岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『北のカナリアたち』 観ました。

2012-11-08 20:28:05 | 映画・DVD 
東映創立60年記念作品だそうです。
主演は吉永さゆり。
他の女優も実力派揃い。満島ひかり、宮あおい、小池栄子。まさに名花競演です。

原作は「告白」の湊かなえ。音楽はヴァイオリニストの川井郁子。
彼女はもちろん演奏もしている。
監督は、坂本順治。
撮影監督もとても重要。木村大作。

吉永は、北海道の離島(礼文島と思われる)の小学校分校の教員として勤務をしていた。
20年前のことだった。
分校には6名の生徒がいた。
合唱が教師と生徒を結びつけていく。
が、ある事故が起こり、教師が去っていく。

北の国の「12の瞳」は、瀬戸内海の「24の瞳」のように穏やかではない。

ストーリーや映画のムードは、まったく異なる。
極寒の厳しい風景は、人々の生活の過酷さに繋がる。
人々の耐えていく姿にも深い陰影を作っていく。
現代の「12の瞳」は、時代が持つ重いテーマをも背負っている。

極北の凍てつく風土は、見事な映像となって圧倒される。
この映像だけで十分見る価値がある映画となっている。

湊かなえは、登場人物の思い込みが重なり合い、錯綜して解けなくなっているそれぞれの心を20年の歳月を経え解きほぐしていく役を吉永演じる元教師に与えた。

クライマックスを迎えて、初めてこのドラマの全体像が見えてくる。
このシナリオは見事。

入場料分の価値は十分ありました。

おすすめします。

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