prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「サイレントラブ」

2024年02月02日 | 映画
あららチャップリンの「街の灯」じゃない。

浜辺美波は音楽大学在学中で交通事故で視力を失い耳が頼りだが、それに対して山田涼介は口がきけない。
音大に通うくらいだから浜辺は裕福な生まれ育ちで、不良出身で掃除夫をしている山田とは、劇中のセリフにもあるが住む世界が違う。
これにグレているけれどピアノの名手の野村周平が絡む。

浜辺が目が見えないので野村を山田と誤解するところや、手を握ったり触ったりする動作の強調などアレンジしてはいるけど、ほぼそのまま。

山田が無言というのがサイレント映画の「街の灯」を今に生かしたと思しく、浜辺と野村がピアノを連弾演奏する場面がまたトーキーの特性を今さらながら生かした。
だいたいこの映画、台詞がかなり少なく緊張感を維持している。

貧困のあり方というのがチャップリンとは違いすぎるが、格差という形でリアル寄りにしている。

余談だけれど、野村周平はちょっとチョウ・ユンファに似てるなあと思った。ユンファは日本に紹介された当時は小林旭に似てると言われたものだが、では野村がアキラに似てるかというと全然そんなことない。
そういえばユンファには「狼 男たちの挽歌最終章」という誤って女性を失明させてしまい償おうとする主演作があった。

大学の教師が盗聴していて逮捕されるというテレビニュースが食堂に流れるシーンが終盤にとってつけたようにあるけれど、あれ必要か?