アリシア・ヴィキャンデルとジュリアン・ムーアが同じフェミニストのグロリア・スタイネム役の青年期と壮年期を二人一役で演じるわけだけれど、顔の作りが似ているわりに1988年生と1960生の28歳差がさほど目立たず、「欲望のあいまいな対象」ばりにキャラクターの二面性を表現したのかと思うくらい。
実際おそらくそういう意図はあったのではないかと思われ、つまりミスとミセスを未婚か既婚かで分けるのを否定し男のミスターに相当するミズを使うよう提案したのが実在のグロリアというわけ。
ミズなんて称号?認められるかとニクソンが揶揄するところで時代がわかる。60年代から70年代にかけてで、そんなに前から言っていたのかと思う。なおグロリア・スタイネムは存命中(1934生)。
時制がかなり複雑に交錯し、同じバスの中の別の席に二人の女優が座っていたりカットが変わると入れ替わったりとさまざまな演劇的な技法を使っているのだが、ややとってつけたようで座りが悪いし、いかになんでも二時間半は長い。
監督のジュリー・テイモアは舞台の「ライオン・キング」映画では「タイタス」「テンペスト」で知られる。