宗教を信じている人たちのところをまわって、わざわざその拠って立つ根拠の薄弱さ・非科学性・思い込み・矛盾を衝いて笑いのめしてまわるコメディアン、ビル・マーのドキュメンタリー。
進化論を否定している博物館では恐竜に鞍をつけたりしているのが笑うに笑えない。どうも「恐竜100万年」あたりの映画で恐竜と人間が一緒に出てきているのを本気にしているみたい。
ダーウィンの進化論っていうのもキリスト教的立場からえらい攻撃されてきたわけだけれど、ここでは触れていないが一方で適者生存説っていうところが弱者切り捨てに都合よく利用されてもきたのだね。
偽預言者というか、宗教家といわれる連中の強欲・ウソツキ・差別体質・偽善ぶりに見ていてヘキエキした。職業的宗教家でない一般信者も、目の前でうっかり神を否定するとそれこそとって食われそうなのが怖い。何かを信じるのと依存する(=批判力をなくす)のとは切っても切れない関係らしい。
ここではユダヤ教・キリスト教・イスラム教といった一神教を俎上にあげているわけだけれど、わが日本の仏教や神道の坊主も儲け主義という点では相当なものだぞ。
そのあたりを突っ込むのは痛快でなくもないではないけれど、いちいち執拗に糾弾してまわるというのも大人気ないというか、ファナティックすれすれを通り越している気がする。無神論者は狂信家に行動パターンが似るという(共産主義者を見るといい)が、それに近くて笑いがひきつる感じ。