北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

安く作れる公営住宅でまちなかの賑わいをとりもどす

2022-05-30 22:36:07 | Weblog

 

 今日から再び宗谷方面へ挨拶回りの出張です。

 今日の宿泊は浜頓別町。

 浜頓別町では商工会議所を訪ねて、こちらの事務局長さんから、地元の零細企業を活用・支援しながら進めようとしているまちづくりについて伺って意見交換をしてきました。

 地方の自他地帯の困りごとはなんといっても人口流出ですが、その背景には案外安く住めるちゃんとした住宅が少ないのではないか、というのが問題意識。

 それはつまり、家賃が安いだけの安普請の住宅ではなくて、ちゃんと暖かく高機能でそれでいて家賃が安い公営の賃貸住宅という事が答えになってくるのだと。

 その際に各種の住宅補助制度をうまく活用すると、自治体にとって安くて負担の少ない工夫も可能で、そこはまさに現場最前線の自治体職員の知恵によるところが大きいのです。

 浜頓別で進めようとしている政策は「街中挿入型公営住宅です」と言います。

 それは市街地の中心部で歯抜けになったところに地元企業でも建築できるレベルの木造の公営住宅を作ってゆくのだと。

「PFI型にして民間会社が自分たちで建設すれば、そもそも安く建設できることが期待できるのと、建設には補助金が半分出ます。さらにそれを公営住宅として自治体が借り受けて低所得の住民に貸せば、支払ってもらえる家賃と本来返済すべきお金との差額にも補助が出る制度があります」

 つまり資金面では補助金の制度を最大限に利用するとともに、地元企業を活用して建設にあたってもらえば地元の仕事にもなる。

 その際に高層の鉄筋コンクリートとなると遠くから大手のゼネコンがやってきてお金をかすめ取られるところを、地元でもできる木造住宅で作ることで地元でのお金の域内循環が図られるという、一石何鳥もの効果を狙おうというのです。

「大きな自治体になると公営住宅もつい鉄筋コンクリートで大きな建物を作りたくなり、それが将来のメンテナンス費用の高騰にもつながるし、メンテナンスも外部の業者にきてもらわなくてはならない。それが地元で建設できて、地元でメンテナンスもできるような規模や建築物が良いのです」

 
 こうして公営住宅街をドカンと作るのではなく、小規模な住宅でまちなかの隙間の土地をゲリラ的に埋めて行き地域の住民と賑わいを創出するのが良いのではないか、というのがこのプラン。

 事務局長さんは「ただしこれを成功させるには、あまり大都市に近くないほうがよかったり、地元にまだちゃんとした建築や設備の会社がいて、域内で仕事ができるという条件も必要でしょう。
 そして何より…」
「何よりも…なんですか?」

「それでいこうという担当行政マンのエネルギーと、それでよいという首長や議会も含めた行政力の協力と結集が必要なように思います」

 
 確かに制度は非常に細かくて複雑なので、それらの制度の間を縫うような精緻なプランニングができる力が必要でしょう。

 問題は今日、それらに耐えうる行政力が地方の役場に残っているかどうかです。

 人口減少を行政による住まいづくりで耐えるという発想、実に興味深いものです。

 どこかで真似をしてくれる自治体は出てくるでしょうか。

コメント
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