こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『ショーン・タンの世界展』北九州市立美術館分館

2020-12-19 20:13:59 | 美術館・博物館
小倉北区リバーウォーク北九州内にある北九州市立美術館分館で開催されている『ショーン・タンの世界展』に行ってきました。

オーストラリアの画家で『アライバル』で知られていて、エリックなどの独特の生き物を描く方ですね。
入場してまず、撮影OKのところがあったので、撮りました。

私としては、『アライバル』の「気球と町並み」「巨人の夜」『エリック』の「エリックの庭」今回、初公開かな?の「ロボットふくろう」油彩画の「浜辺で絵を描く子どもたち、ニュージーランド」「風の強い日の黄色い木、パークヴィル」が好きですね。

あと『クマとその弁護士』は、星新一さんだったかな?の牛が話せるようになって「私たちを食べないでください」と言うようになったという物語を思い出させました。

それに、アトリエを再現している展示もあって、撮影OKでした。

このブログは、あまり写真を載せられそうにないので、これくらいで。
今回、どれも楽しくて、とても好みだったので、図録を購入しました。
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『始まりの木』夏川草介

2020-12-17 20:14:40 | 読書感想
 
主人公は、東京都心にある国立東々大学の学生、藤崎千佳。
四月から大学院に進学したばかり。
彼女が民俗学の道に進もうと考えたのは、高校生の頃、柳田國男の『遠野物語』に感動した事と、この大学の偏屈な民族学者、古屋神寺郎に出逢ったため。

そんな古屋は、千佳が狭い研究室で無心に資料に目を通していると、しばしば突然顔をあげて、ぶっきらぼうな声で告げる。
「藤崎、旅の準備をしたまえ」と。
意外と千佳は、彼に従って旅をする事を気に入っているのだった。

とある理由から左足に障碍を持つ古屋と、千佳ですが、なかなかいいコンビで、偏屈な彼にも臆せずしっかり言い返す千佳が、何とも気持ちよく微笑ましく思えます。
また、彼の一見わがままやへそ曲がりに思える行動や発言にも、実は思いやりのあるものだったりする事があって、面白いです。
ただ、古屋が相対する人間にも上手がいるもので、彼でもまだまだ未熟なんだなあ、と、人生の道のりの遠さに気が遠くなりそうです。
私もせめて千佳くらいにはなりたいのですが、まだまだです。

全体として、民俗学についての考察と同時に不思議な出来事も見受けられる、素敵な物語でした。
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『平安女子は、みんな必死で恋してた』イザベラ・ディオニシオ

2020-12-15 19:46:33 | 読書感想
 
イザベラさんご自身のあとがきによると、ご自身は、ただの古典愛好家という事らしいのですが、いやいや、愛好家を名乗れるだけ詳しいとお見受けします。

私は、『伊勢物語』『とはずがたり』は未読で、『源氏物語』は二回、他は数回程度、読み返しているくらいです。超約なんて、できるのが凄い事です。

面白かったのは、専門家の中では『竹取物語』の作者の大体の身分くらいは推測されているという事と、その上でのイザベラさんが想像なさる、それぞれのシーンでの作者の思いや考えです。
嫉妬と復讐ですか?あの短い物語の背景にそんなものがあるとは!

ところで、古典なんて難しい共感できないと言う方に一つ朗報です。
オタクの方々にお薦めしたいのが、菅原孝標の女の『更級日記』
何を隠そう、彼女こそ日本のオタク界の第一人者。
『源氏物語』オタクなんです。
十代の私も、彼女に親近感を抱いていました。
「仲間じゃない?」(ジャンルが違い過ぎるけど)
まあ、騙されたと思って、読みやすい訳のものをお読みくださいな?
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『保護プログラム』草上仁 「ミステリーズ!vol.104 2020年12月号」収録

2020-12-12 20:44:00 | 草上仁
 
マセオ・カステッリは、ある街のマフィアの序列7番目にいたが、裁判での証言と引き換えに顔と名前を変え、ファミリーの手の届かない土地で出発するチャンスを与えられた。

しかし、マセオに新生活の場として与えられた新しい街も、非合法ビジネスで肥え太り、堅気になることは無かった。

おかしいなとは思いました。
現実のアメリカで、犯罪者を更生させるために、まるきり別人として遠い地で暮らさせたら堅気になったという話を聞いた事があったので、この国では全ての街がマフィアに牛耳られているのかと。
ところが結末まで読んでみると!
なるほど!と、膝を打つ納得の論理の展開でした。
ただ、人間としては・・・どうなんでしょうねえ?
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『ティンカー・ベル殺し』小林泰三

2020-12-09 19:56:42 | 読書感想
 
夢の中で間抜けな”蜥蜴のビル”になってしまう井森建。

今回のビルは、ピーター・パンとウェンディ、そしてティンカー・ベルに拾われ、ネバーランドと呼ばれる島にやって来るところから始まる。

読み終わってみると、ピーター・パンは原作でも残酷な殺人鬼だったようですね。
つい、その記述を読み逃していましたが。

井森の小学校の同窓会では、ネバーランドのアーヴァタールがたくさんいたようで、ネバーランドで彼らが殺された事で、こちらの世界のアーヴァタールが、様々な理由で亡くなっていきます。

殺人事件も罪深いのですが、今回は、それ以上に非道な人物がいて、いたたまれない気持ちになりました。
結末がああなので、救われるような救われないような複雑な気分でした。

またこの本は、私にとって小林さんの追悼読書の一つです。
別の物語がもう一冊ありますが、このファンタジー世界の殺人事件のシリーズはこれで最後になるのですね。
この本が出版された時点では、まだまだ次の作品を想像して読む前から楽しみにしていただけに、突然のご逝去は、とても残念です。

『メアリー・ポピンズ』『赤毛のアン』『二人のロッテ』たくさんの児童文学が、この先待ち構えていたのに惜しいです。

小林さんの作品はもう一冊ありますので、その感想で本当のお悔やみの言葉としたいと考えています。
とても面白い作品でした。
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