prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「オー・ルーシー!」

2018年05月23日 | 映画
寺島しのぶの独身中年女性がひょんなことから通うようになった英会話教室で出会ったジョシュ・ハートネットにアメリカ名ルーシーをつけられ何か新しい自分を見つけたように高揚して恋に落ちるが、メイドカフェに勤めている姪の忽那汐里がジョシュとアメリカに渡ったらしいのを追って姉の南果歩と渡米する。

元は桃井かおり主演の短編なのを長編に膨らませたのだというが、どこを膨らませたのか知らないがアメリカのパートがかなり長くて一種のロードムービー風の構成のわりにアメリカの自然な広さとか開放感とかあまりない。

ジョシュ・ハートネットなんて「パールハーバー」や「ブラックホーク・ダウン」といったハリウッド大作の主演俳優が日本のインディ映画に出るとは思わなかった。大作に出るのがかなりのプレッシャーで一時役者業から離れていたなどと伝えられたが、どういう経緯で出演したのかだけでもドラマになりそう。
とはいえ、イケメンのわりにいい加減で悪気がないまま女たちをふりまわす役としては適役。
忽那汐里がメイドカフェにもアメリカにも溶け込んでいる。

南果歩がちょうど渡辺謙と離婚した直後に見たもので、妹と仲が悪くしょっちゅうケンカしているのが(関係ないのだが気分として)妙に生々しかった。

日本人の西洋人コンプレックスというのはあまり笑える、というか楽しめるネタにはなりにくいと正直改めて思った。外国人から見ると(スタッフの多くは外国人)どうなのか知らないが。
日本人は結局日本と日本人とのしがらみから出られないみたいなくくり方は何かもやもやする。



「オー・ルーシー!」 公式ホームページ

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5月22日(火)のつぶやき その2

2018年05月23日 | Weblog

5月22日(火)のつぶやき その1

2018年05月23日 | Weblog

「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」

2018年05月22日 | 映画
ボストンマラソンの爆弾テロで両足を失いながら意識朦朧下で犯人の特徴を話し逮捕に結びつけた男の実話もの。

別に英雄でも何でもない男が周囲から英雄扱いされる鬱陶しさというのがかなり良く出ていて、ジェイク・ギレンホールがもともとかんり適当なところのある男を毎度ながら好演。

作中のセリフにあったように「フォレスト・ガンプ」のダン大尉以来、手足の欠損を映像として見せる技術は普通のものになっているけれど、義足をつけてリハビリする表現といい、トイレを使う時の不便さといい、なんでもないようにやっているけれどどうやって作っているのかと今さらながら感心する。
役者の身体的負担も相当あるのではないか。

脚を失っても性的機能を失ったわけではないのをはっきり描いている一方、恋人とのよりを戻すところで父親となる覚悟については描写がもうひとつ抜けているのは惜しい。

あと、職を失うことはないようなことを雇い主が最初の方で言っていたけれど、また働きに出られたのかどうかはっきりしない。

「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」 公式ホームページ

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5月21日(月)のつぶやき

2018年05月22日 | Weblog

「リズと青い鳥」

2018年05月21日 | 映画
「リズと青い鳥」というタイトルがついているのは、作中の吹奏楽部が演奏する音楽と岩波文庫(はっきりそう特定されている)に収録されている小説がそれぞれあって(本当にそういう小説や音楽があるのかと思わせる、すごくもっともらしい調子)、本筋の女子高生二人のストーリーが小説のキャラクターに投影されるのと曲のフルートとクラリネットの演奏の掛け合いがうまくいくかどうかという次元の違う位相を行き来するという、ずいぶん実験的といえば実験的な手法をとっているが、全体とするとまったく晦渋さを感じさせず情感と詩情に富んでいる。

女の子の仲良し同士というのはなんでああいつも一緒なのだろうと思わせるところがあるけれど、それがだんだん分かれていくのが思春期の自我の眼覚めのドラマになっている。
親離れや恋愛がらみという形の眼覚めはありがちだが、同性同士の仲良し関係からの巣立ちというのは考えてみると珍しく、およそ男の監督には手の出ない領域ではないかと思う。

ほとんどの場面が学校で終始し、床の上の足だけの画像とかカーテンの前に立っているだけとか、間(ま)を生かした(ちょっと眠くなるところもあったが)何か言いたいけれど言い出せないでいるもどかしい感じを丹念に形にしている
(☆☆☆★★)

「リズと青い鳥」 公式ホームページ

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5月20日(日)のつぶやき その2

2018年05月21日 | Weblog

5月20日(日)のつぶやき その1

2018年05月21日 | Weblog

「六本木フールズ」自己批判ショーの麻布十番勝負

2018年05月20日 | 舞台
チラシの文句を引用すると「1995年の旗揚げ以来コント一筋、長年にわたり茨木のコント演劇界を牽引し続けてきた自己批判ショー」公演。
自己批判なんて昔の新左翼みたいなコトバがくっついているけれど、ひたすら笑わせる以外のことはまったくやらない思い切りのよさ。

六本木ヒルズの映像に茨木・六本木、なんて字幕が出るのはちょっと「翔んで埼玉」みたいなギャグセンス。
公演会場の麻布区民センターは本当に六本木のすぐそば。

映像を大々的に使っていて、途切れなく生身の役者との連携がとれているのも手慣れた感でテンポアップに一役買っている。
「ウルトラマン」のタイトルバック風に出演者を紹介する映像など、わざわざ古くなったフィルム風に傷やちらつきが出るようにしてあるのが凝っている。

映画上映前の注意を映画「タンポポ」みたいにやくざ劇調にパロッた冒頭から、「七人の侍」ならぬ「七人の黒澤」、テレビ通販ネタからイナバ物置(人数がかなり多いので成り立つ)まで、ヴァラエティに富んだネタを取り揃えてぽんぽんテンポよく進む。上演時間が二時間ないのも疲れなくていい。

可愛い小さな子供ふたりを出してくるのも、なかなかズルい。

5月19日(土)のつぶやき

2018年05月20日 | Weblog

「隻眼の虎」

2018年05月19日 | 映画
虎のCGは「ライフ・オブ・パイ」以降とあってすこぶるリアルな出来で、相対する猟師チェ・ミンシクがまた「白鯨」のエイハブのごとき迫力。

日本の占領下の韓国とあって、大杉漣が日本軍隊長役で出演。ただし日本軍全体が虎にやられるための役みたいで、本国ではけっこう快哉を呼んだのではないか。

いくらなんでも長すぎるし、単調なところはある。




5月18日(金)のつぶやき その2

2018年05月19日 | Weblog

5月18日(金)のつぶやき その1

2018年05月19日 | Weblog

「サバービコン 仮面を被った街」

2018年05月18日 | 映画
工業製品のように異様に画一化された住宅が並ぶ「レボリューショナリー・ロード」とも共通するアメリカが最も豊かだったように見える時代の住宅地を舞台に、その裏に貼りついた腐敗と荒廃があぶりだされる。

有色人種が住むと不動産価格が下がるのを嫌う、一見してあたりさわりないようでむしろ本質的な差別。カネが絡んでいる本質はむしろ観察しやすい。

保険金詐欺絡みからみるみるエスカレートして血みどろの殺し合いに至るオフビートな展開に脚本のコーエン兄弟(ユダヤ系)の体質がはっきり出てるが、監督のジョージ・クルーニーのスクエアな体質のせいかグロテスクなユーモアはそれほど強く出なくて、暴動の背景にある人種差別がかなり前面に出ている。

マット・デイモンがかなり増量してどうしようもない詐欺師をスターイメージくそくらえで演じているのは、兄貴分みたいなクルーニーがついていたからか。
ジュリアン・ムーアやオスカー・アイザックといった演技者たちもグロテスク一歩手前で収まっている感。
(☆☆☆)

「サバービコン 仮面を被った街」 公式ホームページ

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