prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「イカロス」

2020年11月07日 | 映画
ロシアによる国ぐるみのドーピングを追うドキュメンタリー。
それも選手たちにドーピングをしていたキーパーソンのグリゴリー・ロドチェンコフ の証言が軸になっているのだから、生々しい。

そのロドチェンコフが大きく前面に出てくるのもドキュメンタリー製作の過程で自然にそうなったので初めから狙ってのことではないのがドキュメンタリーの面白いところ。

ちょっと煩雑な感じもするくらい徹底してその不正の手口を見せていく。
これだけ大がかりに不正をしてメダルを集めて、結局うやむやになりっぱなしなのだから、今更だがオリンピックの表向きのフェアで平和なイメージとは裏腹のダーティで浅ましい実態に今さらながらげんなりする。

ドーピングによる肉体改造というのは、奇形化した機能主義的人間像の典型であり、スポーツとは今や人間の機械化のことかと思わせる。