ネットニュースで、ラジオ芸人の日高晤郎さんの訃報を知りました。今日はやはりこのことに触れずにはおられません。
日高晤郎さんとは、北海道の地元ラジオ局STVラジオの土曜日9時間生放送「日高五郎ショー」のメインパーソナリティ。
北海道民ならば歯に衣着せぬ物言いに、「好き」「きらい」はあれど、大概の人が知っている人気者でした。
私自身は彼を、「アナウンサー」ではなく、「司会者」でもなく、「MC」というのでもなく、「『語り』で聴かせるラジオ芸人」でもなく、というのが一番ふさわしい表現ではないかと思っていました。
日高吾郎ショーを初めて聞いたのは、多分就職した一年目のことで、番組の年表を見てみると、1983年から始まった土曜日昼の12時から15時までの三時間番組だったと記憶しています。
このときに、芸人の人生を語りで聴かせるコーナーがあって、その語りの見事さに「誰だ、この人!?」と度肝を抜かれたことを今でも覚えていて、それから土曜の午後といえば、この番組をよく聴いたものでした。
真面目な聴視者ではなかったし、番組の中で不出来なスタッフを真顔で叱り飛ばすような口調にいたたまれなくなることも多く、最後は好きなコーナーだけをつまみ食いで聴くようになっていました。
それでも「土曜日には日高吾郎ショーがある」という思いはいつも頭の片隅にありました。
ここ数年、しゃべりに詰まったり、言い間違いをして「今のなんだよ!(笑)」と自虐的に笑いに替えるシーンが多く聞かれるようになったことに気づきました。
そして(こういう長寿番組の終わりというのはどういう形で現れるのだろう?)などとぼんやりと考えていました。
(引退なんてことはなくて、きっと死ぬまでやり続けるんだろうな)と思っていたのですが、まさかそれが本当になる日が来るとは。
不真面目なリスナーだったけれど、やっぱりあの毒舌が聞けないと思うと寂しくて、これって「日高吾郎ロス」なんだろうなあ。
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日高吾郎ショーには、朝8時20分くらいから始まる「晤郎の語源・雑学・縦横無尽」という名物コーナーがありました。
「あ」から始まって五十音順にある単語について、文字通り語源・雑学を自分で調べて十数分にわたって語り聞かせるコーナーでしたが、多分コーナー別聴視率がかなり上位だったと思います。
最後になったときのテーマは「伊達」でした。
「伊達男」と言われるように「魅力的」、「見栄」、「粋」などの意味もある「伊達」が最後に選んだ言葉だったとは、散り際の見事な芸人魂でした。
就職以降のわが人生を楽しませてくれた日高さんに心からの感謝を捧げ、ご冥福をお祈りします。 合掌