岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「シリアの花嫁」を観る。

2011-09-11 10:53:31 | 映画・DVD 
仏、イスラエル、独、合作映画。2004年製作。

パレスチナの北部にゴラン高原があります。
1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領したまま現在に至ります(軍政から民政への移行はあります)。
ゴラン高原は文字通り、高原であり標高が高く、イスラエルにとって軍事的に必要な地域ということになります。
占領を続ける所以です。

しかし長期間占領されている人々にはさまざまな困難が生じてきます。
67年を知っている長老たちは反イスラエル、親シリアの運動を継続しています。
息子世代は地域を後にして、ロシアやイタリアに出て行きます。
無国籍者にもなります。

イスラエルと周辺諸国には外交関係はありません。現在でも基本的構図は変わっていないでしょう。

例えば、イスラエルに入出国したスタンプが押してあるパスポートであれば、シリアなどには入国できません。

この映画でゴラン高原に住む花嫁が国境を越えてシリアの花婿のもとに行くためには
彼女のパスポートにイスラエル出国スタンプを押してはいけません。
もし押してあればシリア税関は入国を認めません。
なぜならシリアは自国であるゴラン高原をイスラエル領と認めていないからです。
なかなか複雑です。

ところがイスラエル税関は出国スタンプを押してしまいます。

当然、シリアには入ることができません。

国境で立ち往生する花嫁ということになります。

この映画は長い占領で世代間に考え方の違いが現れてくる様子を丁寧に描写しています。
イスラエルでは随分と人気があった映画だそうです。
イスラエル映画ですから確かにバイヤスがかかっています。

この点に注意さえすれば、なかなか見がいがあります。
特に花嫁の姉を扮する女優(ヒアム・アッバス)は素晴らしい(写真右)。
パレスチナ人です。
アメリカ映画でも観ました。

お勧めの映画です。

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