マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

「薩摩白波」と「川辺」

2014-09-07 | book
今夜は焼酎、

昔、父が九州薩摩にいって初めて飲んだ芋焼酎が「さつま白波」でした。
当時京都で売ってなくて手紙を出してわざわざ取り寄せて飲んでいました。
そのうち、薩摩焼の「黒じょか」と「ぐい飲み」も手に入れて、
毎晩お湯割りをのんでいました。
真っ赤になってうまいうまいと言って飲んでいました。
今では酒屋さんには清酒より焼酎の方が多い位です。
父が愛用していた「じょか」をどこへしまったのか、見つかりません。
「グイ飲み」の方は幾つか戸棚に置いてあります。

昨日読み終えた本『われ山に帰る』の主人公「小山勝清」は、
1896年熊本県四浦村晴山に生まれた実在の人物です。
大逆事件で幸徳秋水らが死刑になるなど世の中がどんどん暗くなっていく時代。
若い小山はますます理想を追い求め、情熱の赴くままに行動し
足尾銅山の争議の応援に出掛けて行って殺されそうになったり、
暮らしはめちゃくちゃになるのですが、
必死で世の中に抵抗しながらも学び続けます。
ある日、柳田国男に師事したり、でも何か自分の考える民俗学と違うと感じて遠ざかり、
何度も挫折し、恋をして、また恋をして、
都会と山を行ったり来たり何度も何度も繰り返し、
壮絶な人生を送った人物です。
でも、どんな時も、とにかく小山は朝昼晩たえず球磨焼酎を飲むのです。
後半生は少年倶楽部に「彦一頓知はなし」など子どものための物語をたくさん書き、
新聞に「それからの武蔵」を連載しました。
球磨川べりの病院で70歳で亡くなりました。
入院当時、見舞いの客に聞かせたという詩があります。

山は心のふるさと
山の歴史は
人間の心の歴史
山のくらやみは
心のくらやみ
くらやみの底に
山の秘密がある
化物がいる
妖怪がいる
やさしい姫がいる
何億年のにんげんのくらしが
そのままにひそんでいる

昨年私は水俣で「川辺」と名づけられた球磨焼酎を飲みました。
なんと小山勝清の故郷、晴山は川辺川の上流に位置します。
川辺川は日本一の清流、「川辺」は美味しい米焼酎です。
思い出して飲みたくなって、買いに行きましたが、
近所のお酒の量販店に球磨焼酎はありませんでした。
沖縄、鹿児島、大分、宮崎、のモノは何種類も並んでいるのに、
しょうがないので今日は鹿児島のものを選んできました。
これがなくなる頃に今度はゆっくり捜すことにしましょう。

今はまだお湯割りより、ロックがいいです。

『われ山に帰る』高田宏 著
(同時代ライブラリー) 1990年 岩波書店  







コメント (3)
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