もともとオリジナル自体、スリラーとしては論理的に穴が多いのです。
昼日中にビルの外側を鉤のついたロープを垂らして下の階に侵入するなんて、都会でやったら一発で見つかって通報されるぞ。そのあとのロープの始末もついていないし。それをそのまま繰り返してどうするのか。ここはノエル・カレフ原作にはない創作で、改悪に近いのだけれど、そのまま踏襲している。
エレベーターが止まったからって今の日本で通報ボタンも押さなければ携帯で連絡するのもなしって、なんですか。
ラストに使われる写真も、いまどき現像室で印画紙に定着してなんて作業するのはプロのカメラマン、それもこだわっている人くらいでしょう。
この手の一番古くなるガジェットを半世紀も後になってそのまま使うというのは、何なのか。
オリジナルが持っていた映像や音楽の陶酔的な魅惑がすっこ抜けて、穴のあるスリラーとしての部分が増幅されたみたい。
吉瀬美智子がジャンヌ・モロー同様に憂い顔で夜の街をさまよったりするのだけれど、トイレに座って憂い顔なんてシーンがあるのは、笑かそうとしているのではなかろうな。
(☆☆★)
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