この映画は、沢知恵さんのラジオ番組『日曜日の音楽室』(RSKラジオ日曜17時から1時間=ラジコで聴くことができます)で話題になっていました。
毎日、アリサ・フランクリンのアルバムを聴いているのに、この映画のことは全く知りませんでした。
テレビも見ずラジオも聞かず(録音録画はしますが)なのでどうしても情報が偏ってしまいます。
最近の音楽情報はもっぱら沢知恵さんからです。
先日、映画『サマー・オブ・ソウル』を観てブラックミュージックにびっくりして以来、この映画には出演していないアリサの曲を聞いていたのです。
英語力の乏しい私は、アリサの歌っている歌詞が分かりにくく情けなく思っていました。
そのような日々にこの映画のことを聞き、これは字幕を読めばいいのだと喜んで映画館に向かいました。
映画『リスペクト』はアリサの生涯を描いていますが、特に60年代後半から70年代前半が中心です。
この時代のアメリカはベトナム反戦、公民権運動、重なる暗殺事件と日本以上に激しく揺れていました。
時代背景は『サマー・オブ・ソウル』で詳しく紹介されています。
ルーサー・キング牧師の暗殺がいかに黒人に衝撃を与えたかも目撃談を含めて語られていました。
アリサはアルバム「貴方だけを愛して」を1967年に発表します。
翌年の1968年、あろうことかキング牧師が暗殺されます。
そして1969年、『サマー・オブ・ソウル』の舞台となったハーレム・カルチュラル・フェスティバルが開かれます。
二つの映画は同時期を、再現、ドキュメンタリーという異なる手法で映像化しています。
このことが私の理解をずいぶんと助けました。
私たちが日本で得る米国の情報のほとんどは黒人以外からです。
黒人のみの映画『サマー・オブ・ソウル』や黒人牧師の家庭を背景に描かれる映画『リスペクト』などはやはり新鮮です。
真実はディテールに描かれるといいます。
家庭内の暴力シーンがたびたび描かれます。
黒人社会に見られる家庭内暴力も米国社会の影響だと感じます。
白人が黒人を暴力で支配していたことが、黒人の家庭ではより弱い立場の女性に向けられます。
日本でも延々と続いてきました。今も残っています。
映画『リスペクト』はアリサ・フランクリンの自伝映画ですから、ほとんど実際あったことだと思います。
音楽の素晴らしさには圧倒されます。
そのパワーは、悲しさだったりくやしさだったり弱さだったりから生まれてくる部分も多いと感じました。
その苦境の中にあっても自らを鼓舞し前に進む人々。
逞しいと思います。
人生を生き抜く力は半端ではありません。
アリサのアルバム「貴方だけを愛して」の制作場面が映画の中に登場します。
アルバムのライナーノーツ(デヴィット・ネイサン)に書かれてはいますが理解できていなかったのです。
すごく納得しました。
音楽的な感想についてもまだまだ書くことができません。
2本の映画は、私には隠されていた秘宝のような音楽のエキスを見せてくれました。
はまりそうです。
沢知恵さん「ありがとう!」
お読みいただきありがとうございました