北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

追悼 ドクター川野 ~ 釣りは奥が深い遊びです

2018-04-04 23:55:55 | Weblog

 昨日は北海道のラジオ芸人、日高晤郎さんの訃報について書きましたが、今日も追悼文になってしまいました。

 私が釧路でフライフィッシングを始めたころに、人づてに道東へ遊びに来てくれた釣り大先輩のドクター・カワノこと、川野信之さんが亡くなられたという報せが届きました。

 川野さんは、1943年福岡市生まれで、現役の脳外科医にしてフライフィッシャー。

 特に脳腫瘍に関しては研究論文も多く、世界的な権威なのですが、一緒に釣りをしている分には、そんな姿はみじんも見せず、ただただ優しい釣り兄貴でした。

 川野先生は、職業柄、英語やラテン語を読むことに苦労しない、というご自身のスキルに気が付いて、あるとき「用語辞典を書こう」と思い立ちました。

 釣りの技術用語から始まって、フライのスペル知りたさに原書を買いあさり、書く範囲も釣り具、魚、フライ・パターンへとその興味の範囲が広がって、集めた書籍は400冊を超えたと言います。

 そうして大いなる苦労の末に出来上がったのが、「フライフィッシング用語辞典」。

 釣りを始めたころに、川野先生と一緒に釧路の川を歩き、そういう本があると聞いて買い求め、甘えついでに、「先生、ぜひ直筆サインもお願いします」と言ってみたら、ご丁寧な釣りへの誘いの言葉を寄せてくださいました。

 今ではこれもまた一つの宝物です。

    ◆

 執筆の苦労について先生は、後書きでこう書かれています。

「…この本ではさもわかったようなことを書いたが、正直な話、あやふやな、不確かなこともたくさんあってネ、まあ、真実にたどり着こうと"もがいてみた"というところだろう。好奇心と維持に駆られて、曲がりくねった巷間にさまよい込んだ十数年だった」

 しかし川野先生のご苦労というか狂気(笑)のお陰で我々、後に続くものは、釣りの奥深い興味に触れることができるようになりました。

 一緒に時を過ごした素晴らしい仲間がいなくなるのは寂しいですね。

 でもいなくなって寂しがるくらいなら、今をもっと一緒に過ごした方が良い。

 今年はフライフィッシング辞典を片手に、釣行を楽しむことにします。

 雲の隙間から下手な技を笑ってください。 ご冥福をお祈りします。

 

コメント
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