今日は所属している、日本都市計画学会北海道支部の支部総会。
昨年事業の報告と、今年度の活動計画が承認されました。今年一年も、観光までウィングを広げた守備範囲の中で、まちづくり・地域づくりについて様々な活動を行って行こうと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/19/a0535175a5e721151b023419d2d980aa.jpg)
総会の後には、日本都市計画学会副会長で、弘前大学教授の北原啓司先生から、「北からの都市計画を考える」というタイトルの記念講演をいただきました。
経済のグローバル化が進む大都会は、スピード化、均質化、市場主義が横行するアメリカスタイルで進んでいるように見受けられますが、その一方地方都市では、スローで個性化、文化中心のヨーロッパスタイルの暮らし方が向いています。
都市計画の領域でも、かつての人口増加、都市爆発の時代をいかに抑制的にコントロールしながら快適な都市化社会を形成するかが課題だった時代が終わりをつげ、あるものをいかに成熟させてゆくかに重きが置かれるようになりました。
ローカルの暮らしは、グローバルな都市の暮らしから見て、「一周遅れの勝者」と言えるのでしょうか。
いやそもそも、先を走っているように見える都会の暮らしは、我々から一周遅れの人たちの姿ではないのかとすら思えてきます。
◆
再開発などを行うときに、公開空地を供出すると容積率の上乗せをボーナスとして得られるという制度があります。
利益をちらつかせて、利便的空間を社会に還元させるという仕組みです。経済の力でよりよい社会に結び付ける一つの制度的工夫です。
ところがこんなことを江戸時代から既にやっていたのが、青森県黒石市の「こみせ通り」にみることができます
。
【藩政時代からの商家町 黒石・中町こみせ通り】https://retro.useless-landscape.com/archives/4137
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/5a/f98e45d218a540fa6771f4724436c860.jpg)
【上記ホームページより】
ここでは、商家が自分の敷地の中に冬の雪でも通れるようなアーケードを提供して、地域の暮らしを支えるような工夫がありました。
藩からは、地域に提供されているアーケード分の税金は取らないという形で、この姿勢を応援しています。
この昔ながらのアーケードが、伝統的建築物群保存地区として、地域の景観や観光に今でも貢献しています。
答えはグローバルの中だけにあるのではなく、昔からの、そしてかつてのローカルの暮らしの中にあるのじゃなかろうか。
人口減少社会を迎えて、立地適正化計画のようなコンパクトシティを誘導するような施策もありますが、三大都市圏の市街地が練炭するような地域では使えても、暮らしの中に農地を抱えていたり、漁業で成り立っているようなところには到底歯が立たないのではないでしょうか。
そこには、ローカルならではの工夫と、住む人たちの覚悟が一番のポイントになりそうです。
大都会から離れた積雪寒冷地の東北・北海道地域では、改めて都会の都市計画とは一線を画した、「北からの都市計画」を自ら工夫してゆくことがあって良いのだ、と言えそうです。