実に150年前のパリで現代の大衆消費社会を生むきっかけとなったデパート「ボン・マルシェ」を築いたブシコー夫妻の経営戦略が、あまりに現代に通じているので驚かされます。
展示スペースそのものを祝祭化し(それが万博にまでつながる)、わざと入り口を狭くして混雑を演出して客を呼び込む手法から、当時劇的に交通が発達したために増えた外国客相手の通信販売に至る商法、商法のみならず社員管理と福利厚生まで含めた会社のあり方、さらに下層出身者でも努力と会社への忠誠によって社会の上層に上り詰めていく階層としてのサラリーマンを生んだというに至る影響の大きさとそれを描いていく筆致の面白さ。