今年は春先から道路の傷みが激しい、ということを盛んに訴えている私ですが、今朝はちょっと心配な記事がありました。
日経新聞の経済面ですが、「老朽インフラ歳出抑制」とありました。
中身を読むと、「政府は道路など社会インフラ整備にかかるコストの抑制に乗り出す。年度末に集中しがちな公共事業の時期をならすほか、ロボットの活用で安全検査を効率的に進められるようにし、老朽インフラの維持費を抑えることをめざす」とあります。
どうやら元ネタは、4月12日に開催された経済財政諮問会議での議論のようです。
そこで原本に当たってみると、有識者議員提出資料として、伊藤元重さんら4人の連名で「質の高い社会資本整備に向けて」という資料が提出されていました。
この資料の中で、「(2) 国・地方の公共投資における徹底した効率化 」としたうえで、こう書かれています。
公共事業の執行時期が平準化すれば、人材確保が進み、稼働率が改善するが、実際には地方自治体を中心に平準化は進んでいない(時期によって2倍程度のフレ)。
債務負担行為の活用、発注見通しの統合、執行率目標の設定とPDCA の実行等先進事例に学び、こうした取組によるコストの実態を国及び地方の積算単価に段階的に反映すべき。
債務負担行為の活用、発注見通しの統合、執行率目標の設定とPDCA の実行等先進事例に学び、こうした取組によるコストの実態を国及び地方の積算単価に段階的に反映すべき。
公共施設は、何ら対策を講じなければ、維持更新負担が大幅に拡大する見込み。
長寿命化等への取組の先行事例では、トータルコストが平均 24%削減されると見通しており、各インフラ所管省庁において長寿命化等による削減効果を改めて把握するとともに、先進的な取組を全国自治体で展開するよう後押しすべき」
-------(ここまで引用)ーーーーーー
素直に読めば、ただ予算を削減するよ、ということではなく、このままでは維持管理費用が大幅に増えるので、長寿命化を図って効率的に管理することでかかる費用を削減すべき、ということに読めます。
今の北海道の道路は、傷んでしまって大幅な修繕を必要とする道路が増えてしまっているわけで、これなどは軽微な修繕を繰り返すことで費用をグッと軽減することが可能なはず。
つまりより計画的に予算を投入することで結果として、LCC(=ライフサイクルコスト)を下げるようなトータルな視点が必要だということでしょう。
そのためにも、「目先の予算がない」などと言っておらずに、中期的・長期的展望に立った、一番予算のかからない管理の在り方はどういうことなのか、を真面目に議論してほしいものです。
今のような「穴が開いた→埋めるだけ→もっと壊れる→もっと埋める」という負のスパイラルの先に正しい答えはありません。
技術的知見として、将来のためにまっとうな議論をすべきだ、と言ってくれていると理解してよいのでしょうか。
ペーパーの一番上には「早期発見・予防保全を基本に、効率を徹底追求すべき」とも書かれています。
予防保全をやらせてほしいものです。