北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

予防保全で経費を削減 ~ 札幌市のアプローチ

2018-04-16 23:55:55 | Weblog
 今週、舗装事業に関連して講話をすることになっていて、パワーポイントを作成するために、いろいろな資料を探していました。
 
 すると、「札幌市の道路舗装の考え方が先進的ですよ」と教えてくれる方がいて、「しかも、報告書は全部ネットにアップされているからすぐに見れる」とも。
 
 そうやって探したのが、「札幌市幹線道路管理計画」と「札幌市補助幹線道路管理計画」の二つでした。
 
 これらはどちらも道路の舗装に関して、どういう手順で調査を行って、どういう考え方で補修修繕をするか、ということをまとめたもの。ただし、対象となる道路網が違うだけで、同じような考え方がベースにあります。
 
 このなかで興味深かったのが、道路の傷みが進行して壊れてから直す「事後保全型維持管理」でやれば、年間26億円がかかるのにたいして、壊れ切ってしまう前の適切なタイミングで補修や修繕を行って長持ちさせるやり方ならば、年間9億円でやれる、という試算でした。
 
 
 年間に安定した事業枠を用意して、計画的に修繕するほうが、持つだけ使い切って壊れたら直す、というやり方よりもずっと経費が節減されるというのです。
 
 札幌市の場合は、事前に修繕した箇所のその後の傷みも調査しながら、年月とともに劣化する度合いの関数も試みに作っています。
 
 こうした関数も、調査の箇所を広げて地道に繰り返すことで精度が上がってゆくことでしょう。
 
 道路舗装の傷む度合いから、年間の予算を逆算してしっかりと予防保全をする、というメンテナンスサイクルが確立しているのは素晴らしいことです。
 
 しかしそれが「とはいえ予算がないからできない」と言われるようでは、技術とか科学を無視した対応といえ、それでは正しい維持管理はできません。
 
 道路管理だけではなく、インフラの維持管理に当たっては、科学的な裏付けをしっかりと作ったうえで、必要な予算は用意する、という現実を見据えた行政に期待したいところです。
 
 
コメント
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