prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「夜空の大空港」

2020年11月15日 | 映画
高度が10000フィートに下がると爆発する爆弾が旅客機に仕掛けられるという、「新幹線大爆破」や「スピード」の原点とでもいうべき1966年のテレビムービー。

脚本は「トワイライトゾーン」のロッド・サーリングで、タイトルにもRod Serling's The Doomsday Flightと出る。
ユニバーサルテレビの製作で1966年12月13日にNBC系列で放映、ニールセン調べで27.5%の視聴率をあげ、アメリカ以外では劇場公開されたという。
つまりスピルバーグの「激突!」の先駆けでもある。

ただ、着想の見事さは申し分ないものの、もう一方で爆弾そのものがどこに隠してあるのかわからないというサスペンスがあるので気圧が下がった→爆弾が爆発するかもしれないという状況を具体的な画として見せず(機の高度計で見せるという手はあったと思う)、いかにもテレビ的なセットでセリフのやり取りをずうっと見せられるという、映画とすると物足りない出来にとどまった。
もっともその爆弾のありかがまたアイデアなのだが。

実際に爆弾が爆発する犯人側のデモンストレーションを見せていないのがまた弱い。

良くも悪くもアイデアストーリーの域にとどまったのは平凡な演出も大きいだろうが、当時のテレビの製作体制ではそれほどダイナミックな撮り方ができなかったせいもあるのではないか。旧「トワイライトゾーン」の延長上にある印象は強い。

機に乗り込むわがままなスター役がジョン・サクソンで、これがテレビドラマ初出演、「燃えよドラゴン」(1973)の7年前ということになる。

犯人役がエドモンド・オブライエン、度の強いメガネをかけて脂汗を流しながらエキセントリックなしゃべり方をする役づくり。
機長役はヴァン・ジョンスン。
当時とすると一応の知名度はある人が出ていたから劇場公開もできたのかと想像する。