ロシアを舞台にしたのも製作費削減のためというだけではないのだね。アメリカでも(あるいは日本でも)本当はよかったのだが、しれっとして途中から完全にアメリカは関係ないことになった。
エンドタイトル、ロシアとハンガリーで製作されたらしくて東欧系の名前がたくさん並ぶ。「推理作家ポー 最期の5日間」もハンガリーで撮っていた。アメリカ映画のアウトソーシングはますます進むだろう。
最初の見せ場のカーアクション、とんでもなく荒っぽい暴走を見せるのでアメリカ人がよその国で何を好き勝手をやってるのかと思ったが、考えてみるとロシアの車の乱暴な運転ぶりがYouTubeにアップされて話題になること多いから、そのイメージに合わせたって面があるのかもしれない。ロシアに落ちた隕石の映像は、運転が乱暴なので交通事故の証拠用にまわしているカメラに映ったものがかなりあるという。
廃墟のデザインだけタルコフスキーの「ストーカー」みたい。知らずにすごい危ない真似をしているかもしれないところも意識してないだろうが似てしまっている。
しかしマクレーンの子供が二人出てきたけれど、1、2で出てきた奥さんどうなったのだろう。4だったかで離婚したことになっていた気がするけれど、忘れてしまった。子供についてはこれまで描きこまれたことがないからかなり唐突。
今回は雑ながら親子の不和と和解がマクレーン親子ともう一組の親子にわたって絡み合うように変奏されるドラマという体裁になっています。
ロシアの悪役の一人がアメリカ人は嫌いだと言いながらバッグス・バニー式に生のニンジンを齧っていたりタップ・ダンスを踊ったりしている。しかしどちらもいささか古くありませんか。ロシア人が見たらどう映るか。
原題はA Good Day to Die Hard。A Good Day to Die(アメリカ先住民の死生観を表す言葉とされる)をもじったのだろう。
(☆☆☆)
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