カウリスマキぶしと言おうか、淡々としてぶっきらぼうでいながら妙におかしみをにじませるタッチは健在。
前半のウクライナ侵攻みたいに社会的な危機を間接的にせよ描くのは珍しい。
女は肉体労働者、男はアルコール依存症とさむざむとした画面と設定で、ビデオや配信も見ないでもっぱら映画館で映画を見ている(テレビも出てきたかどうか)のは監督の趣味嗜好もあるのだろうけれど、貼られているポスターがゴダールの「軽蔑」「気狂いピエロ」デヴィッド・リーンの「逢引き」など古い名作揃い。フィンランドには、今どきああいうプログラム組む映画館あるのかな。
あんまりデジタルデバイスが出てこないので、いつの時代の設定だろうと思っていたら辛うじてスマートフォンが出てくる。
フィルムで撮影されたというが、上映はDCPにせよざらっとした質感は出ている。