稚内での新しい住まいの良いところの一つが図書館に近いこと。距離にしてわずか400m足らずなので、10分も歩けば到着します。
蔵書は一般図書が約15万3千冊、児童図書が4万4千冊、雑誌約1万9千冊で全部で21万6千冊とのこと。
閲覧したり学習したりするスペースがゆったりしていて、ライトに加えてパソコンなどの電源のサービスもあり親切です。
せっかく稚内へ来たので、カラフト関係や北方探検などを勉強してみようと思って昨日は間宮林蔵のカラフト冒険談を口述で記録した『北蝦夷図説』を読んでみました。
カラフトは、18世紀から19世紀初頭に対ロシア政策を考えるうえで、「どこまでロシアの勢力が及んでいるか」ということに関心がもたれた時がありました。
そこで松田伝十郎と間宮林蔵に島の探検の命が下され、その結果間宮林蔵は大陸とカラフトとの間には幅二三里ほどの海峡があって、カラフトが島であることを始めて確認しました。
また間宮はこの時に大陸まで渡り現地の役人とも会って話をし、現地住民の衣食住、生活様式などの貴重な文化記録を残しています。
間宮の探検による地図と記録はシーボルトにも伝わり、シーボルトは後に名著Nippon」の中でこの海峡を「間宮の瀬戸」と名づけました。
シーボルトは後の1834年にペテルブルクを訪れたときにロシアの探検家クルーゼンシュテルンに間宮の地図を見せているのですが、そのときにクルーゼンシュテルンは「日本人は世に勝てり!」と叫んだと言います。当時としては大変な冒険だったのです。
間宮林蔵は、日本とのいざこざの中で捕えられ松前で獄中にいたゴローニン(後に『日本幽囚記』という名著を残した)を訪ねて自慢話をして嫌われたり、そうかと思うと北海道を南半分しか測量しなかった伊能忠敬の後をついで残りの北海道北半分を測量したりと、好奇心と自己顕示欲と胆力を備えた実に癖のある人物です。
こういう人物を中心に地域を見てみるのも面白いかもしれませんよ。図書館が近いってすばらしい。