先週の土曜日の北海道新聞に、厚生省人口問題研究所が公表した人口動態が大きく生地になりました。
曰く、「厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は22日、2050年までの全国の地域別将来推計人口を発表した。道内は、前回国勢調査が行われた20年と比べて26・9%減の382万人となり、全道179市町村すべてで減少、67市町村では人口が半分以下になる…」とあり、全道の市町村の現在の人口と2050年の推計人口が示されていました。
もはや人口が減ることは確実で、その先はどのような地域の絵姿になるのか、もはや猶予はありません。
とはいっても人口を増やすことは非常に難しいので、人口は減りながらどのように地域を管理し暮らしを守ってゆくかが課題になります。
先日ある自治体からお声がかかり、「施設の運営のための人材を確実に確保するために民間企業はどのような貢献ができますか」と訊ねられました。
もちろん、企業として利益が出ればそれなりの人材を確保して充てるということが当面はできるでしょうが、やがて高齢化とともに働き手が退場してゆき、少子化によりその補充ができないという事態を招きます。
ギリギリまで効率化と省人化を目指し、それでも限界が来たら施設の管理を諦めるということにもなるのでしょうが、もはや目標はどこまで粘れるかになりかけています。
「人口減少下のまちづくり」として私が考えるキーワードは「多能工化」と「参加型労働」の二つです。
「多能工化」とは、一人ひとりがあまり専門的になり過ぎずそれでいて大抵のことは自分でできるというたくさんの能力や資格を身に着けている社会を目指そうという事です。
専門家がそれで職を得て収入を得られるのはおよそ都会だからであって、そうしたニーズのないとこでは専門家は食ってゆけません。
代わりに地方で役に立つのは、ちょっとしたことを何でもできる人材です。
車に乗れて作業もできて修繕も管理も自分でできる人こそが重宝されます。
なので各種の運転免許を始め様々な資格を早めに取っておくことが大切です。
次が「参加型労働」で、これは特に高齢者などが月~金で9時~5時で席職員として働くのではなく、好きな時に好きなだけその労働に参加して社会の求めに応じてゆくという暮らし方/稼ぎ方です。
これにより労働者として厳しい時間制約に追われるのではなく、社会が求める仕事をやれるときにやってあげることでいくばくかの収入と社会参加を果たすということができ、いきがいであると同時に暮らしにメリハリを得て感謝される存在になれるという事です。
高齢化の進展とともに少しずつ働ける時間は少なくなるでしょうけれど、それにしても65歳で年金暮らしになれば何もしない、というような生き方ももう日本では期待しない方が良いでしょう。
あまりにお金持ちであればそういう暮らし方もあるかもしれませんが、それもなんだか虚しい感じがします。
社会と何らかの関わりをもちつつ、感謝し/感謝される存在であり続ける方が幸せなのではないでしょうか。
そしてそのためには自分自身が「多能工」であることが有利に働きます。
最近はリスキリングなどといって新しいスキルを身に付けましょう、などと言われるようになりましたが、なにも歳を取ってからではなく若いうちからそういう生き方をしておく方が、地域では重宝されるのです。
人口減少の地域では、誰かがやってくれるのを待つのではなく自らがなんでもやる人こそが求められるのです。