prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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11月16日のつぶやき

2020年11月16日 | Weblog

「男と女 人生最良の日々」

2020年11月16日 | 映画
実に54年ぶりの同じ主演者二人と監督による続編というのも前代未聞だし、これだけ前編の抜粋を多量に使った続編というのもあまり記憶にない。
若く美しい時と、トランティニャンの役の方は認知症が入ってきているような、そうでないような年取った姿と境遇とが絶えず対比され、残酷なようでもあるが、それもひっくるめて人生でもあるのかなと思わせる。

ルルーシュは1987年にも同じ主演者二人で「男と女Ⅱ」作っている。未見だが、どんな作りだったのか。

ほかに西部開拓時代のアメリカを舞台にした「続・男と女」や「男と女 嘘つきな関係」など紛らわしいタイトルのもあるが、正規の続編というわけではない。

というか、ルルーシュの映画というのはボーイ・ミーツ・ガール「だけ」で、映画の基本とはいえ、照れも臆しもせずほとんどこれしか追わない監督というのも珍しく、ここまでくるとアッパレではあります。

正編「男と女」は29歳という若い監督(カンヌのパルムドール受賞者としては、当時最年少、のちに「セックスと嘘とビデオテープ」のソダーバーグの27歳に破られる)でなくては作れない小鼻をうごめかしているような才気と恐れ知らずに満ちていたわけだが、今回は83歳でないと作れない。

メイキングによると撮影10日という早撮りだったというのは昔と一緒。日本のインディーズ系の基準からすると早撮りでもなんでもないが。

60年代後半から70年代はじめにかけてルルーシュが大人気だった頃はヌーヴェルバーグ出身の監督と比較されたりして金儲け優先の軽薄才子と評されたらしいが、それから半世紀経つと、なんかそういう比較はどうでもよくなってしまう。

ルルーシュは長編劇映画に進出する前は今のMTVの前身のようなジュークボックス用のフィルムを大量に撮っていて、音楽をバックに流し続けるとそれまでの劇映画の文法こよくするルーティンの技法になっているわけだが、とはいえかつての盟友フランシス・レイの不在自体なかったかのようにダバダバダのメロディを堂々と流してみせる。