北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

札幌軟石っていいわー

2017-07-21 23:55:10 | Weblog

 

 来週27日に、都市計画学会北海道支部主催のシンポジウム「軟石を生かしたまちづくり」が開催されます。

 午後に無料のバスで、元軟石の石切り場だった石山緑地と、軟石でできた建物として今やほぼ最高の形で残っている「ぽすとかん(旧石山郵便局)」を見学、その後今や札幌で唯一残っている辻石材さんの軟石石切り場で現地の方の話を聞くことにしています。

 その後に教育文化会館に移動して、軟石文化を語る会の佐藤俊義さんの講演、そして私がコーディネータを務めるパネルディスカッション、という運びです。

 今日はその下準備のために、辻石材さんの石切り場とぽすとかん、さらに軟石を加工した小物グッズを売っている「軟石や」さんを訪ねて下見をしてきました。

 札幌軟石は、支笏湖が生まれる前の火山噴火の火砕流が千歳から札幌南部まで流れて来て固まった、溶結凝灰岩という種類の石です。

 火山灰が固まった凝灰岩ならばそれほど強度が出なくてもろいのですが、溶結凝灰岩は、火砕流の火山灰がまだ熱い状態で厚い層になり蒸し焼きになることで強度を増した凝灰岩です。

 明治の初期に、まだ物資の輸送力がそれほど大きくなかった時代は、できるだけ地元にある素材で建物を作るしかありませんでした。

 そんななか、この札幌軟石は一定の強度がありながら比較的加工しやすく、断熱性もあるという事で重宝されて、建築資材として道内で多く使われ、軟石の建物というだけで、北海道の開拓時代をほうふつとさせるイメージを得ています。

 ところが札幌軟石は、明治時代から戦後まで多く使われた石材ですが、工場製品と違って石ができた時の条件によって強度が必ずしも一定ではありませんでした。

 そのため、戦後にこの石材で建物の構造を作ることが建築基準法で認められなくなったのだそう。

 ただその後も、見た目に独特のレトロ感があって好む人は多く、コンクリートや木造の建物に張る外壁材として人気があります。

 最近は、建物の修復が難しくて取り壊さざるを得ない建物も多く、そんなときは古い石材が唯一軟石を扱える辻石材さんに持ち込まれ、表面を薄く削って張物に加工するというニーズがあるのだそう。

 今や開拓時代の札幌を代表する景観要素としての札幌軟石ですが、上手に保存・活用して将来にわたって価値を増す財産としてのポテンシャルがありますね。


          ◆ 


 その後に、軟石の小物を売っている「軟石や」さんを訪ねました。

 こちらは石山地区にある軟石づくりの家を改造した工房になっています。

 中には軟石でできたインテリア小物がたくさんあって、なかでも素朴な風合いに加えて、水気を吸うという特性から、香りのエッセンスを吸わせて香りが長持ちするインテリアにしたところ大人気なのだそう。

 特に、外国人観光客にとっても、札幌らしさを味わえるお土産として買い求める人が多いそうです。

 今日見学したことで、27日の現地見学会では、軟石の見学をした後でインテリアグッズのお土産のためにバスで回ってもらうことにしました。

 札幌の軟石建物の景観文化は、もっと価値を見出されても良さそうです。

 ぜひこの機会に軟石文化に触れてみてください。

【都市計画学会北海道支部10周年記念シンポジウム 「軟石を生かしたまちづくり」】 http://www.cpij-hokkaido.jp/seminar.html
 ※締め切りは7月26日まで大丈夫ですよ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする