一度見ていたはずなのだが、ものの見事に忘れていた。
意識的に無内容であとに残らない、スタイルだけにとことんこだわったものを作ろうとした感じで、後の森田芳光のようなニュアンスがある。
ポップアート的なアクション・コメディとしては「唇からナイフ」が1966年公開だから、こちらの方(1961)が早い。
ただ、その当時の最先端だから、団地の扱いなど今見るとかえって捉え方の感覚の違いにびっくりするところも多い。
この時の篠田正浩は岩下志麻と結婚前で、当時結婚していた白石かずこに当時注目されていた歌人だった寺山修司を紹介されて脚本を書いてもらったというから、いろいろな人の離合集散があったと思しい。競馬のシーンなんていうのも、ちゃんとある。
タイトルデザインが金森馨というのが目を引いた。1960年に寺山とジャズ映画実験室「ジュース」を組織していた関係だろうか。松山祟(「酔いどれ天使」などの美術家)の助手をしていたこともあるかもしれない。