曇、1度、68%
コロナ禍でマスク着用が叫ばれると、道にマスクがよく落ちているのを見るようになりました。バックから落ちたのか?故意に捨てるはずはありません。落としたらなぜ拾わなかったのか?道に落ちているマスクを見て思います。
冬になると昔からこの季節だけの落し物があります。「手袋」です。右左揃った手袋ではなく、大抵は片方だけです。学校の頃は落し物置き場に行くとそんな手袋がいくつも箱に入っていました。道の真ん中に落とされた片っ方の「手袋」は遠くから見てもその形で「手袋」とわかります。道の真ん中に落ちていると人に踏まれます。道の脇に避けてくれる人、落ちている側のフェンスに目に付くように乗せてくれる人、「手袋」が早く持ち主に返るように思う人が手をかけてくれます。それでも、いく日経っても「手袋」は道の脇に置かれたままです。
昨年、我が家の前に片っ方の「手袋」が落ちていました。子供物の毛糸の手袋でした。落ちてたすぐ脇の金木犀の枝にぶら下げました。ひと月経っても手袋はぶら下がったまま、北風が強い日に二軒先まで飛ばされてその後の行方は知りません。
小さい頃よく手袋を落としました。コートのポケットに入れたつもりが、家に帰ると片っ方だけありません。母にきつく叱られて、来た道を探しに戻りました。見つけたかどうか覚えていません。あまりに落とすので、両方の「手袋」を毛糸で結んで首に掛けるようにしてくれました。そしたら今度はそのまま両方の「手袋」を落としました。
大きくなってからは、「手袋」に限らず道に物を落とすと必ず探しに出かけます。記憶を辿って下を向いて歩きます。すぐに引き返すと見つかることがよくありました。見つからないと、いつまでもなくした物のことを思っています。「諦め」が悪い性分なのでしょう。
この冬も落し物の片っ方の「手袋」を見かけます。「探しに来てください。ここにいますよ。」と手袋が言っているように思います。