そろそろ雪の季節です。
今年も除雪を乗り切らないと行けないところですが、バスやトラックの運転手さんが不足している、というニュースが話題になっているように、実は除雪をしてくれる人たちも高齢化/減少の憂き目にあっています。
そもそもバスやトラックならば、今度はいつ運転するという予定が経ちますが、除雪となると今夜降るか降らないかが微妙な時などはひたすら待機しなくてはなりません。
当然お酒は飲めないし、一たび出動となれば深夜/早朝になるわけで、じりじりしながら行く・行かないの指示を待つこともしばしばです。
最近は自治体さんを訪問して「もっと効率的な道路管理のために民間を上手に活用してはどうですか」という宣伝と営業をしていることから、特に地方の小都市で重機を運転して除雪をしてくれる人の高齢化と減少を憂いています。
しばしば聞かれるのが住民からのクレームで、冬になると自治体によっては普段は3本しかない電話回線を20本に増やして維持管理ではない他の部局から人員を割いてもらって苦情対応をしているなどと言う話も聞きます。
自治体の方に訊くと、「そういうクレームがあればまずは現場に行って状況を見て住民の方の話を聞きます。なかには(これはもっともな注文だな)と思うこともありますが、その一方で(この程度のことでも行政に言ってくるんだなあ)と嘆かわしくなるものもあります」とのこと。
住民は税金を払っているから行政が住民サービスをするのは当たり前だと思うのかもしれませんが、負担している税金に見合ったサービスを受けようと思うと、そのバランスがちょっと悪いようにも思います。
…とそこまできて、かつて同じようなことを私自身のブログで書いたことを思い出しました。
調べてみると2015年1月のブログで、タイトルは「客が選ばれる時代~除雪者の声を聞け」というものでした。
ブログの後半部分にこんな文章が出てきます。
ーーー【2015年1月10日 ブログ 「客が選ばれる時代~除雪者の声を聞け」よりーーーー
https://blog.goo.ne.jp/komamasa24goo/e/c094ee67aff8f74cc6cca528f2e42fe7
…「やっぱり作業は大変ですか?」と、今度は作業の大変さを訊いてみました。
すると、「賃金も安いし夜は寝られないし、冬の排雪ならだれもやりたがらないよ。うちは元請けの夏仕事をやっているんでその付き合いだよ。まあ元請けさんとこの部長さんがすごくいい人だから、その人でもってるんじゃないかな」
「いやなお客もいますか」
「いるね。玄関前に少し残った雪を『なんでこれも持っていかないんだ』って電話する人とか、『いつくるかを紙に書いて事前に配ってくれ』とかね。とてもそこまではやっていられないってことを理解してくれない」
「そういうクレーマーはどうするんですか」
「いま受け元には『ブラックリストを作ってくれ』って言っているよ。『三回クレームが来たら、次の年は契約しないでくれ』ってね」
「それはすごい!」
「でもね、本当に数軒なんだけど受け元に『いつもやってくれる方は本当によくやってくれるので感謝しています』って電話をくれる人とか、行くたびに温かい缶コーヒーを皆の分用意して待っていてくれる人もいるのさ。それを見ると、(ああ、ここだけはやってあげなくちゃなあ)と思うんですよ」
そういっているところへダンプが戻ってきたので会話は終了。再び雪を積みだす作業が始まりました。
それにしても、作業を頼む客の側にブラックリストが作られるかもしれないというのはちょっとした驚きです。
売り手市場か買い手市場かで考えると、除雪事業者はどんどん減っていてこのままではサービス自体が買おうと思ってもどこもやってくれない時代が来るかもしれません。
良い客でなければサービスを買うことすらできな時代と言うのは面白い。世の中、何でもお金で解決できると思ったら大間違いなんですね。
良い客、というよりも他人のことを思いやれるような、真っ当な人間として生きていきたいですね。
ーーー【以上】ーーー
住民は行政がサービスをするのは当たり前だと思っていても、行政も実際の作業は民間企業に委託をしているわけで、人員が少なくなる中であまりに負担が多ければ「その場所は外してくれ」とか「そのエリアは受けない」という主張をするようになるかもしれません。
民間vs民間の契約であれば上記の記事のようにやんわりと外されることもある時代に、「まさか行政はそんな事をしないだろう」と思っても、いつ何時どんなことが起きるかはわかりません。
地域を支えてくれている人たちを下に見たりさげすんだりするような態度は絶対に良いことではなく、やがてはしっぺ返しを食らいかねないということも理解した方が良いでしょう。
行政もそのあたりでトラブルになることをあまりに恐れすぎているのではないでしょうか。
良き住民であることは良き客であることと同じです。
売り手市場になりつつある業界事情の行く末を案じて、わがことと思うような姿勢が必要なように思います。