筒井真理子扮するヒロインは介護者として出入りしていた家の女子高生拉致事件の犯人が親戚だったものだから自身はまったくの無実無関係であるにも関わらずとんだとばっちりを受ける。
加害者の関係者がどんな理不尽なメディアの攻勢にさらされるか、被害者も無責任な噂をたてられるかといった社会問題的なテーマを扱っているには違いないが、それ以上に人間関係そのものがはらむ危うさ、ほとんど無関係だと思っていた相手が突然抜き差しならぬ存在になったり、きっかけらしいきっかけもなく関係性ががらっと変わってしまったり、何の気なしに言った一言が突然とんでもなく重い意味を背負わされたりといった怖さが肌感覚で出ている。
横断歩道を渡ったかと思うと渡っていなかったり、動物園の動物をナメて撮ってちょっと動物の視点が入っているようだったりと、日常的な描写のようで少しづつズラしたり、イメージカットがリアルとの垣根なしに飛び込んでくる手際。