prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「泣く子はいねぇが」

2020年11月27日 | 映画
親になる準備がまるで出来てないまま娘が生まれてしまった大人コドモの男が、幼い子供を脅すと共に悪い大人にならないよう祈るための神さまナマハゲに扮する、というのが皮肉。というか、ナマハゲの性格をドラマに落とし込む発想から作られたのだろう
それが酔ったあげく素裸になってテレビカメラの前でうろうろするのを生中継されるという醜態を演じ、離婚されて娘とも別れるというのが冒頭。

出てきた東京ではうんと年下の少女にあろうことか童貞呼ばわりされ、帰ってきた故郷にも当然のように居場所はない。

で、このどうしようもない男が何らかの形で成長するのか、居場所を見つけるのか、という「いい話」になるのかというと、まったくそうはならない。
だいたい、受けいられるほど故郷の景気も良くない。

別れた奥さんのところに行くが再婚するとあっさり言われ、娘の幼稚園のお遊戯会に行くがどうも誰が自分の娘かも(当然ながら)わからないみたい。

柳葉敏郎のナマハゲ保存会の世話役に、おまえが醜態をさらしたおかげですごい量の抗議が来てナマハゲの行事もストップせざるを得なくなったと怒られるが、あまりちゃんと謝らない。

ラストでナマハゲに扮してまた元妻んちに押しかけるわけだが、自分が元妻だったらこの男は家に入れないなあと思った。
というか、入れてはいけない。甘やかしてはいれません。

正直、こう成長も進歩もない男を二時間弱見るのって、結構苦痛です。
徹底してダメなところを描き切って突き抜けるというか、ダメ男をダメなりに描いて魅力的に見せるという手もあるわけだが、そういう風にいっているとは思えない。

風力発電の羽がずらっと並んだ風景が日本ではちょっと珍しく男鹿ではずいぶん風力発電をしているのだなと思った。