都市計画学会のシンポジウム「軟石を生かしたまちづくり」が無事に終わりました。
午後2時半にバスターミナルを出発して、石山緑地、ぽすとかん、辻石材さんの石切り場、そして軟石土産の「軟石や」さんを訪問して、南区に残る軟石ゆかりの場所を一通り見学しました。
見学者の中には、軟石に興味を持っている普通の市民の方もいて、「辻石材さんの石切り場なんて、個人ではお願いしても見せてもらえないので、今日は来てよかった」と喜んでいる人もいました。
シンポジウムでは、軟石文化を考える会の佐藤さんに基調講演をお願いして、「軟石とは何か」ということについて、実にマニアックな話題を提供してくれました。
実は「札幌軟石」と言うけれど、札幌軟石よりも固い岩質の軟石は道内の他の場所でも算出していて、美瑛軟石とか、美幌軟石、網走軟石などいくつもの種類があるのだそう。
ただ、産出量や品質において札幌軟石が群を抜いていて、そのまま札幌軟石というブランド化につながったのだそう。
道内各地のかつての石切り場を探すのも、地元の古老を訪ねたり、博物館の学芸員を訪ねたりしてようやく探し当てたものも多く、もはや軟石は地域では産業としてはかなり昔に見捨てられたもののようです。
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シンポジウムでは、佐藤さんに加えて、軟石やの小原さん、そしてNPO法人れきけんの角先生を迎えて、私がコーディネーター役を務めてもっと軟石についての話を膨らませようと試みました。
小原さんからは、「そろそろ札幌軟石のグッズが知られてきたこともあるし、本州で開催される北海道物産展で販売しても、大体の人が素通りせずに、『これはなんですか?』と興味を持ってくださいます」とのこと。
札幌の歴史的建築景観の素材感が、お土産とマッチしているので、特に外国人にも受けが良いそうです。
角先生は、「軟石もそうだけれど、歴史的な建物を所有している人はそれを維持するのが結構大変で、苦労している。そんな人たちに頑張らせるのは、見学した人たちの『素晴らしいですね!』『これは良いですね。これを所有しているなんてすばらしい』と誉めそやすことです。その一言が、オーナーに勇気と誇りを持たせることにつながるので、建物を残そうと思ったら、ぜひオーナーを褒めてあげてください」という現実的な手法について言及がありました。
今日のシンポジウムは学術団体のセミナーには珍しく、ほのぼのとして、和気あいあいとした雰囲気が漂う、素敵な時間になりました。
テーマも良かったし、登壇者の雰囲気も良かったと思います。
コーディネーター役もなんとか時間配分をこなせてほっと一安心です。
皆さま、次回の勉強会にはぜひお越しくださいね。