戦闘シーンの数珠つなぎの間にナポレオンの政治的な立ち回りと妻ジョセフィーヌの奔放な振る舞いが描かれるわけだが、2時間38分という長尺の割にダイジェスト的な印象が強い。
4時間を超すというアップルでの配信版を待てということかな。
マリー・アントワネットなどギロチンにかけられて終わり。ロベスピエールやタレーランの出番もごく短い。
冒頭、ナポレオンが勇ましく馬を駆って走り出したと思ったら大砲の弾が馬の首に命中して転倒、わずかな運の差で生死が決まったのを端的に見せる。
ジャック=ルイ・ダヴィッドによる有名なナポレオンの戴冠式の絵画を再現したシーンが出てくるが、裏ではこういう手順で行われていたのですといったタネ明かし的な興味がある。
それにしても86歳にしてこうもスケールの大きな戦闘シーンを、ほぼ実写(に見える)でこなすリドリー・スコットには驚かざるを得ない。
音楽の使い方が画面と距離を置いた感じで、時代が近いことやロウソクの照明といい、何度かキューブリックの「バリー・リンドン」を思いだした。同じナポレオンを主人公にした映画を構想していたわけだが、どんな風だったのだろう。
ノート段階でも公開されないものだろうか。
(と、思っていたら、Alison CastleのSTANLEY KUBRICK’S NAPOLEON という大冊が出ているらしい。)