先日コロナ罹患後に初めて実家の両親のもとを訪ねました。
もう父親は満92歳で母親は89歳、二人とも変わらないようでいて日々少しずつ衰えたと感じることが増えているといいます。
「まだ毎日朝のラジオ体操にお父さんと二人で行ってるんだよ。でももう立って体操ができないのさ。行くときは4輪カートを前にして歩いていくんだけど、体操の時はそれに座ってするの。体がどんどん動かなくなるわ」
「家事はできているの?」
「座ったら両手が高く上がるんだけど、立ったら腕が肩までしか上がらなくなった。腹筋がないからなんだね」
「じゃあ洗濯物を干すのは?」
「お父さんに手伝ってもらってる。まあお父さんは足腰は大丈夫だからね」
実際父は92歳と言えども、日常的に歩いたりするのは全く平気な様子。肝心なのは脳の衰えでしょうか。
「この間町内会で私ら二人とも5月生まれだから5月の誕生会をやってくれたんだ」
「ああ、よかったね」
「そのときに司会役の人がお父さんに『ご健康ですね』ってインタビューしてさ」
「ほう」
「普段の口癖が『俺は今まで病院に入院したことがない』て言っているでしょ?あれが自慢なもんだからそう言おうとしてさ」
「うん」
「『俺は今まで病院に行ったことがない』って言ってるのさ。司会の人も『今まで一度も病院に行かれたことがないんですか!それはすごいですね』ってびっくりしてたけど、病院ならしょっちゅう行って薬どっさりもらってきているでしょ。脳の検査で入院しなきゃだめだね(笑)」
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母は、「同じ年ご夫婦が最近デイサービスに行きだした」と言います。
「父さん、母さんは利用しないの?」
「いやあ、家で入れているからわざわざ行きたくないね」
デイサービスは行くことが億劫だ、という事があるのでしょうけれど、さらには今でもやれている日常を変えたくはないという消極的な現状維持の気持ちが強いように思います。
歳を取ると何かを変えることも大変になっていきますね。
その頭の柔軟性をいつまで保っていられるでしょうか?