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"RIVER OF SMOKE"インドのアミタブ ゴーシュの一番新しい本です。前作"SEA OF POPPIES
' に続く3部作の2部にあたります。
インドの作家はなかなか日本人には馴染みがないかもしれません。私が、初めてアミタブ ゴーシュを読んだのは、"The Glass Palace"という本です。この本は、「ガラスの宮殿」として日本でも翻訳されています。そして、ゴーシュの最も代表的な作品です。ゴーシュは、コルカタ生まれの56歳。現在アメリカ人の奥さんとニューヨークに住んでいます。
"The Glass Place"以来、ゴーシュの新刊は欠かさず読んできました。コルカタ出身のゴーシュが描く舞台は、インドそのものよりベンガルからインドシナ半島にかけてが多いようです。
The Glass Place
The Hungry Tide
SEA OF POPPIES
RIVER OF SMOKE
'SEA OF POPPIES"ポピーが咲くインドから、そのアヘンを東に運ぶ話です。東、つまり中国です。もちろんそこには、イギリス、インド、中国と絡み合い、私など、名前を追うのにページを前に繰る有様です。それから3年。‘RIVER OF SMOKE"がでました。いよいよ、中国に話が移ってきます。このRIVERは、珠江つまり、中国の広州に流れる川です。私が住む香港からわずか南に位置します。河口にはマカオがあります。当時、中国の唯一の貿易港が、広州でした。
今回の舞台は、この広州です。不思議に、本の中に知った土地が出てくると、読む速度がぐっと上がります。15年ほど前、3回ほど、広州に行くことがありました。当時は、現在ほど街が近代化されておらず、香港からの電車もずいぶん時間がかかったものです。
3回とも、ホワイトスワンホテルに泊まりました。ちょうどこのホテルの周辺が、1800年代の租界にあたります。'RIVER OF SMOKE"の舞台です。100年以上経っているものの、確かにこの一帯だけが、建物、木の茂り方まで中国的ではありません。1800年の初期、イギリス、アメリカ、オランダ、スウェーデンなどのそれぞれの建物があり、十分に安全が確保されていた場所です。近年、広州に行く機会に恵まれません。家人の話から、街の変化を聞くばかりです。日本で言えば長崎にあたる街ですが、規模は遥かに大きかったようです。
ゴーシュの話は、実際にインド、広州の貿易を手がけた人の本を元に書かれています。人がいれば、物語が生まれます。しかも、他国の人が集まる貿易地。ホワイトスワンホテルの周辺を思い浮かべながら、ゴーシュの話に引き込まれました。3部目が出るのは、また、3年先でしょうか。待ち遠しいものです。