新藤兼人監督の独特のデフォルメは「鉄輪」のことから目立ってきたが、95歳ともなると、もう天衣無縫。何やってもいい感じ。
先生が身体がきかなくなってオムツ丸出しで生徒たちに担がれて運ばれる一種の露悪趣味も健在。
小学校の場面から特にためを作らずに「三十年後」にぽんと飛ぶのにびっくり。
先生と生徒そして戦争の関係を描く、もうひとつの「二十四の瞳」ではあるけれど、タッチは見事に違う。
新藤先生の自伝的作品だけれど、いちど二番目の奥さんとの関係を見てみたい気はする。最初の夫人との生活は「愛妻物語」になったし、三番目の乙羽信子とは公私ともにパートナーシップを見せていたけれど、二番の人はエッセイにも絶対に出てこないものね。
(☆☆☆)