主人公は、東京都心にある国立東々大学の学生、藤崎千佳。
四月から大学院に進学したばかり。
彼女が民俗学の道に進もうと考えたのは、高校生の頃、柳田國男の『遠野物語』に感動した事と、この大学の偏屈な民族学者、古屋神寺郎に出逢ったため。
そんな古屋は、千佳が狭い研究室で無心に資料に目を通していると、しばしば突然顔をあげて、ぶっきらぼうな声で告げる。
「藤崎、旅の準備をしたまえ」と。
意外と千佳は、彼に従って旅をする事を気に入っているのだった。
とある理由から左足に障碍を持つ古屋と、千佳ですが、なかなかいいコンビで、偏屈な彼にも臆せずしっかり言い返す千佳が、何とも気持ちよく微笑ましく思えます。
また、彼の一見わがままやへそ曲がりに思える行動や発言にも、実は思いやりのあるものだったりする事があって、面白いです。
ただ、古屋が相対する人間にも上手がいるもので、彼でもまだまだ未熟なんだなあ、と、人生の道のりの遠さに気が遠くなりそうです。
私もせめて千佳くらいにはなりたいのですが、まだまだです。
全体として、民俗学についての考察と同時に不思議な出来事も見受けられる、素敵な物語でした。
四月から大学院に進学したばかり。
彼女が民俗学の道に進もうと考えたのは、高校生の頃、柳田國男の『遠野物語』に感動した事と、この大学の偏屈な民族学者、古屋神寺郎に出逢ったため。
そんな古屋は、千佳が狭い研究室で無心に資料に目を通していると、しばしば突然顔をあげて、ぶっきらぼうな声で告げる。
「藤崎、旅の準備をしたまえ」と。
意外と千佳は、彼に従って旅をする事を気に入っているのだった。
とある理由から左足に障碍を持つ古屋と、千佳ですが、なかなかいいコンビで、偏屈な彼にも臆せずしっかり言い返す千佳が、何とも気持ちよく微笑ましく思えます。
また、彼の一見わがままやへそ曲がりに思える行動や発言にも、実は思いやりのあるものだったりする事があって、面白いです。
ただ、古屋が相対する人間にも上手がいるもので、彼でもまだまだ未熟なんだなあ、と、人生の道のりの遠さに気が遠くなりそうです。
私もせめて千佳くらいにはなりたいのですが、まだまだです。
全体として、民俗学についての考察と同時に不思議な出来事も見受けられる、素敵な物語でした。