これ、公開当時の今はなき映画雑誌「ロードショー」の対談記事で、渥美清がほめてたんだよね。もう一本ほめてたのが「悪魔の赤ちゃん」。色んな映画をマメに見ていた人だなあ。
「悪魔の追跡」といっても、悪魔そのものではなくて悪魔崇拝の集団が追ってくる話。アメリカのいろいろな面が知らされた今の方が公開当時よりむしろ怖さがわかるようになったのではないか。
非クリスチャンにとっては、アメリカのキリスト教原理主義と悪魔崇拝とは一枚のコインの裏表みたいなものに思える。
それと、アメリカみたいに都会と田舎の隔絶がすごい国での、田舎町の人間たちがよそもの、町の人間を見る目の怖さね。同じピーター・フォンダ主演の「イージー・ライダー」の主人公たちが南部で迎えられる「南部の目」だ。
アメリカの国土の一種バカげた広さが、逃げても逃げても追ってくる感じを出すのに効果的。
キャンピングカーなんて、私たちは中産階級(これが激減しているのだが)ですと宣伝してまわっているような車を使っているのも、どこか怒りを買ったのではないか。
最大の見せ場はカーアクションで、アナログ感たっぷり。女がきゃあきゃあ言ってばかりで、全然役にたたないのも昔っぽい。