こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『文豪、社長になる』門井慶喜

2023-06-06 19:49:14 | 読書感想
 
作家であり、文藝春秋を立ち上げた社長でもあった菊池寛。
その中学時代から晩年までの人生を描いたフィクションです。

学歴を鼻にかけた生意気な中学生が成長しどのようになるかと思えば、なかなか紆余曲折の横道にそれまくりの青年時代ですが、後々それもいい経験となって・・・というご都合主義的な調子のいい人生とも取れました。
それはともかく、文藝春秋の立ち上げから意外と長い事、同社は同人誌的というか自費出版みたいな状況が続いていたのですね?
だからこそ、色々と問題も発生したようです。

あと実際のところは存じ上げませんが、菊池氏が実際にぎりぎりまで時局の波にあらがおうとされていたというのなら、現在の日本の政情を考えると、この物語が出版されたのも分かります。

そしてこれまでの文春砲も、その歴史があっての事かと考えなくもありません。
歴史に学べない国ではありたくないのですがね。
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『忍びの副業(上・下)』畠中恵

2023-06-02 19:48:53 | 読書感想
 
 
時は徳川十代将軍、家治の時代。
戦国の世では勝敗の鍵を握る者だった忍びの者たちも、太平の世では与えられたお役目を果たすのみ。
その一つである甲賀者も鉄砲組として大手御門など表の警護をしており、当然、功を上げる機会もなく出世もしない。
甲賀三人衆の一人である滝川弥九郎でさえ、正直、内々でそっと、しかし厳しく教えられる忍びの技がむなしかった。

けれど今はその美貌から、甲賀から格上の武家への嫁に望まれる事の多い、土山吉乃の嫁入り道具を揃えるため、余禄のからむ頼み事は些細な事でも引き受けなければならなかった。
そんなある日、副業の延長で上様の和子、家基様とのつながりが出来たのだが・・・。

わー、田沼意次の時代だー。
という訳で、あの悪名高い田沼が物語の中でどう扱われるのか、また、家治、家基がどのように描かれるのか、興味深く読みました。
しかも忍びの主役が伊賀ではなく甲賀であり、根来衆も出てきたりして、伊賀は次点扱いなのも珍しく面白かったです。
他にも歴史上の有名人がたくさん登場して、話を動かしていくのも楽しめました。
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