岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『クラッシュ』(ポール・ハギス監督/04年) と『ランジェ公爵夫人』

2010-08-22 08:55:09 | 映画・DVD 


昨夜から今朝にかけて、2本のDVDを観ました。

これではブログ更新もままなりませぬ。
さて、映画の感想ですが、

『クラッシュ』は雪降るL.A.というあまり考えられない設定です。
現代のアメリカ人のこころの有り様が映し出されます。

それは、クラッシュということばに象徴されます。
「ぶつかってから、考える」というわけです。

いつどこで、クラッシュするかわからない。
クラッシュは人と人の遭遇でおこります。

一触即発しかねません。
それを助長しているのが、銃です。
身を守るための銃が、他人を殺します。
この銃の負の連鎖の中で、人間が本来持っている良性(=助け合い)が
現れては消えていきます。

この映画が、9.11後の米国の一面を現わしているのは確かです。

この映画を見終わって、21世紀はますます厳しい時代だなと思ってしまいました。


『ランジェ公爵夫人』は、バルザックの小説です。
19世紀初頭のパリ社交界に話です。
ファッションや室内装飾に興味があったので観ました。
どちらのとてもよく表現されていました。
これは勉強になりました。

さて、映画の話ですが、
美貌の公爵夫人と、将軍である侯爵の悲恋物語です。

公爵夫人は、遊びのつもりで始めた付き合いでしたが、将軍は本気です。
時間が経過しても進まない2人の関係に業を煮やした将軍は、
「刃」を使うと宣言します。
「刃」とは、遊びではなく、「命をかける」という意味に近いでしょう。

この将軍の「刃」に、公爵夫人も翻弄されます。
彼女は深い恋に落ちるのですが、思いは遂げられず修道院に入ります。

そして、
2人再会するのは、孤島の修道院の中でした。
この再会は、将軍にとって絶望的な別れとなりました。

再び、武装船で島を訪れた将軍が修道院に侵入して見たのは
息を引き取った公爵夫人でした。

この物語は、まさしく純愛です。

驚いたのは、当時の貴族社会の「恋の手練手管」。
ほかにすることがなかったのでしょうが、私には想像もつかない繊細さです。

※総合グランドのクラブハウス。


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