「北海道道路利用者会議」という、道路について利用者の立場から考え、要望をしていく団体の総会がありました。
活動費用の多くは道庁、札幌市などの自治体に加え、ハイヤー協会やトラック協会、バス協会などのユーザー団体、そして建設関係の団体などが負担していて、北海道のためになる道路整備について中央への要望活動などをしています。
冒頭で、最近の道路の話題について、北海道開発局と道庁の課長から説明がありました。
開発局の課長からは冒頭で、「今年は春先から道路の傷みが目立ち、新聞等でも話題になるなど、さすがにもう少し道路の補修に予算をつけなくてはならないという雰囲気になってきている」と、少しは希望の持てる発言がありましたが、この雰囲気が実際どれくらいの数字として表れてくるかを注視しなくてはなりません。
一方で、道路の予算には限りがあるわけで、今北海道開発局の道路予算は、概ね、改築(新しく道路を作る予算)と維持管理のための予算が1:1になっているそう。
意外だったのは、「実は本州では、改築予算の方が維持管理よりもずっと多いのです」という言葉でした。
私は本州の方がもう新しく道路を作るよりも維持管理が多いのではないかと思ったのですが、実際はそうではないのだと。
その理由というのが、「本州では大都市圏の外環状道路など、未来につながる投資的な道路整備が盛んにやられているので、維持管理よりも改築が多い」という事だそう。
それに比べると、わが北海道もオホーツクやニセコ周辺など、早急にネットワークを整備したい計画はあるのですが、そちらに潤沢な予算がつかず、そうこうするうちにこれまで整備した道路の維持管理の必要も増しているというわけです。
未来を切り開くのは、新しい時代に必要なインフラがあってこそで、未来の子孫に向かって豊かな国土を残したいものです。
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そういった予算を要望する上でのちょっとしたコツについても興味深い話がありました。
東京から、いわゆる国会議員や中央省庁の高官などが視察に来た際に、ただただ「道路を作ってほしい、管理してほしい」ということを訴えてもその意味にインパクトがなければ印象に残らないのだと。
状況を印象的に伝えるためには「具体的な数字をいう事だ」と言います。
たとえば、「このスキーリゾートのエリアでは、冬期に住民票をもつ住民のうち7~8%が外国人なんです」というと、インバウンド観光が盛んになっていることが伝わります。
また、「一言で『馬産地』と言いますが、日本の馬の90%がここ日高地方で生産されているんです」というと、競馬を観た時にも日高地方を頭に浮かべ、その馬たちが本州まで運ばれてくる道路や馬運車を思い出すかもしれません。
ただ「欲しい」というのではなく、その予算がどういう価値を持っているかを印象的に伝えることを心掛けたいものです。
交渉のテクニックですね。