回期日にいたって、Y1が借地借家法14条による建物買取請求権を行使する旨の主張をした。

問題となる条文:
民事訴訟法157条1項

(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
第百五十七条  当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
2  攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。


条文のいかなる文言の解釈の問題か:
 「故意又は重大な過失」


自分と反対の考え方:
 建物買取請求権を行使する旨の主張は、故意又は重大な過失により時期に後れて提出した攻撃防御方法であり、却下すべきという考え方。

上記考え方の問題点:
 建物買取請求権は、実体法のレベルにおいて、明確な借地人保護を立法上明記されている仮定抗弁であり、訴訟においても最後の手段として予備的になされるものであるにもかかわらず、時期に後れた主張として却下されるとなると、抗弁を提出する側に萎縮効果が働き、早い段階から主張せざるを得なくなる。
 本来、主意的主張のほうで勝訴判決が得られるはずのところが、予備的主張のほうが採用されることにつながりかねず、または、和解が不利に進められる結果となりかねず、建物買取請求を主張する側の法的保護にかける結果となり問題である。


自分の考え方:
 建物買取請求権行使の予備的主張が、第11回口頭弁論で始めてなされた。結果として、買取価格の認定のための証拠調べなどのため、訴訟の完結が遅延することになる。しかし、賃借人に対しての建物収去土地明渡請求事件では、仮定抗弁として、最後に主張されることが多いのであり、本件でも、和解による解決を試みられていた経緯からすると、和解が決裂する8回までに主張がなされず、後れたのはやむを得なかった。
 さらに、9回や10回で、釈明権を行使して、建物買取請求権を行使するかどうかを賃借人Y1に確かめるべきであったといえる。釈明権を行使されていないのであるから、11回の建物買取請求権行使には、重過失があったとまでは、認定できない。
 よって、建物買取請求権行使の主張は、採用されるべきである。

以上

最判昭和46年4月23日(主要判例366、百選4-45)
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民訴4 追完の可否

2014-02-21 01:19:40 | シチズンシップ教育
事案:
 XはYに対して、売買契約に基づいて、甲土地の所有権移転登記請求訴訟を提起した。

 未成年であったYは、その親権者である母Aと共に生活し、そのことをYも知りながら、Yの本籍地に訴状を送達し、不送達となると、送達場所を売買契約書に記載されたYの旧住所に送達、これも不送達となると、送達者の住所不明を理由にして、Yに対する書類の送達を公示送達の申立をし、再難所から許可をえた。

 Yに対する書類はすべて公示送達によることとなり、昭和32年3月にY不出頭のまま第1審X勝訴判決を得た。

 その判決正本も公示送達の方法によってなされた。

 Y及びAはその経過を全く知らなかったが、昭和35年6月本件訴訟の確定判決を債務名義とした強制執行により、本件土地の所有権移転登記がなされることを知って、調査の結果公示送達の事実を知り、同年7月に控訴を提起した。


問題となる条文:
 民訴法97条1項

 (訴訟行為の追完)
第九十七条  当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる。ただし、外国に在る当事者については、この期間は、二月とする
2  前項の期間については、前条第一項本文の規定は、適用しない。


条文のどの解釈の問題か:
 「当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合」という文言の適用の可否が問題となっている。

自分と反対の考え方:
 公示送達の方法によってなされた判決の送達後に控訴期間を徒過した場合、懈怠した控訴提起の追完は当然には認めないとする考え方。


上記考え方の問題点:
 実際は相手方の居場所を知っているにも関わらず、その居場所とは異なる場所に送達することで不送達となったことを理由に公示送達の申立をし、許容された後は、公示送達の方法を利用して相手方の知らないうちに粗相行為を自分に有利に進めることが可能なる。

 公示送達の制度の濫用につながりかねない点で、問題である。

自分の考え方:

 Xは、実際はYの居場所を知り、同所を訪問し本件請求のことでAと交渉を行っていたのであるから、その場所に訴訟資料を送達すべきであった。

 しかし、Xは住所地を知らないと称し、公示送達を申立て、公示送達の方法を利用し、Yが知らないうちに訴訟行為がなされた。

 相手方が住所地を知っていた以上は、たとえ、公示送達がなされていたとしても、当事者がその責めにきすることができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合として、Yのした控訴提起の追完を認めるべきである。

 よって、公示送達の事実を知ってから「1週間以内」に控訴提起をした場合、Yの公訴提起の追完は認められる。

以上

最判昭和42年2月24日民衆21巻1号209頁(主要判例190、百選4-A13)
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民訴3 「過去」の確認の訴えについて、訴えの利益があるか

2014-02-21 00:55:41 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
事案:
 Aは、昭和37年2月に死亡したが、昭和35年9月に自筆証書遺言を作成していた。
 遺言の内容は、相続財産を特定の相続人に与える趣旨のものであったが、特定の相続人が誰をさすのか明確にされていなかった。
 Xは、遺言の無効確認の訴えを提起したが、過去の法律行為の無効確認の訴えであり、訴えの利益があるかどうかが問題となった。

民事訴訟法のいかなる理論の問題か:
 確認の訴えの場合、訴えの利益があるとされるのは、「現在」の「自己」の「権利・法律行為」の「積極的」確認を行う場合に限るとする対象選択の適否の問題。

どの要件の問題か:
 「現在」性に関する要件が問題となっている

自分と反対の考え方:
 権利関係は、変動の可能性があり、「過去」の法律関係を確認しても「現在」の紛争解決に有効・適切であるとは言えない。
 従って、「過去」の法律関係の確認の訴えは、訴えの利益を欠き不適法とする考え方。

上記考え方の問題点:
 たとえ、「過去」の権利関係であったとしても、その法律関係が、諸々の法律関係の源泉であるなど権利関係の抜本的解決のために有効・適切で有る場合には、「過去」の法律関係の確認の訴えの利益は、肯定されるべきであるが、上記考え方のようにあくまで、「現在」性にこだわるなら、認められないことになり問題である。

自分の考え方:
 本件訴訟は、「過去」になされた自筆証明遺言の遺言無効の訴えである。
 「過去」になされた遺言無効の訴えは、遺言が無効であることを確認するとの請求の趣旨のもとに提起されるから、形式上「過去」の法律行為の確認であるが、いかなる権利関係について審理判断するかについて明確さを欠いておらず、また、当事者間の紛争の直接的な対象である基本的法律関係である遺言の無効の当否を判示する。従って、「現在」の相続問題を解決することを可能にするのに必要不可欠であり、確認訴訟のもつ紛争解決機能が果たされると言える。
 よって、本件訴訟は、「過去」の法律行為の確認であるが、確認の訴えの利益を認める。


以上

最判昭和47年2月15日民衆26巻1号30頁(主要判例280、百選4-23)
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民訴2 民訴法55条2項に規定する和解の代理権の及ぶ範囲

2014-02-21 00:42:31 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
事案:
 貸金返還請求訴訟の被告であるXは、弁護士Aを訴訟代理人として選任し、その委任状には、特別権限事項の和解権限も含まれていた。
 Aは、Xが和解について明確に拒否しているにも関わらず、抵当権設定を内容とする和解をした。

問題となる条文:
 民事訴訟法55条2項2号

(訴訟代理権の範囲)
第五十五条  訴訟代理人は、委任を受けた事件について、反訴、参加、強制執行、仮差押え及び仮処分に関する訴訟行為をし、かつ、弁済を受領することができる。
2  訴訟代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない
一  反訴の提起
二  訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は第四十八条(第五十条第三項及び第五十一条において準用する場合を含む。)の規定による脱退
三  控訴、上告若しくは第三百十八条第一項の申立て又はこれらの取下げ
四  第三百六十条(第三百六十七条第二項及び第三百七十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意
五  代理人の選任
3  訴訟代理権は、制限することができない。ただし、弁護士でない訴訟代理人については、この限りでない。
4  前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。


いかなる条文の解釈適用が問題か:
 「和解」の文言の解釈の問題

自分と反対の考え方:
 和解の代理権は訴訟物の範囲に限定されるとする見解。

上記考え方の問題点:
 包括委任の趣旨は、訴訟代理人となる弁護士資格への信頼を基礎として、包括的な代理権を弁護士に与え、手続の明確性・円滑性を担保するところにある。
 
 上記見解の場合、訴訟代理人の権限は、争われている訴訟関係だけに限定されてしまい、たとえ、訴訟代理人が、多角的な分析のもと、経験と専門知識を持って、本人に最も適切な解決策を見いだしたとしても実行できなくなってしまうおそれがある。
 特に和解では、互譲を前提とするが、その際は、相手方の提案が、訴訟物の範囲外にまで及ぶことがある。
 代理権限が訴訟物の範囲に限定されると、相手方の提案に臨機応変に対応することが難しくなり、和解の成立が限定されるし、時間も要することとなり、結局、本人に不利に働くこととなる。


自分の考え方:
 訴訟代理人の和解の代理権は、訴訟物に限定されず一定の範囲に及び、実体法上の代理権もその範囲に拡張されると解すべきである。
 従って、本件では、Xが和解を拒否していたとしても、特別権限事項で和解権限も訴訟代理人の委任の範囲に含まれている以上、Aのした和解は有効であるし、返済確保のため抵当権を設定した行為自体も和解の代理権の範囲内の行為として一般的かつ合理的である。

以上


最判昭和38年2月21日民集17巻1号182頁(主要判例168、百選4-19)
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民訴1:移送の申立てを受けて、移送の当否の判断

2014-02-21 00:23:13 | シチズンシップ教育
事案:
 X3および両親X1,X2から原告らの住所地(義務履行地)の奈良地方裁判所に提起された訴訟を、病院所在地(不法行為地)かつ被告の普通裁判籍所在地の裁判所へ移送するよう申立てがなされており、法的判断が求められている。

問題となる条文:
 民訴法17条

(遅滞を避ける等のための移送)
第十七条  第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

どの要件の解釈適用が問題となるか:
 「訴訟の著しい遅滞を避けるため、必要があると認めるときは」とは、どのようなときを指すかが問題。

ひとつの考え方:
 「当事者間の衡平」を考慮して判断するべきとの見解

上記考え方をとらない理由:
 原告の負担ももちろん大事であるが、原告は訴えを提起した側であり、その負担も十分にわかって提起しているわけである。

 当事者間の衡平の問題を、他の制度、本件の場合は、法律扶助制度などを用いることで解決もしくは軽減できるのであれば、「訴訟遅滞」の回避に重きをおいて、移送の要否を判断すべきと考える。


他の考え方:
 「訴訟遅滞」と「当事者の衡平」を、事案において総合的に比較衡量のうえ検討し判断すべきと考える。

 本件の場合は、ほとんど全員が鹿児島市か宮崎市に在住の担当医師、看護士、保育士らの証人尋問及び熊本県在住の鑑定人の尋問が申請され、保育器など現場検証の申し出もなされている。

 訴訟遅滞の主要な要因となる証拠調べの手間や証人の負担を考慮し移送の是非を判断すべきと考える。

 従って、裁判所は、申立てを受け、鹿児島県地方裁判所又は、宮崎地方裁判所へ移送すべきである。

 鹿児島地方裁判所とするか宮崎地方裁判所とするかは、証拠調べの際のより重要な証拠のある場所、本件であれば、どの地点が、失明における原因としてより重要であったかで判断すべきであると考える。

 あるいは、鹿児島地方裁判所と宮崎地方裁判所にそれぞれ事件の分離をするという方法もありうる。

以上

大阪高決昭和54年2月28日(百選1-34)
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愛媛・伊方町:脱原発団体の町施設使用申請に拒否回答???→明らかに違憲だと思う。

2014-02-20 19:22:56 | シチズンシップ教育

 町の施設を、住民がその集会施設の使用目的にそって、講演会での使用を申し込んだにもかかわらず、町は、講演会の内容を理由に、使用を拒否したとのこと。

 町長が、原発推進であれ、原発反対であれ、それと施設の利用は、別次元の問題。
 
 あきらかに違憲な施設使用不許可処分だと思います。
 

 

****************************
http://mainichi.jp/select/news/20140220k0000m040166000c.html

愛媛・伊方町:脱原発団体の町施設使用申請に拒否回答

毎日新聞 2014年02月20日 07時00分


 四国電力伊方原発のある愛媛県伊方町で、地元の脱原発団体が講演会の会場に町施設の使用許可を求めたところ、町から「(伊方原発)3号機の再稼働の行方がはっきりするまで貸せない」と拒否されていたことが19日、分かった。東京電力福島第1原発のある福島県双葉町の前町長、井戸川克隆(かつたか)さん(67)を講師に招いた講演会で、伊方町に隣接する愛媛県八幡浜市だけで開催された。伊方町の対応に、団体からは批判の声が上がっている。

 講演会を企画したのは、地元農家ら20人でつくる「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」。井戸川さんの講演会は今月15日に八幡浜市で、翌16日に伊方町の指定管理宿泊交流施設「瀬戸アグリトピア」でそれぞれ開催する方針だった。

 ところが、先月8日に電話で同施設に使用を申し込んだ時は許可されたのに、3日後に講演会のチラシを施設に持参したところ「町の許可が必要」と保留された。最終的には、同14日に町役場で山下和彦町長から拒否を通告されたという。講演会は結局、今月16日に八幡浜市の市民会館のみで開かれた。

 伊方町産業振興課は取材に対し「原発がらみの講演会などは賛成、反対を問わず今後も使用を遠慮いただく」と説明し、四電への配慮があったかについては「関係ない」と否定した。

 同会共同世話人の二宮美日(みか)さん(51)=愛媛県鬼北町=は「地元住民にこそ原発の正しい情報を知ってほしかった」と、町の対応を批判。また、「伊方原発反対八西連絡協議会」事務局担当の近藤誠さん(66)=八幡浜市=は「伊方原発が1977年に稼働開始後、反原発集会や講演会に伊方町の施設を貸してもらえたのは1回しか記憶になく、今回のケースも原発を推進する町の姿勢の表れだ」と指摘。「町民の知る権利を奪うことは許されない」としている。

 同町は人口1万780人(昨年11月末現在)。2013年度当初予算91億6887万円の2割超を、原発関連の交付金に依存している。【渕脇直樹】

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「作品の真価 再考の機会」 音楽学者岡田暁生氏

2014-02-20 19:05:27 | 教育

 以下、音楽学者岡田暁生氏は、佐村河内氏の問題に、ひとつの視点を私達に与えて下さっています。

 

*****読売新聞(2014/02/19)*****




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土壌汚染地へは移転をさせません。築地市場を守る裁判2/20木11時半東京地裁703法廷

2014-02-19 19:42:14 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
 築地市場は、土壌汚染地へは移転をさせません。

 築地を守る裁判が、明日、来週と開催されます。
 裁判後、報告会も開催されます。
 傍聴のほう、よろしくお願い申し上げます。


 裁判では、東京都が、平成18年と同23年の二度に分けて、移転候補地の東京ガス工場跡地を購入していますが、汚染がない価格で高額に購入しており、余計にかかった費用の返還をと購入当時の都知事に返還を求めている裁判です。


 現在、豊洲の移転候補地は、土壌汚染対策法上の土壌汚染指定区域になっています。
 なのに、市場建設工事が始まろうとしています。
 土壌汚染の指定をまず、はずれるのが第一であり、それまでは、工事に入れないはずです。
 


*******************

明日です!

■平成23年公金返還訴訟 

2014年2月20日(木)11:30~ 東京地裁703法廷



■上記事件の報告会

2014年2月20日(木)~13:00 東京弁護士会504号室




******************

来週です。

■平成18年公金返還訴訟 

2014年2月28日(金)14:00~ 東京高裁424法廷



■上記事件の報告会

2014年2月28日(金)~16:00 東京弁護士会504号室


以上
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