前にビートたけしが話していた戦国時代の設定のごくラフなプランで、うんとカネかけて人馬の隊列を撮っておいて乗っている男の顔がアップになると志村けんのバカ殿、というのがあった。
志村の起用はかなわなくなったが、発想とするとそれに近い。
もともと北野武の監督作は女を仲間に入れないホモソーシャルな体質が強いのだが、あからさまにホモセクシュアル(衆道というべきか)に傾いて混同した感じになっている。
衣裳は黒澤明の娘の黒澤和子なわけだが(心配)、全体に凄く傾いた(かぶいた)デザインを採用している。
信長だけではなく武将たち全般がそう。
加瀬亮の信長が怪演で、尾張弁を採用しているのは津本陽「下天は夢か」以来だろうが、森蘭丸から弥助からそれぞれ意外な展開を見せる。
一瞬あとには裏切って殺したり殺されたりといった展開がグロいのとバカバカしいのと両方で、美術衣裳が豪華なのとコントラストになっている。