prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

11月18日(日)のつぶやき その1

2018年11月19日 | Weblog

「ジョニー・イングリッシュ/アナログの逆襲」

2018年11月18日 | 映画
原題は単純に Johnny English Strikes Again でアナログとは言っていないし、ガラケーやフロッピーディスクは使うのでまるっきりアナログというわけではない。
しかし、ちょっと古いIT機器というのはうんと古いものよりむしろ古めかしく見える。

エマ・トンプソンの英首相がITにまるっきり疎いものだからジェイク・レイシーのIT長者にビッグデータを全部盗られそうになるが、これ自体がおよそアナログな話。サイバー攻撃というのはおよそ映画では画にならないのでアナログで抑えたのは正解ではあるけれど。

007の新兵器は初期はマンガチックでだんだん現実に出てくるものの予見がかってきているが(自動運転車とか)、振りかえると予見がかったものがそのままマンガチックに見える。

ローワン・アトキンソンといったらMr.ビーンなわけで、「ラブ・アクチュアリー」でシリアスな演技を見せても、オックスフォード出のインテリであることが知れ渡っても、良くも悪くもおバカキャラに戻ってしまう。
大笑いできるほどできないけれどくすくす笑い続けるくらいの感じ。
子供たちに囲まれて先生をやっている図がほのぼのとしていてけっこう似合う。

先日、日本の経団連の会長が初めてメールを使ったとか、内閣のセキュリティ担当大臣があろうことかPCを操作したことがなくて使わないのは最強のセキュリティだと外国でおちょくられたとか、映画かマンガそこのけの出来事が発覚しているわけで、日本のおっさんたちのITに限らない頭り古さは笑えない喜劇だが、こちらは笑えるだけ助かる。

ジョニー・イングリッシュ/アナログの逆襲 -公式ホームページ

ジョニー・イングリッシュ/アナログの逆襲 - 映画.com

11月17日(土)のつぶやき その1

2018年11月18日 | Weblog
11月17日はロック・ハドソンの誕生日。 山崎朋子死去。

「ヴェノム」

2018年11月17日 | 映画
前半、トム・ハーディのジャーナリストが人体実験をしているらしい巨大企業を強引に取材しようとして圧力をかけられてクビになり、のみならず恋人までクビになって別れる羽目になって、すっかり落ちぶれる。

で、その企業がやっている研究というのが宇宙から来た謎のアメーバ状の生物と人間とを合体させ、人間を宇宙でも生きられるようにするというマッド・サイエンティスト的なもの。
研究所に潜り込んだトムが実験台になっていたかねて知り合いのホームレスの女性からその生き物を寄生させられてヴェノムになるという次第。

生き物は宿主から宿主に移り、体質が合わないと宿主を殺してしまったりする一方でトムのようにうまく合体するとすごいパワーを発揮して大暴れするわけだが、一方で寄生したヴェノムとトムとの体と意識がくっついたり離れたりする、出来の悪い二人羽織というか「ど根性ガエル」みたいな状態になるのが笑わせる。
サンフランシスコの坂を生かした昔の「ブリット」の残響が響くもの凄いカーチェイスあたりまでは快調。

企業つきの女性科学者ジェニー・スレートが美人でちょっと気になったのだが、トムを研究所に手引きする重要な役なのにあまり説得力のない心変わりをしてあっさり退場するあたりから建てつけが悪くなる。

フィリピンに落ちて勝手に逃げたヴェノムの仲間(ライオットRiotというらしい)が宿主を変えながらアメリカに来るもう一つの筋がほとんど忘れてしまうくらい描きこみが薄くて、最終的にライオットはトムに圧力をかけてクビにした敵役の企業トップのリズ・アーメッドとつるむわけだが、トムにとりついたヴェノムが彼らの世界ではトム同様の落ちこぼれなのに対して、リズにとりついたライオットはあちらの世界のエリートらしき存在で、落ちこぼれチームvsエリートチームという図になるまでが駆け足すぎてぴしっとキャラクターの配置が決まらない。
それに寄生されるとリズがエリートらしくなくなるし、敵役としての芯がぶれてしまう。

何より、ヴェノムとライオットの見かけがほとんど変わらないので、最後の大々的な対決がどっちがどっちだかわかりにくいのが困る。

リズ・アーメッド(こういう記事を見かけた)は色が浅黒いのでインド系かなと思ってみていたが、父母の代にパキスタンからイギリスに渡ってきてオックスフォード大学を卒業している。それにしても、インド人は理数系に強いというイメージからきているキャスティングだろうか。
製作に中国系のテンセントが入っているせいか東洋人のキャストが多いような気がする。

つい先日スタン・リーが亡くなったので、恒例の特別出演シーンが粛然とした感じになった。

それにしても、毎度の事ながらエンドタイトルの後に映像がありますとわざわざ初めに字幕で断っているのだけれど、この手のCGばりばりの大作の常でタイトルがバカ長い上にその予告編的映像がまたかなり長い、しかもマーベル作品に疎い人間にはどういう意味なのかよくわからないのに正直かなりうんざりした。

「ヴェノム」 公式ホームページ

「ヴェノム」 - 映画.com

11月16日(金)のつぶやき その2

2018年11月17日 | Weblog

11月16日(金)のつぶやき その1

2018年11月17日 | Weblog

「ハッスル」

2018年11月16日 | 映画
「ロンゲスト・ヤード」のバート・レイノルズ主演、ロバート・アルドリッチ監督というから豪快な男性的アクションを期待すると相当にスカされる。(実をいうと「ロンゲスト・ヤード」も豪快というだけでなくけっこうあちこち苦味が効いているのだが)

一番の理由は共演がカトリーヌ・ドヌーヴだからで、このフランス以外の何者でもない美人女優が西海岸の乾いた風土にあってなんともいえない違和感と異物感を終始もたらしていて、かといってそれが欠点になっているとも言い切れない不思議な感じ。

冒頭に若い女の死体が海岸で見つかるあたりからしてハードボイルド調だが、その娘の父親が遺体を見て激昂して何の関係も責任もないはずのレイノルズをいきなり殴るあたりからどこかニューロティックなニュアンスが入ってくる。

これくらい登場人物がよく映画を見ている映画も、この当時としては特に珍しかったろう。テレビでやっている「白鯨」から、二人で見に行く「男と女」(この違和感がまた凄いし、駐車しているコインパーキングの頭にレイノルズが袋をかぶせてごまかしているのをさらっと見せたりしている)まで、何度も変奏される。

そして父親が最終的に見ることになる「映画」(フィルムに無数の傷が入っているあたり、いかにも70年代の安物のブルーフィルムらしい)にそれらが収斂していくような構造にも何か歪みが見える。全体にこの歪み自体相当程度計算して出しているように思うが、それがどこに向かうのかいわく言い難い。くて、失敗とも成功とも断じにくい。
ちなみにこの犠牲者を演じているのが本物のポルノ女優(この言い方はどうも好かないが)であるシャロン・ケリー。

ジョセフ・バイロックの撮影の黒の締まり方が魅力的。
今とずいぶん照明法など違っている感じで、室内の照明で人物の影がはっきり壁に出ている(カットが変わると影の位置が変わっていたりする)なんてことは今ではまあないだろう。

「ハッスル」 IMDb

「ハッスル」 - 映画.com

11月15日(木)のつぶやき その2

2018年11月16日 | Weblog

11月15日(木)のつぶやき その1

2018年11月16日 | Weblog

「ハッド」

2018年11月15日 | 映画
ポール・ニューマンがHのイニシャルの役名のジンクスを持つのは有名で、「動く標的」の役名を原作のリュー・アーチャーからルー・ハーパーにしたり、「スティング」で実在のコン・マンのチャールズ・ゴンドルフからとったであろう役名をヘンリー・ゴンドルフにしたりといった調子だが、そのジンクスのもとになったひとつがこれ。

もともとジェームス・ディーンやマーロン・ブランドと同時期のアクターズ・スタジオの出身で(「傷だらけの栄光」ではディーンの急逝で代わりに演じた)反抗的な役柄もだぶるところがあって、ディーンが「エデンの東」で演じた父親に対する反抗と母親に対する甘えたくても甘えられない複雑な愛情を、ニューマンはここで前者を、それから「暴力脱獄」で後者を再現している図になる。

「八ッド」の時のニューマンは38歳ですでに父親(メルヴィン・ダグラス)に対する反抗という歳でないばかりか兄の息子(ブランドン・デ・ワイルド)の父親代わりのような立場になっているのにも関わらず、まともに働かないわ、人妻とは関係するわでおよそ反面教師なのだが、こういういい加減な叔父さんというのも思春期の男の子にはけっこう魅力的なのがよくわかる。
この後、ニューマンは成熟した男のイメージ代表みたいになっていく。

メルヴィン・ダグラスの強力な父親的イメージはこの後のジーン・ハックマスの父親役をやった「父の肖像」でより一層深められる。

デ・ワイルドは「シェーン」のジョーイ少年の20歳に成長した姿で、ときどき正面などあのままの顔がだぶる。30歳で早世したという。

父親の牧場の牛たちが口蹄疫にかかり全頭処分しなくてはいけなくなり、牛たちが片端から射殺され消毒の粉末をかけられ埋められるあたりが無惨であると共に、何か象徴的。

ジェームズ・ウォン・ホウの白黒撮影が見事で、当人が最高作と自負するだけのことはある出来。

Hud Imdb

「ハッド」 - 映画.com

11月14日(水)のつぶやき その2

2018年11月15日 | Weblog

11月14日(水)のつぶやき その1

2018年11月15日 | Weblog

「ビブリア古書堂の事件手帖 」

2018年11月14日 | 映画
黒木華の今っぽくない感じが若い女性にして古本屋の店主でビブリオフィリア(愛書家)という役にうまくはまった。
愛書家も昂じるとビブリオマニア(愛書狂・書痴)になり、今回の事件の犯人はそれにあたる。

ビブリオマニアとしては「子供より古書が大事と思いたい」にある、仏文学者の鹿島茂がフランスで家族旅行中に見つけた全17巻揃いの古書を買い込んでしまい、持ち帰りでないと売らないというので車に積んだ本の上に子供二人を強引に乗せて旅行を続けたなんて話とか、冗談みたいな実例がいくらもある。

このあたりのマニアの心理とか行動とかが、ミステリ仕立てということもあって遠まわしになって十分描きこみ切れていない。
ばかりか、話の発端になる漱石の「それから」や太宰の「晩年」の稀覯本の小道具が古色のつき方が不十分で、前者など素人目にもこれは本物じゃないだろと思わせるのが困る。

あと、読書というのは何も黙読だけではないだろう。朗読の方がむしろ歴史的には先のはずで、最近でもAmazon Audibleつまり通勤中でも聞ける本が売り上げを伸ばしていると聞く。

だから野村の字の本を読めないというコンプレックスというのが今一つよくわからないし、実際黒木に読んでもらっている。そちらの方で仲良くなるのに生かそうとくらいしてもおかしくないか。
お話とすると字がびっしり詰まった本が読めなかったのがいくらかでも読めるようにならないとオチにならない。

ミステリとして困るのは黒木華が探偵役としての役割を果たすのは冒頭だけで、黒木と野村周平の祖先の代の経緯がわかっていくのが何らかの手がかりがあって推理したりした結果というわけではなく、カットバックされる過去の場面と現在とをつなぐものが映画の作者の恣意だけで登場人物の意思とは別物になってしまっているので、ただ交互にエピソードが並ぶだけなので感情移入がしにくくて乗りが悪い。
クライマックスの追跡と格闘の演出の手際の悪いのには参った。

舞台になる鎌倉の古都らしい風情の生かし方ももうひとつで、切り通しの他にもいろいろ見たい。

余談だが、かなり静かなこの映画の上映中のTOHOシネマズ新宿のスクリーン12でどかんどかんかなり大きな音が隣から響いてきた。シネコンでこういうことあるのだね。

ビブリア古書堂の事件手帖 -公式ホームページ

ビブリア古書堂の事件手帖 - 映画.com

prisoner 作品集

11月13日(火)のつぶやき その2

2018年11月14日 | Weblog