気ままに

大船での気ままな生活日誌

高倉健の”あなたへ”

2012-09-11 09:31:46 | Weblog
高倉健主演の”あなたへ”を観に行ったその夜、たまたまNHKで、プロフェッショナル/高倉健が放映されていた。健さんというと、無口というイメージだったけれど、この番組では、ずいぶんおしゃべりをしていて、驚いた。おしゃべりとは言っても、軽口ばかりではなく、ずしりと重い言葉があちこちに散りばめられている。

船長役の大滝秀治が、高倉健の妻の散骨を無事終えて、漁港に戻ったとき、”久しぶりにきれいな海をみさせてもらった”と言う場面。その短いせりふに万感の思いが込められていて思わず涙が溢れたという。87歳になってもこういうすばらしい演技ができる、と81歳の健さんが激賞する。俳優は感性をとぎすまさなければいけない、と別のところでも語っていた。

富山の刑務官である健さんは、NPO法人の人から亡き妻、田中裕子からの絵手紙を受け取る。”あなたへ 私の遺骨は故郷の海へ撒いて下さい”という文面だった。何故、自分に直接、話してくれなかったのか、疑問に思いながらも、彼女の故郷の平戸に向かう決心をする。

ひとり車を走らせ、飛騨高山、大阪、兵庫、山口へと進む。その間、いろいろな人と出会う。元国語教師、実は○○(教えません;笑)のタケシ。山頭火が好きで、句集を高倉健にプレゼントする。駅弁の販売員、草なぎ剛と佐藤浩市とも知り合い、大阪で駅弁販売を手伝うことになる。佐藤浩市には、ある伏線が敷かれている。ここでは詳しくは言わない(笑)。

ロードムービーでもあるから、その土地、土地のうつくしい景色も楽しむことができる。とりわけ、兵庫県和田山にあるという、竹田城跡の映像は息を飲むほどであった。霧に包まれた山城はまさに”天空の城”だった。田中裕子の回想シーンがときどき挟まれるが、ここでは、彼女が宮沢賢治作詞、作曲の”星めぐりの歌”を歌う場面になっていた。

そして、終着地も美しい港町。ここでは、小さな食堂を経営している家族(余貴美子、綾瀬はるか)と知り合う。漁船をもつ大滝秀治ともここで会う。

真っ赤な夕陽が沈む海に散骨する高倉健。骨がまるで宝石のように白く輝いて海に沈んでいく。

ラストに山頭火の句が。このみちや いくたりゆきし われはけふゆく



プロフェッショナルより


しんみりした、いい映画だった。名コンビ、降旗康男監督と高倉健の、たぶん最後の作品になるだろうなと思いながらみていたら、よけいしんみりした。

今、銀座シネパトスで高倉健主演作品が連日、上映されている。降旗康男監督の”夜叉”、”ホタル”、”鉄道員”、”駅”も今後、上映の予定だ。是非、一度は観にいきたいと思っている。今、上映中の唐獅子牡丹もいいな。三井の美術館とセットで明日、行こうかな。
コメント
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