prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「キャンディマン(1992)」

2021年11月08日 | 映画
最近リメイクが公開された、そのオリジナル。
比べてみると、リメイクが単純な繰り返しや続編ではなくオリジナルをベースにした本歌取りのような創作であることがわかる。

ここでキャンディマンが脅かすのが白人のインテリ女性というのが、もともとキャンディマンが白人の男たちにリンチされたのが白人女性と関係したからというベースがあるわけね。おそらく。

そこから黒人のインテリにもかつての自分の先祖の呪いみたいなものが蘇ってくる話に仕立て直したのが最近のリメイク版。
住んでいる場所の地霊みたいな感覚と不動産価格が住んでいる住人の人種で変わるのが共に理不尽というところで
結びついている。




「そしてバトンは渡された」

2021年11月07日 | 映画
昔(1949、リメイクは1958)、「母三人」という映画があって、実の母、育ての母、義理の母の三人が息子を想う姿を描いて女性観客の紅涙を絞り、「三倍泣けます」という宣伝文句が半ばカラカイの対象になったような映画なのだが(ただし神山征二郎監督などはすごく良く出来ていると称賛している)、さしずめこれは父三人だ。

実の父大森南朋、育ての父田中圭、義理の父市村正親がそれぞれひたすら娘を想って、一番ヘンで自分勝手に見えた石原さとみも実はという展開になる。
父と母が逆転して成立するというのは人の感情の基本を押さえていてかつ新鮮で、子供に無条件な愛情を注ぐというのもいい。
こう善意な人たちばかりというのは甘いといえば甘いが、かなり上等の甘さ。

スマートフォンやパソコンがほぼ出てこない。写っているところはあるけれど、使っているところはない。
だものでいつの話だろうと思っていたのだが、手紙が重要な役割を果たすわけで、ハイテク機器を出されると都合が悪いということもあるだろう。

時制がわからないというのは前半のわかるまで気づかせないし、わかる時も混乱させない話の仕掛けにもよる。

大森南朋こその後妻が永野芽郁たちを迎えるところで、客人二人には揃いの受け皿つきの茶碗を出して自分たちは不揃いの茶碗というあたり、この人たちの人となりが見える。

前田哲監督は助監督時代から子供の使い方には定評があったが、今回も腕を見せる。




「ブルースチール」

2021年11月06日 | 映画
1990年公開。
監督は2008年の「ハート・ロッカー」で女性初のアカデミー賞監督賞を受賞したキャサリン・ビグロー。
脚本は「ヒッチャー」のエリック・レッド。あれと同様にストーカー的な殺人鬼が目をつけた相手にナルシズムを投影するようにつきまとうパターン。

人間が場立ちして取引していたニューヨーク株式市場の様子が見られる。
製作にオリバー·ストーンが名を連ねている。ストーンの父親が株式仲買人だったのを取り入れたか。

ジェイミー・リー・カーティスは今に至るもホラークイーンとしてのアイコンになっているわけだけれど、被害者性と加害者性が混ざっていて狙われると同時に反撃もするというキャラクターということだろう。

親が株式仲買人だったのも取り入れたかと思う。
もう一人は「ウォール街」でストーンと組んだエドワード·プレスマン。

撮影はイラン出身のアミール·モクリ。「パシフィック·ハイツ」などにも共通するブルーの光が窓から射す画面作りが印象的。




「チュルリ」

2021年11月05日 | 映画
東京国際映画祭にて。
タイトルのチュルリは、舞台になるインド最南端のケララ州の山奥の村の名前。

そこに逃亡犯を追う二人の刑事がやってくる長い描写から始まる。
えんえんバスに揺られて乗り合いジープに乗り換えて、「恐怖の報酬」の小型版みたいな丸木橋をひやひやしながら渡るといった描写の積み重ねとモヤのかかった森の映像から、どれだけ人里離れているのかを印象付ける。

二人は犯人が潜伏しているらしい農場で働くという触れ込みで村に潜入するわけだが、その農場主がちっとも帰ってこないもので食堂みたいな場所で働いて待つ、というのがすでになんだか可笑しい。

宇宙人みたいなのが現れたとか、前に来た刑事は生きて帰れなかったとか本当かウソかわからないようなことがもっともらしく語られ、加えてイメージカットが唐突に挟み込まれてますます刑事たちの意識も見ているこっちの混濁していく。

冒頭に謎めいたエピグラフと神話のアニメが掲げられるのがラストでつながってくるのだが、なんともいえないぶっとんだ展開に唖然とする。
「ジャッリカットゥ 牛の怒り」のリジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督の新作だが、どういうアタマの構造しているのかと思う。



「幌馬車」

2021年11月04日 | 映画
なんでもないように撮っているが、ベン・ジョンソンがナヴァホ族から逃げて整地もしていないでこぼこした広野を疾走するあたり、よほど騎手としての腕と馬の訓練がないとできないのではないか。

それを言い出すと人を寄せ付けないような広野を幌馬車隊が進む光景自体、「アギーレ 神の怒り」とまではいかなくても、相当過酷な場所に大勢が荷物を抱えて分け入っていくロケは当時(1950年)西部劇がコンスタントに作られていたから可能になったので、いま頭から再現するとなるとほとんど不可能ではないか。

幌馬車隊に強盗一味が紛れこむなどそのままサスペンスドラマになっておかしくないのだが、ごくあっさりした撃ち合いで片がつく。
開拓期にはこういう危険と隣合わせなのが日常なのだといでもいった淡々としたタッチ。
ジョン・フォードとしては小品だし大スターも出ていないが、それだけに普段着の仕事をしている感じ。




「ハロウィン KILLS」

2021年11月03日 | 映画
いやもう、ばったばったと殺すわ殺すわ。時代劇で大勢斬りまくるのをリアルにした調子なくらいのペースでマイケル=ブギーマンが包丁で刺しまくる。

マイケルはほとんど刃物しか使わないのに対して、町民たちが銃から棍棒からホッケーのスティックから13金のジェイソンばりに多彩な獲物で反撃するのが割と新味かつ単調さをカバーする格好。
そりゃアメリカだったらやられっぱなしなわけはないか。

もっともマイケルと間違えて町民たちが無実の人間をリンチ気味に追い込んで死なせてしまうあたりはどうも演出の手際が悪くて町民たちの方の怖さを出したそうのだがぱっとしない。

第一作が作られのは1978年で、マイケルが6歳だった1963年の15年後という設定だからマイケルは1957年生まれということになる。普通の人間だったら2021年では64歳だ。
ジェイミー・リー・カーティスが1958年生まれだからあれくらいには年取っていることになるが、もちろんマイケルは普通の人間ではないので年取っているのかどうかはっきりしない。

なんべん殺されたようでもむっくり起き上がるのはジェイソンと一緒。客が来る限りは滅びないでしょう。




「ひらいて」

2021年11月02日 | 映画
画面もストーリーも演技も、どうも平板。
オープニングでドローンでカメラが上空から校庭に舞い降り、アイドルグループの群舞みたいな練習をしているところを捉えるあたりはミュージックビデオ風でいくのかと思ったが、そういうわけでもなく、割ともっさりした画面が続く。

ヒロインが片思いしている男の子が文通している糖尿病の別の女の子を奪うように同性愛的関係を結ぶわけで、女女男の三角関係の要が男と女の二つあってかぶっているというややこしい状態になっている。
ただそのややこしさが即ドラマとしての葛藤や面白さに結び付くかというと、そういう状況になってしまいましたというところで止まってそれ以上あまり発展しない。
レズシーンがあるけれど、腰が引けているというのか諸般の事情に鑑みというのか、中途半端。




2021年10月に読んだ本

2021年11月01日 | 
読んだ本の数:22
読んだページ数:3852
ナイス数:0

読了日:10月30日 著者:永井 荷風





読了日:10月30日 著者:永井 荷風





読了日:10月29日 著者:ラズウェル細木





読了日:10月29日 著者:大下 英治





読了日:10月28日 著者:荒川 弘





読了日:10月25日 著者:高橋 留美子





読了日:10月25日 著者:高橋 留美子





読了日:10月25日 著者:高橋 留美子





読了日:10月25日 著者:高橋 留美子





読了日:10月25日 著者:高橋 留美子





読了日:10月25日 著者:高橋 留美子





読了日:10月25日 著者:高橋 留美子










読了日:10月19日 著者:保阪 正康





読了日:10月18日 著者:うえやまとち





読了日:10月18日 著者:うえやまとち





読了日:10月18日 著者:うえやまとち





読了日:10月18日 著者:違星 北斗





読了日:10月18日 著者:グレッグ・クライツァー





読了日:10月09日 著者:春日太一責任編集





読了日:10月06日 著者:安田 浩一





読了日:10月05日 著者:違星 北斗