以前、憲法審査会の専門家が3人とも、安保法制の違憲の意見を述べられたことがありましたが、今回も参考人の3人ともがチェック機能の強化を述べているということの重要性を、国会は真摯に受け止めるべきであると考えます。
本日5/13、朝日新聞の記事で、衆議院解散に関する重要な政治学者野中学習院大学教授の意見が掲載されています。
私たち国民は、衆議院解散の意義を正しく理解し、理由なき安易な解散をする首相には、国民の側からこそ、N0の選挙結果を示し、安易な衆院解散自体を許さぬように方向づけていくべきと考えます。
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http://digital.asahi.com/articles/DA3S12353788.html
<野中氏の意見の記事における重要なところ>
――なぜ各国は解散権を縛るようになったのでしょう。
「根底には、政治エリートが勝手なことをやるのは慎むべきだという考えがあります。そして、政府には有権者との約束実現にじっくり取り組ませることが重要だと。任期が4年なら、4年でやるという公約、マニフェストあるいは基本方針を有権者に示して選挙を戦い、与えられた任期で実行する。任期中にできたこと、できなかったことをもとに次の選挙を戦うサイクルを重視しているからです」
「日本でも、衆議院によって内閣が不信任され、内閣総辞職を避ける場合には、憲法69条による解散が可能ですが、これは他の主要国でも依然認められている解散に近いものです」
「しかし問題なのは、憲法7条を根拠とする解散です。内閣の助言と承認があれば天皇の国事行為としていつでも解散できるとされ、首相1人がだれにも邪魔されずに解散について判断できるという解釈につながっています。世論調査などが発達した現代では、いつ衆院選を行えばどの党にとって有利かをかなりの程度まで予測することが可能です。首相は自らに最も有利な選挙のタイミングを選ぶことができるのです」
「首相は解散をちらつかせて、野党ににらみをきかせるだけではなく、政府・与党内の求心力を保とうとします。日本では衆院選だけでなく、参院選、政党の総裁や代表の選挙も首相の進退にかかわるので、政局を次々と仕掛けてばくち的な勝負事に打って出ながら政権運営しなければなりません。だから、落ち着いて政策に取り組むのが難しいのです。逆説的ですが、日本の首相は内閣や国会でほとんど正式な権能を持たない『弱い首相』の典型。自由な解散権という残された武器で何とか頑張ろうとするわけです」
――とはいえ、憲法で認められているとの解釈があるわけですよね。
「憲法は明示的に恣意(しい)的な解散をやるなとは書いていないし、明示的にどんな解散もできるとも書いていません。しかし、だからといって、憲法が改正されない限り、首相が解散するのを止める方法はないというのは誤りです。責任ある政党の間で、任期満了まで、不信任にならない限り衆院を解散しないことに合意すればいいのです。つまり政治的な知恵の問題です」
「ヨーロッパの主要国は、政治家、官僚を問わず、統治のシステムをよりよいものにしようと常に工夫し、努力しています。日本は、明治維新の後には伊藤博文らが必死に政治制度を研究しました。いまはどうでしょう。政治の仕組みとしては非常に特異な進化を遂げた、あるいは進化を止めてしまったのではないかと感じています。これを私は政治の『ガラパゴス化』と表現しています」
「フランスの政府高官から『各国と行政の組織や運営について意見交換をしているが、日本からだけはまったくコンタクトがない。どういうわけか』と質問されました。政治家や政府高官たちは、諸外国の統治の仕組みがいまどうなっているか勉強しているでしょうか。私はだいぶん懐疑的に思っています」
<朝日新聞による衆議院解散の歴史の解説>
現憲法下で衆院議員が任期を満了したのは1976年12月の三木武夫内閣時だけだ。それ以外はいずれも、任期途中での解散を受けて選挙になった。
このうち憲法69条に規定されている内閣不信任決議案が可決した後の解散は、吉田茂内閣の48年、53年、大平正芳内閣の80年、宮沢喜一内閣の93年と計4回だけ。圧倒的多数の19回が69条を根拠としない解散で、7条解散とも呼ばれている。
いわゆる7条解散をめぐっては、吉田内閣による48年の解散時、連合国軍総司令部(GHQ)が69条解散以外は認められないとの立場だったため、与野党で話し合い、内閣不信任案を可決した上で解散した。しかし、52年に吉田内閣が初めて、69条によらない「抜き打ち解散」を行った。これを違憲とする訴訟(苫米地訴訟)が起きたが、最高裁は60年に「高度に政治性のある国家行為」だとして判断を避けた。統治行為論を認めた判例とされている。
80年と86年には、解散により衆参同日選挙が行われた。
<朝日新聞社による記事の記載者の紹介>
野中尚人のなかなおと 58歳 1958年高知県生まれ。学習院大学教授。現代日本政治、比較政治が専門で、著書に「自民党政治の終わり」「さらばガラパゴス政治」。政策会議について近く出版する予定。今年度は欧州に研究の拠点を移している。
本来、あってはならないことなので、どうしてそのようなことになったか事実関係をあきらかにし、あるべき方向性に正すべきと考えます。
例えば、両党が招致をすべきと考えるのであれば、改めて機会をつくるなりして。
⇒信頼できるソース
http://blog.livedoor.jp/onda0510/archives/3174807.html
地域包括ケアの考え方は、高齢者に限らず、在宅で医療が必要な成人、小児すべてのひとに必要であると考え、区議会でも主張しているところです。
以下は、厚生労働省の考え方。
ちなみに、文言は、高齢者「等」となっています。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0511/shiryo_06.pdf
「財源として、10年以上出し入れのないまま口座に眠る「休眠預金」の活用を挙げ、年間100万円を1万人に給付できる100億円規模の奨学金の実現を目指す」といいます。
給付型奨学金、実現の方向で世論が動いていくことを願います。
中央区もまた、独自の給付型奨学金が組めればよいと考えています。
学びたい子が、誰もが、精一杯学べる環境を。
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http://digital.asahi.com/articles/CMTW1605101300002.html
東京)給付型奨学金へ 「ネット署名を」
2016年5月10日10時27分
◇有志が実現へキャンペーン
経済的事情を理由に大学進学を諦める子をなくそうと、NPO法人代表理事や研究者ら有志が、給付型奨学金の実現を目指すインターネット署名のキャンペーンを始めた。
9日に都内で記者会見したNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事は「日本は大学の学費が高いのに、奨学金は貸与型がほとんど。親の経済格差が子の学力格差、経済格差に反映される貧困の連鎖が広がっている」と指摘。給付型奨学金実現のため、今月末までに5万人を目標にネットで署名を集め、文部科学省や関連機関に陳情するという。
財源として、10年以上出し入れのないまま口座に眠る「休眠預金」の活用を挙げ、年間100万円を1万人に給付できる100億円規模の奨学金の実現を目指す。
低所得家庭の子の学習支援をしているNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長は「成績優秀でも『頑張って勉強すれば大学に行ける』という夢を持てず、早い段階で進学を諦めてしまう子もいる」と話し、「頑張れば努力が報われる国になってほしい」と訴えた。
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長も、成績が良くやる気があっても経済的理由から大学進学の夢を諦める子や、進学できても教育ローンや奨学金の返済が大きな負担になっている子がいる現状を紹介した。
有志にはジャーナリストの田原総一朗さんや津田大介さんらも名を連ねる。詳しくはキャンペーンのサイト(https://goo.gl/FqRlhP別ウインドウで開きます)。
(斉藤純江)
子どもの貧困に関連した記事を朝日新聞が5/8-5/10で特集していました。
同時に相談窓口も掲載しておりましたので、参考までに、こちらにも記載致します。
あと、相談窓口に、最寄りのかかりつけ小児科医師も入るのではないかと、信じるところです。
●24時間子供SOSダイヤル 子どものSOSの相談窓口。子どもや保護者らからの電話を原則、各地の教育委員会の相談機関が受ける。電話は0120・0・78310(なやみいおう)
●カリヨン子どもセンター(東京) 10代からの相談に応じ、必要な時は子どもシェルターで保護。カリヨンを含む全国の子どもシェルターと相談機関計15カ所も紹介できる。相談は東京弁護士会「子どもの人権110番」(03・3503・0110)を通じて受け付ける。時間は月~金曜の午後1時半~4時半と午後5~8時、土曜の午後1~4時
●子どもの人権110番 最寄りの法務局・地方法務局につながり、法務局職員か人権擁護委員が、虐待やいじめ、体罰などの相談に応じる。電話は0120・007・110(平日の午前8時半~午後5時15分)
http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20160508000030.html
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また、同特集では、専門家の意見も紹介されていました。
中央区にも要保護児童等対策協議会がありますが、総合的支援となることを見て行きたいと考えます。
*********朝日新聞(2016/05/08)*******
■総合的な支援を
親が養育困難に陥り、深刻な貧困状態にある世帯を丸ごと支援する手段は、生活保護を除くと乏しい。親子を一体で保護する唯一の児童福祉施設が母子生活支援施設で、全国に247あり、3542世帯が入所する(2014年)。ただ「支援を必要とする世帯の一部にすぎない」と、児童相談所の勤務経験がある帝京科学大学の和田一郎講師(児童福祉)は言う。
「貧困が背景のネグレクトなど、目に見えにくい虐待は、一時保護に踏み切る判断が難しい」とも指摘。親と関係がこじれそうな時でも、児相の職員が安心して判断できるよう、福岡市のように児相に弁護士を常駐させることを提案する。
日本社会事業大学の宮島清・准教授(児童福祉)は「現状では、子どもや母子を地域から引き離して施設などに保護するか、中身がほとんどない『見守り』の二つしかない」と話し、介護保険のように、調査に基づいてケアプランを作り、実践していく仕組みが必要だと指摘する。ソーシャルワーカーが、子と親の困難を探り、当事者も一緒に、生活、就労、子育て、医療、住居などの支援を総合的に決める。「国が貧困対策を最重要課題と位置づけ、所得の再分配を進め、必要な予算と人材を確保すべきだ」と話す。
東日本大震災の医療支援において、現場に入った時も、医療支援を調整する役割の重要性を感じました。
互いに顔の見える関係を日頃から構築しておくことも大事。
中央区 平成28年度 児童・生徒・園児数は、以下。
*************中央区ホームページより*******
http://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kohokotyo/koho/h28/280501/05_03/index.html
今年も、区立幼稚園、小・中学校には新しい仲間が加わり、活気ある新学期がスタートしました。
小学校には、1135人の児童、中学校には471人の生徒が新一年生として入学し、幼稚園には547人の新入園児が入園しました。昨年と比べると、小学校全体の在籍者数は362人の増となり、中学校では52人の増、また、幼稚園では9人の減となりました。
私は、これら三つの命題を、信じています。
そのひとつ、「政治が科学的真理をゆがめてはならない」に関連することがらの記事が、以下にあります。
行政のかたも、学者の先生方も、一生懸命にまちづくりを考えて下さっていながら、まちづくりがあるべき方向に進まないことを多々見てきました。
なぜか。
記事にある防波堤問題についても、政治が(防波堤問題では、民意からかい離した政治が)、現場でがんばる行政のかたや御用学者でない学者のかたの提案であるところの科学的真理をゆがめてしまっているのではないかと、推察するところです。
政府の中央防災会議・専門調査会、その座長を務めた河田恵昭(かわたよしあき)・関西大教授のインタビュー記事。
********朝日新聞**********************************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342564.html
(てんでんこ)防潮堤:23 インタビュー
2016年5月5日05時00分
■「シミュレーションはごまかし。現場は一生懸命だが、だんだん腹が立ってきた」
東日本大震災のあと、防潮堤整備の大方針を決めたのは政府の中央防災会議・専門調査会だった。その座長を務めた河田恵昭(かわたよしあき)・関西大教授に改めて、思いを聞いた。
――調査会の提言は漠然とした文言だった。高い防潮堤ができる心配はなかったか
「具体的に書くと、選択の余地がなくなる。現場の議論を反映できるようにした。基本は逃げること。逃げても助からない場合はサポートする施設を造る。提言を本当に理解してくれたら、地域に合ったいろんなバリエーションの防潮堤ができたはずだ」
――具体的な基準は官僚と専門家が決めた
「土木工学者は、まちづくりと一体となった防潮堤という発想に乏しい。学会も縦割り。国土交通省から『ご下問』を受けて納得する答申を出すことをずっとやってきた」
――防潮堤の高さは、津波の痕跡などからシミュレーションをして決めている
「今回の津波のメカニズムも、明治三陸津波も解明されていない。痕跡の高さに合うように津波を推測しているだけ。ごまかしだ。研究者は正直に説明すべきだ。住民は数値が出たら、そうかと思う。それが怖い。シミュレーション頼みで高さを決めたらいかん」
――なぜ早い段階で異論を挟まなかったか
「プライドを持って一生懸命やっている現場に、口を挟めない。世間も被災地に同情しているときに、理性をふりかざして言えますか。でも、だんだん腹が立ってきた」
――教訓や反省すべきことは
「中央防災会議に計画をフィードバックして承認するしくみを提言に盛り込めばよかった。自治体も、防潮堤や高台造成にかかる費用の総額がわかった時点で、計画がベストなのか、という議論をすべきだった」
――見直しても、国の基準通りにやらないとお金がもらえないのでは
「そんなことない。国交省幹部に教え子が多いので、わかっている。知事が見識を持つべきだ。集中復興期間の5年で造らないと国費でできないと急いだが、住民に考えさせるプロセスを踏むべきだ。もめるほど良いものができる。知識レベルも上がる」(東野真和)
(No.23)
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」
当然であるかもしれないけれども、新鮮な発見であったので、記載をします。
*************朝日新聞***********************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342541.html
(憲法を考える)1947年の祈り 国際基督教大学学務副学長・森本あんりさん
2016年5月5日05時00分
「憲法と米国の理想と言えば、『人民の人民による人民のための政治』というリンカーン米大統領の『ゲティズバーグ演説』が思い浮かびます。あの演説、どこでなされたかご存じですか」
――どこでしょう。
「南北戦争の戦没者が眠る墓地の前です。米国の戦争で、60万人という最大の死者を出したのが南北戦争です。その戦場だったゲティズバーグを国有墓地にする献納式で、リンカーンは戦没者に新しい民主主義を誓ったのです。実は、この演説の要素は日本の憲法にも入っています。前文の『その権威は国民に由来し』は『人民の』、『その権力は国民の代表者がこれを行使し』は『人民による』、『その福利は国民がこれを享受する』は『人民のための』です。戦争の惨禍を経験し、戦没者に対して新しい民主主義を誓う、という点は日本国憲法とゲティズバーグ演説に共通しています」
*****日本国憲法 前文*****************
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
子ども達の健やかな成長を、小児科医師として、心から願っています。子どもを守ることが、小児科医師の宿命でもあります。
だれひとりとして、排除されてはならない。困難はどうか抱え込まずに、どうか、お近くの小児科かかりつけ医師にもまた、ご相談やあるいは頼ってほしいと考えます。
各紙も社説で、それぞれに、子ども達への思いを綴っています。
各紙の社説から、その思いのひとことを抜いてみました。
「こども食堂」の記事が、各紙で散見されました。
なんとなれば、クリニック隣の「みんなの子育てひろば あすなろの木」(中央区月島3-30-4飯島ビル1F 03-5547-1191)も、その実施の場所としては、大歓迎です。
地域の諸課題解決に、どうぞ使っていただきたいと考えます。
思いのある皆様と、コラボできればと思うところです。
朝日新聞:子どもたちが自分自身で未来を切り開く力をつけなければ、貧困問題は解決しない。
毎日新聞:何度だまされても辛抱して支援し続けると、数年が過ぎてから、子供が変わっていく。そんな経験を何度もしたという。
東京新聞:独り立ちと独りぼっちは違います。誰かに背中を押してもらって、紙飛行機は力いっぱい、飛べるところまで飛べばいい。
日経新聞:若者に希望を与えられない世界や日本であってはいけない。各国・地域の政治指導者は勇気を持って、若者受難の局面を変えてほしい。
読売新聞:<その笑顔 未来を照らす 道しるべ〉。「こどもの日」から始まる児童福祉週間の今年の標語である。福島県の13歳の女の子の作品だ。
産経新聞:子を殴(う)ちしながき一瞬天の蝉(秋元不死男)。
*********朝日新聞*********
こどもの貧困 学び支え、連鎖断ち切ろう
2016年5月5日(木)付
最も貧しい家庭の子どもが、他の多くの先進国と比べて、厳しい状況に置かれている――。
4月に公表された国連児童基金(ユニセフ)の報告書は、そんな日本の現状を浮かび上がらせた。最貧困層と標準的な層との格差を国ごとに分析しており、日本の格差は41カ国の中で8番目に大きいという。
所得が真ん中の人の半分に満たない人の割合を示す「相対的貧困率」でも、日本の子どもは6人に1人が貧困層にあたり、先進国の中で悪い方だ。貧しさの広がりに加え、ユニセフの調査でその度合いも深刻であることを指摘されたと言える。
対策としてまず問われるのは、そうした家庭へのサポートだ。日々の生活を助ける各種の手当や親の就労への支援など、福祉を中心とする施策が重要であることは言うまでもない。
それ以上に考えなければならないのは、子どもたちに焦点を当てた支援だ。生活の苦しい家庭で育った子が、大きくなってもその状態から抜け出せず、世代を超えて続いてしまう「貧困の連鎖」をどう断ち切るか。
カギとなるのは教育だ。
■教育で広がる将来
さいたま市内のコミュニティセンター。午後6時を回ると制服や体操着姿の中学生が次々とやって来る。経済的に厳しい家庭の子どもたちに、学生ボランティアが週2回、勉強を教える無料の「学習支援教室」だ。
4月からボランティアをしている女子学生(18)は、かつて教室で学んだ一人だ。「ここに来ると、いつでも私の話を聞いてくれる人がいる。心のよりどころみたいな場所でした」
母と2人暮らし。女子学生が中学2年生の時、家計を支えていた母が体を壊し、生活保護を受けるようになった。「進学するより働いた方が、と思った時もあった。けれど、大学生のボランティアさんから学生生活のこととか、いろんな話を聞くうちに夢がふくらんで」。今は奨学金で大学に通い、福祉の分野を学んでいる。
市の委託で教室を運営するNPO「さいたまユースサポートネット」の青砥恭(やすし)代表は言う。「子どもたちが自分自身で未来を切り開く力をつけなければ、貧困問題は解決しない。学びは貧困対策の核です」
昨年4月に始まった生活困窮者自立支援制度で、厚生労働省は学習支援事業を貧困対策の柱の一つと位置づけ、自治体に実施を促している。しかし任意事業のため、青砥さんのNPOの調査では「実施予定なし」の自治体が45%もある。
■地域の実態調査を
こうした取り組みをどう加速させるか。ヒントになりそうなのが、貧困の「見える化」だ。
沖縄県は今年、都道府県で初めて独自に子どもの貧困率を29・9%と推計し、公表した。全国の1・8倍という高さだ。
「沖縄の子どもの状況がどれだけ厳しいか。それを把握しないと必要な対策も見えてこない」(喜舎場〈きしゃば〉健太・県子ども未来政策室長)。渋る市町村を説得し、協力を仰いだ。
学校で必要な教材の費用などを援助する就学援助を貧困家庭の半分近くが利用しておらず、制度を知らない人も2割近い。同時に行ったアンケートからは、既存の支援制度が十分に機能していない実態もわかった。
県は「就学援助を知らない貧困世帯ゼロ」「学習支援教室を全市町村に拡大」など34の数値目標を含む6カ年計画を作り、30億円の対策基金を設けた。調査を担当した一般社団法人「沖縄県子ども総合研究所」の龍野愛所長は「現実を突きつけられたから政策が動いた。実態把握は、政策の効果を検証する上でも欠かせない」と強調する。
大阪市も今年度、小・中学生らを対象に調査を予定する。地域ごとに実態をつかむことが、対策を前進させる大きな力になる。取り組みを急ぎたい。
■社会全体で向き合う
「子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」。2014年に施行された子どもの貧困対策法を受け、政府が閣議決定した大綱がうたう理念だ。
言葉だけで終わらせてはならない。社会保障と教育を両輪に、対策を充実させたい。とりわけ教育分野では、経済規模と比べた公的支出が先進諸国の中で最低水準にとどまる。予算を思い切って増やすべきだ。
「義務教育は国がしっかりやるが、高校や大学は自立してがんばってもらわないと」。自民党の国会議員が奨学金制度の拡充をめぐって最近、こんな趣旨の発言をした。今も根強い主張だが、そうした単純な「自己責任論」から卒業する時だ。
子どもたちは社会の担い手になっていく。その健やかな育ちを後押しすることは、「未来への投資」にほかならない。
社会全体で子どもを支える。その合意と負担に向き合う覚悟が問われている。
********毎日新聞******
こどもの日 助けての声が聞こえる
毎日新聞2016年5月5日 東京朝刊
きょうは、こどもの日。「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」と国民の祝日法に書かれている。しかし、幸せそうに見える風景の中に小さな悲鳴が隠れている。
親から虐待されている子、生活苦で子の養育ができない親たち……。貧困だけでなくアルコール依存や障害などさまざまな要因が複雑に絡み合って、子供たちを傷つけている。子供はこうした困窮が自覚できず、なかなかSOSを言わないだけで、実態は深刻だ。
複合的な困窮から救え
学校を休みがちの中学生がいた。
まったく不登校というわけではないので誰も気付かなかったが、1年前からひとり親となった母の生活が苦しくなり、水道やガスが止められていた。風呂に入らず、駅や公園の公衆トイレを使っていた。中学の養護教員が子供たちの何気ない会話からようやく気付いたのだという。
「渦中にある子はなかなか自分から助けてと言わない。周囲が気付いてもすぐに救済されるわけではない。生活保護は申請してから受給するのに1カ月もかかる」
中学生を支援する静岡市の独立型社会福祉士の川口正義さんは指摘する。30年以上、虐待や貧困で苦しむ子供たちに寄り添ってきた。
今やどこにでもこうした子供はいる。困窮の状況が見えにくく、関心を持つ人が少ないだけだ。
札幌市の社会福祉法人「麦の子会」の保育所や放課後等デイサービスには、500人近い子供が通っている。そのうち77人はひとり親家庭の子だという。
親のアルコール依存や精神障害、虐待、近親者の自殺、触法などが何重にも絡み合うケースが多い。母の内縁の夫に暴力を振るわれている子、母がうつでゴミ屋敷の中で生活している子もいるが、「これが普通の家庭だと子供は思っている」と北川聡子総合施設長は言う。「暴力があってもお父さん、お母さんが好きで、貧しいのは自分のせいだと思ってしまうのです」
義務教育を受ける15歳までは、学校が子供の困窮を発見し支援につなげる役割を担っている。年齢が上がるにつれて教育や福祉などの公的支援は少なくなる。18歳になり、児童福祉法の適用年齢を超すと、児童養護施設や障害児入所施設が利用できなくなり、「自立」を迫られる。
現在、大学や専門学校などへの進学率は7割を超えているが、生活困窮家庭の子は高等教育を受ける機会が少なく、高校中退者も多い。部屋を借り、就職する際に必要とされる保証人を探すことが難しい。
どうやって自立しろというのか。
寝る場所や食べ物がないため、インターネットのサイトで援助してくれる男性を求める少女たちがいる。「神待ち少女」と呼ばれる。
警察庁によると2015年に非出会い系サイトで児童買春や児童ポルノの被害にあった子供は1652人に上る。性風俗にしか居場所を見つけられないという少女も多い。
こうした子供たちが求めるのは、今すぐ寝るところ、食べるもの、お金だが、子供の福祉を担う公的機関はほとんど頼りにならない。
国政の最優先課題に
政府の対策が遅れてきたのは、親の養育責任を重視する考えが根強いからでもある。「甘やかすとためにならない」と子供にも努力を求める意見がよく聞かれる。
だが、親族や近所などの支え合いが格段に厚かった時代に比べ、現在は子供を保護し育てる近隣の補完的な機能が極めて弱い。
幼少期に虐待やネグレクトに遭うと、自分自身や社会に関心が持てなくなり、生活習慣を身に着けたり学習したりする意欲が阻害される。ひどい虐待を受けた子の中には、脳が萎縮する例があるとの研究報告もある。努力するために必要な土台がない子に努力を求める理不尽さを認識すべきである。
母子家庭の8割の母親は就労しており、先進国の中でひとり親の就労率は日本が突出して高い。その半数は低収入の非正規雇用で、複数の仕事を掛け持ちしている人も多い。
社会的格差が以前よりはるかに大きくなり、社会の底辺でもがいている人に自己責任を求めて解決できる状況ではないのだ。
「子供はうそをつく。自立のために部屋を確保し、仕事を見つけてきても、家賃を踏み倒して逃げていく。幼いころに虐げられた子は簡単に立ち直ることはできない」。困窮家庭の子供や非行少年を支援している造園業の男性はそう言う。
しかし、何度だまされても辛抱して支援し続けると、数年が過ぎてから、子供が変わっていく。そんな経験を何度もしたという。この男性自身が幼いころ父から激しい虐待を受け、非行に走った過去がある。
福祉制度の隙間(すきま)で、公的な助成を受けずに必死に子供たちを救っている人々がいる。こうした民間の活動にこそ公的支援がもっと必要だ。
子供の困窮対策は国政の最優先課題に位置づけるべきである。財源や人材を確保し、福祉や教育の支援を厚くしないといけない。官民を挙げた取り組みが求められている。
**********東京新聞*******
こどもの日に考える それが希望 推進力だ
2016年5月5日
こいのぼりを眺めていると、子どもたちに風を送ってあげなければと思います。だが待てよ。子どもは風の子。大人を泳がす追い風なのではないかしら。
名古屋駅西に活動の拠点を置く芸能プロデューサー、中村浩一さん(48)には、夢がある。
「芸能文化の地域主権」
中村さんは考えます。日本の芸能文化は、政治や経済以上に東京に一極集中し過ぎている。まるで、殿様と家来のような関係です。
ご当地アイドル花盛りとはいうものの、結局いつかは上京したい、芸能界=東京なんだと、誰もが思い詰めています。
中村さんは、テレビのローカル番組で学生リポーターを経験し、「キラキラと楽しい」芸能界に十九歳で足を踏み入れました。
卒業後は広告会社や出版社にも身を置きながら、芸能プロデューサーとして、アイドルの発掘、育成、売り込みなどを続けてきた。
ところが次第に、ギョーカイの闇も見えてきた。
上京した美少女が、すっかりやつれてひっそり戻る。うつ病の果てに自殺に至ったケースもありました。
東京に踏みとどまるために、際どい水着のグラビアやAVまがいの仕事をいやいや受ける。とどのつまりは使い捨て…。そうじゃない世界をつくりたい。
今の時代“三種の神器(ブログ、ツイッター、ユーチューブ)”を駆使すれば、“ナゴヤ発信”は十分可能。まずはご当地アイドルのレベルをぐんと引き上げよう。
地元にいたまま活動できて、リスクを冒さず、家賃もいらず、ステージやけいこを終えて家へ帰って、家族と一緒にご飯を食べて、「今日はどうだった」「うん、がんばってるよ」と日常会話ができるアイドル-。それを、何としてでも成し遂げたい。
◆輝いた季節のあとで
そんな思いで六年前、名古屋市大須商店街がジモトのアイドルユニット「OS☆U」をプロデュース。そして今は駅西で、二〇一二年結成の「dela(デラ)」を手がけている。
中一から二十三歳までの十八人、全員自宅通勤です。
中村さんはもう一つ、自らに課題を与えています。アイドルの“卒業生”をどうするか。
ラグビー歴三十年の中村さんは、delaをラグビーチームになぞらえます。“One for all、All for one(ひとりはみんなのために みんなはひとりのために)”の精神を、歌や踊り以上に重んじます。
リーダーならぬキャプテンを先頭に、あいさつ、自己表現、そしてチームワークを徹底します。
♪振り向けば十四人の友がいる…。「15(Fifteen)」。中村さんが作詞したdelaの持ち歌です。
キラキラと輝く季節を終えて、就職しても、お嫁に行っても、起業をしても必ず役に立つように。
ある日のこと、中村さんは、かつてのメンバーの父親から、呼び出しを受けました。当時高校二年の娘をアイドルにすることに猛反対した人でした。
恐る恐る出かけて行った鉄板焼きの店。父親は言いました。
「ありがとう。君は娘を二年早く大人にしてくれた」
中村さんの見果てぬ夢は、いつかかなうかもしれません。
三月で終了したNHK朝の連ドラ「あさが来た」。今アイドル界の頂点に輝くAKB48の主題歌「365日の紙飛行機」も大ヒットになりました。
はじめは不思議でしかたなかった。自立する女性の物語のはずなのに、なぜ<人生は紙飛行機>なんだろう。紙飛行機は思い通りに飛べません。
でも、しばらく聞いているうちに、何となく疑問が解けてきた。
歌の後半に<それが希望 推進力だ>という歌詞が出てきます。
◆思い通りにならない日は
思い通りにならない人生だからこそ、推進力が必要です。
独り立ちと独りぼっちは違います。誰かに背中を押してもらって、紙飛行機は力いっぱい、飛べるところまで飛べばいい。
こどもの日、大人は子どもの推進力に…と思いきや、子どもこそ、大人の<希望 推進力>ではないですか。
見上げれば、五月の風にこいのぼり。大きい真鯉(まごい)も小さい緋鯉(ひごい)も、気持ちよさげに飛んでいます。
************日経新聞**********
若者と子を見捨てぬ世界と日本に
2016/5/5付
若者や子どもがしっかりと教育を受け、定職に就く。かつては当たり前だったこのことが、難しくなっている世界の現実がある。きょう5月5日のこどもの日に考えてみたい。
持続可能な経済と社会の安定の実現には、若者や子どもを見捨てず、その健全な成長と自立を後押しする必要がある。世界と日本は支援を惜しんではならない。
国際労働機関(ILO)によれば、世界の15~24歳の若年層の失業率は2015年に13%超と12年ぶりの水準となったようだ。
テロ生む高失業に手を
経済危機が起きると若年層は最初に職を失い、景気が回復局面に転じても仕事に就くのは最後になる、といわれる。すでにリーマン危機から7年半あまり過ぎたが、危機の後遺症は若者に重くのしかかったままだ。
欧州はその典型だ。ギリシャやスペインの25歳未満の失業率は今も40%を超えている。
パリとブリュッセルは過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロに見舞われた。実行犯の多くは北アフリカなどからの移民2世、3世だったとされる。
学校や就職での差別や疎外感に苦しみ、過激思想に傾倒した移民系の若者は多い。シリアとイラクに渡った若者の一部が戦闘員として欧州に潜伏しているならば、テロ再発の危険は残る。
テロ対策の強化はもちろん重要だ。しかし、中長期でみて大事なのは、移民系の若者を地域社会に包摂していく対策だ。差別や偏見を取り除く地道な取り組みが教育現場や地域で求められている。
同時に、南欧を中心とする国は硬直的な労働市場を柔軟にして、若者が仕事に就きやすくする改革を急がなくてはならない。
移民系若者の高失業がテロの温床になっていた可能性がある。彼ら彼女らにきめ細かな職業訓練を実施し、職を見つけやすくすることはテロ対策でもある。
中東・北アフリカでも若年者対策は急務だ。この地域の若者を対象にした世論調査によると、ISが人材を引き寄せる理由として最も多かった回答が「雇用機会の欠如」だった。
影を落とすのが、地域の若年人口の急膨張だ。たとえば、イエメンでは24歳以下が総人口の約6割を占める。人口爆発を吸収できる雇用の場が少なく、若年失業率が20~40%台に高止まりしている。
ドイツの社会経済学者であるグナル・ハインゾーン氏は「ユース・バルジ」(過剰なまでに多い若い世代)と呼び、行き場を失った若者が犯罪や戦争などに走る可能性に警鐘を鳴らしていた。
こうした人材がISなどに流れ、シリア内戦や欧州のテロに加担する動きは看過できない。
中東・北アフリカ諸国は資源に過度に依存しない経済構造をつくりつつ、もっと若年層に雇用の受け皿を用意する努力をすべきだ。先進国も一部は難民や留学生として受け入れてほしい。
米経済は先進国の中では比較的堅調だ。だが学生ローンの負担が若者を苦しめている。全米で約4千万人の学生と卒業生が借金を抱え、総額は1兆ドルを超えている。
所得や資産の格差は広がり、大学進学をあきらめる若者も少なくない。ローンを借りやすくしたり、金利負担を軽減したりするといった対策は要る。次期大統領は学生ローン問題解決に有効な対策を実施してほしい。
過度な負担増を避けよ
少子化が進む日本で忘れてならないのは、社会保障の効率化だ。増え続ける高齢者を支える社会保険料や税の負担が増え続ければ、若者がこの国で暮らすことにますます息苦しさを感じるだろう。
先進国で最悪の財政を立て直す必要があるのも、いまの子どもや、これから生まれる将来世代に過大な借金のツケを回さないようにするためだ。
日本の子ども・子育て支援などの家族関係支出は、先進国の中でも少ない。社会保障の歳出を組み替え、子ども・子育て支援にもっと予算を振り向けるべきだ。
今夏の参院選からは選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる。各党は安易なバラマキではなく、骨太な若年支援策を競ってほしい。
「ナポレオンの登場以降の『若者が勝者の時代』が終わり、『若者が敗者の時代』が到来しつつある」とマーク・マゾワー米コロンビア大教授は指摘している。
だからといって若者に希望を与えられない世界や日本であってはいけない。各国・地域の政治指導者は勇気を持って、若者受難の局面を変えてほしい。
***********読売新聞***********
こどもの日 未来切り開く力を育てたい
2016年05月05日 06時00分
〈その笑顔 未来を照らす 道しるべ〉。「こどもの日」から始まる児童福祉週間の今年の標語である。福島県の13歳の女の子の作品だ。
自分たちの可能性を信じ、未来を切り開いていこうとする気概が感じられる。夢に向かって挑戦する心を育てていきたい。
子供は、成長しようとするパワーに満ちている。
そう実感させるのがカリスマ小学校教諭「ぬまっち」こと沼田晶弘さんのクラスの風景だ。東京学芸大学付属世田谷小学校で子供のやる気を引き出すユニークな指導法を展開し、教育界だけでなくビジネス界からも注目を集める。
子供が興味のあるテーマごとにチームを作って授業を行うティーチャー制度、地理の学習で好きな都道府県の魅力をアピールして競い合う「勝手に観光大使」など、子供が主役になって楽しめる仕掛けを編み出してきた。
信頼して任せると、子供たちは自ら動き出す。課題を徹底的に調べ、パソコンで発表資料を作り、説明の構成や表現を工夫する。学びの範囲がどんどん広がる。
クラス中で作文などの小学生向けコンクールに次々と応募して賞金を獲得し、目標にしていた豪華な卒業遠足も実現させた。
子供たちに「自分はできる」という自信を持ってもらいたい。それが、大人になって困難に直面しても、くじけず、チャレンジする力になる。型破りな試みの背景にある沼田さんの思いだ。
内閣府の調査では、日本の青少年は「自分に満足している」という自己肯定感が諸外国に比べて低く、将来への希望も乏しい。
「自分は認められている」「必要とされている」。子供たちがそう思えるように導くことが、大人の責任だろう。
夢を持ちにくい環境で育つ子供たちからも、目を背けてはならない。家庭が経済的に苦しい子供は6人に1人に上る。ひとり親家庭の半数以上が貧困状態だ。悲惨な児童虐待も後を絶たない。
困難な状況にある子供を支えるため、食事の提供や学習支援を行う「居場所」作りを各地のNPOなどが進めている。信頼できる大人とのふれ合いは、子供の意欲や自信を育む上でも重要だ。
政府も、子供の貧困と児童虐待の対策強化プランをまとめた。ひとり親家庭への手当の充実や児童相談所の機能強化が柱だ。
2日には改正児童扶養手当法が成立した。その他の施策についても、着実な実施が求められる。
***********産経新聞********
こどもの日 誰もが輝いてこそ祝える
子を殴(う)ちしながき一瞬天の蝉(秋元不死男)。わが子に思わず手を上げてしまったときの後悔や自責の念などで茫然(ぼうぜん)とした心境を象徴的に表現した名句である。子を持つ親なら誰しも思い当たるふしがあるはずだ。
殴った手の痛みより心のうずきが強かったに違いないが、昨今多発する子供への虐待事件でははたして、虐待に及んだ大人に心のうずきがあったのだろうか。
日本小児科学会は、虐待で死亡した可能性のある15歳未満の子供が全国で年間約350人に上るとの推計を初めてまとめた。厚生労働省による集計の数倍にもなっており、学会は「多くの虐待死が見逃されている恐れがある」として国に対応強化を求めている。
死に至らなかったり、明るみに出なかったりする水面下の虐待に苦しむ子供はさらに増えよう。
きょうのこどもの日は、子供の人格を重んじ、子供の幸福を図る趣旨の祝日とされるが、あまりにもひどい虐待の現状に鑑みれば大人はまず、短い命を余儀なくされた子供らの悲痛を思いやり、薄幸の子が一人でも多く救われるよう祈る機会であってもよいのではなかろうか。
忙しい生活の中ではときに、子供を煩わしく感じることがあるかもしれない。しかし大抵の親は、普段の子供のあどけないしぐさや言葉によって自らがどれだけ癒やされ、幸福感を与えられているかをよく知っている。だからこそ煩わしさにも耐えて精いっぱいの子育てができるのである。
いまネット上では「てぃ先生」のツイッターがちょっとした人気だ。保育園勤務の現役男性保育士という「てぃ先生」は連日、園児らのささいな言動の中に子供らしい無邪気な輝きを見いだしては、「すごい」「かわいい」…と感動をつづる。共感がフォロワーの間で大きく広がっている。
子供の魅力の発見に努める「てぃ先生」のような優しいまなざしを、保護者は言うに及ばず周囲の大人もぜひ持ちたい。
最近は、児童相談所などがもう一歩踏み込んでいたら助かった命もあったろうにと思われる例も目につくだけに、輝きを失い、救いを求めている子供を見つけ出す周囲のまなざしが欠かせない。
一人の例外もなく、全ての子供が幸福であることを祝える日であってほしい。
医師達のある勉強会で、医師出身の国会議員が、「子どもを守る条文が、今の日本国憲法にはない」との趣旨のことを言っておられました。
聞き違いだったらよいのだけど、憲法は、すべての状況に対応し、私たちを、ゆりかごから墓場まで守ってくれています。
その方は、ある限定した状況において、日本国憲法がその子どもを守ってないと言いたかったのかもしれませんが、決してそんなことはなく、少なくとも13条が、その子を守ってくれるはずです。
「ゆりかごから墓場まで、日本国憲法は、私たちを守ってくれている」、そのわかりやすい図表が、本日5/4、東京新聞に掲載されていました。
ご参考までに。
*****日本国憲法*******
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
******参考までに、日本国憲法の人権規定の章 「第三章」のみ全文掲載*******
第三章 国民の権利及び義務
以上、
いかに、守っていくか、大きな課題です。
*********毎日新聞**********************************
http://mainichi.jp/articles/20160424/k00/00m/040/088000c
妊産婦自殺
10年で63人…東京23区 産後うつ影響か
毎日新聞2016年4月24日 02時30分(最終更新 4月24日 09時40分)
自殺で亡くなった妊産婦が東京23区で2005〜14年の10年間に計63人に上ることが、東京都監察医務院などの調査で分かった。妊産婦の自殺数についての本格的な調査結果が明らかになるのは初めて。出産数に占める割合は10万人あたり8.5人となり、出血などによる妊産婦死亡率の約2倍に上る。妊娠・出産期の死因として自殺が最も多いことになり、メンタルケアの充実などが急がれる。【阿部周一】
日本産科婦人科学会などの調査依頼に基づき、同院と順天堂大の竹田省教授(産婦人科学)が調査し、23日、都内であった同学会で報告した。23区の05〜14年の自殺者の記録を調べた結果、「妊娠中」の女性23人と「出産後1年未満」の女性40人の計63人が含まれていることが判明した。自殺の時期では、「妊娠2カ月」の12人、「出産後4カ月」の9人が多かった。
「出産後1年未満」の6割に、うつ病や統合失調症などの精神疾患の通院歴があった。うち半数が産後半年ごろまでに発症するとされる「産後うつ」だった。また、「出産後1年未満」の4割、「妊娠中」の6割には精神疾患での通院歴はなかったが、中には育児に悩むものの受診を拒否していた人もいたという。
05〜14年の23区内の出産数は計74万951人。都が集計した出産数10万人あたりの妊産婦死亡率は4.1人(05〜13年平均)で、自殺者は約2倍になる。
同学会は来年改定する診療ガイドラインに、妊産婦の精神面をチェックし、産後うつになる危険性の高い女性を早期に見つける問診などの具体策を盛り込む方針。竹田教授は「自殺がこれほど多いとは驚きだ。全国的な数を把握し、自殺のリスクが高い女性を医療と行政が連携してフォローする必要がある」と提言した。
解説 精神面のケア充実を
国内の妊産婦死亡率は、医療技術の進歩などで年々減少し、ここ10年は出産数10万人当たり3〜4人前後と、50年前の84人から大幅に低く、より安全な出産が可能になった。しかし、今回の東京都監察医務院などの調査で、これまで集計から漏れていた「自殺」を加えると、妊産婦の死亡率は拡大することになる。
調査では、出産後に自殺した人の3分の1が産後うつだったことが分かった。産後うつは、ホルモンバランスの変化や育児の悩みなどから、国内で出産した女性の約10人に1人がなるとされる。また自殺した妊産婦の約半数が精神科の通院歴があった。妊娠中や出産後は社会から孤立しがちな上、胎児や母乳に影響する心配から薬の服用を中断して症状の悪化を招くケースが多いという。精神科と産婦人科が連携し薬の処方を調整するなど、適切なフォローがあれば救えた命があった可能性もある。
最近では助産師や保健師が妊産婦の精神面の簡単な相談に応じられる体制が整いつつあり、専任職員付きの相談窓口を設置する自治体も増えている。妊産婦の自殺は、国内で年間3万人近くが自ら命を絶つ状況に比べれば少ないが、残された家族への影響は大きい。お産をより安心・安全にするため、メンタルケア充実が不可欠だ。【阿部周一】
無所属無党派の弁護士の先生方による意見広告です。
実は、これを企画をされた先生は、かつて、その当日、先生自ら骨を折られる事故にあいながら、休講しては申し訳ないと、病院にかかることなく講義を優先し、民主主義のお話を私達ロースクール生にしてくださいました。
現代の日本の政治への危機感から、身銭をきって、全国紙に掲載をされておられます。
その心意気に、毎回、敬服をいたします。
ひとつの考える材料になればと思い、シェアさせていただきます。